大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【雨に唄えば】

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時は、夜7時40分頃であった。

この時、広島市内《しないちゅうしんぶ》に雷を伴った強い雨が降り出した。

またところ変わって、薬研堀《やげんぼり》にて…

通りには、飲食店《みせ》の看板と街灯の灯りがたくさん灯っていた。

通りにいた人たちは、傘をさして歩いていた。

またところ変わって、通りにある居酒屋の店内にて…

テーブルの上には、エビチリと肉団子と枝豆の料理3品とサントリータコハイが入っている大きめのタンブラーがならんでいた。

三永《みえ》さんと私は、向かいあった状態で座っていた。

三永《みえ》さんは、タコハイをひとくちのんだあと私に声をかけた。

「ヨシタカさん。」
「三永《みえ》さん。」
「そちらはどうだったの?」
「石廊崎《いろうざき》で入水したももこについて…新たな事実が分かったよ。」
「新たな事実が分かったのね。」
「浜田の魚市場《いちば》に来ていた魚屋の若女将から聞いた話だけど、きょうの夜中の1時頃にももこが若女将のもとに電話をかけてきた…若女将は電話の応対をしたけど、途中で電話を切った…と言うた。」
「途中で電話を切った?」
「あの時は、仕事が忙しかったのでももこの話を聞くことができなかった…と答えた。」
「それだけ?」
「ああ…くわしい話を聞くことはできなかった…その後、私は20人前後の方に電話をかけて問い合わせたけど、そのうち10人の方がももこと最後に会った日は1年以上前だと回答した。」
「あとの10人の方は?」
「あとの10人のうち8人の方は『おぼえていない』とか『知らない』…と回答した。」
「残りの2人は?」
「残りの2人のうち1人の方は『ももこと言う女はいたっけ?』と回答した…最後の1人は『お答えできません』と回答した。」
「ねえヨシタカさん。」
「なに?」
「その、『お答えできません』と回答した人は…なんで回答しなかったの?」
「さあ…おぼえてない。」

三永《みえ》さんは、私に対してこう言うた。

「回答をさけた方は、ももこさんに対してなんらかのうらみがあったと思うわ。」
「なんらかのうらみを抱えていた?」
「…と考えてみたのよ。」
「………………………」

三永《みえ》さんは、タコハイをひとくちのんだあと私に対して声をかけた。

「ヨシタカさん…須坂の病院に勤務している富永と言う医師のことで新たな事実が分かったのよ。」
「富永医師のことでなにか分かったのか?」
「富永医師が上の人に対して辞表を出したあと…ひとことも言わずに病院から出ていったのよ。」
「その後は?」
「行方不明になったわよ。」
「行方不明になった…」
「ええ。」
「もしかしたら…ももこのことがからんでいるかもしれない。」
「そうみたいね。」

三永《みえ》さんは、タコハイをひとくちのんだあと私に対して『食べましょう』と言うた。

このあと、三永《みえ》さんと私は料理を食べ始めた。

…………………………
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