大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【お別れ入場券】

時は、深夜11時頃であった。

ほたるさんは、カベにもたれた状態でスヤスヤと眠っていた。

私は、ゼブラシャーボーのシャープペンシルを使ってほたるさんあての手紙を書いていた。

…………………………

それからまた40分後であった。

私は、入り口にある広間にいる置屋頭《かしら》の姐《ねえ》はんに声をかけた。

「置屋頭《かしら》の姐《ねえ》はん。」
「あらよーくん。」
「置屋頭《かしら》の姐《ねえ》はん、これから旅に出ます…ほたるさんがめざめた時に私の聞かれたら…三津浜港《みつはま》からフェリーに乗って旅に出ました…とお伝え願いますか?」
「分かったわ…何時(発)のフェリーに乗るの?」
「2時半の柳井港行《やないゆ》きに乗ります。」
「分かったわ。」
「あの、もしソヒ姐《ねえ》はんがお帰りになられたらコリントがここに来たことを伝えてください。」
「いいわよ。」
「それじゃあ、ほたるさんのことをよろしくお願いします。」

このあと、私はショルダーバックを持って置屋から出発した。

……………………………

(ボーッ、ボーッ、ボーッ、ボーッ…ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ…)

日付が変わって、7月31日の深夜2時半頃であった。

私が乗り込んだ防予汽船フェリーが三津浜港から出港した。

柳井港には、明け方5時頃に到着した。

柳井港でフェリーを降りた私は、ヒッチハイクした特大トラックに乗って徳山方面へ向かった。

………………………

時は、朝6時40分頃であった。

ところ変わって、道後温泉伊佐爾波坂《どうごいさにわざか》にある置屋の奥にある和室にて…

ほたるさんは、カベにもたれた状態でスヤスヤと眠っていた。

テーブルの上には、書き置きが置かれていた。

書き置きには、こう記されていた。

ほたるさん、私は2時半に三津浜港《みつはま》を出航するフェリーに乗って旅に出ます。

もし、三永《みえ》さんとお会いした時に私のことをたずねられたら私が7月30日に道後温泉《どうご》の置屋をいたことをお伝え願いますか?

また、どこかでお会いしましょう。

それまでどうかお元気で…

コリントイワマツヨシタカグラマシー

………………………

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、朝6時50分頃であった。

私は、国鉄下松駅から寝台特急はやぶさに乗って西へ向かった。

個室B寝台車にて…

座席の上に1981〜1983年の3年手帳がひらいた状態で置かれていた。

私は、万年筆を使ってメモパッドに記載されている内容を手帳に転記する作業をしていた。

大番頭《おおばんと》はんたちとマァマとドナ姐《ねえ》はんたちを大急ぎで見つけなきゃ…

残された時間は…

そんなに多くない…

急がなきゃ…

……………………………
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