大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【おれがいつの日か】

時は、夜10時過ぎであった。

またところ変わって、国鉄筑後吉井駅の入り口付近に設置されている電話ボックスにて…

私が電話ボックスに入った直後であった。

(ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリン!!ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリン!!)

四角のだいだい色のコイン投入式のプッシュホンからけたたましいベルが鳴り響いた。

私は、周囲の様子を確認したあと受話器を取った。

「はいコリントイワマツヨシタカグラマシー!!…ああ、△△リネンさまでございますね…お願いします!!」

私は、ショルダーバックの中に収納されていたメモパッドとゼブラシャーボーを取り出したあとメモを取る準備を整えた。

ショルダーバックのフタを閉じた時に受話器から男性運転手の声が聞こえた。

「はい、お電話を代わりました。」
「お世話になりますコリントイワマツヨシタカグラマシーでございます。」
「ああ、コリントさまですね。」

またところ変わって、小郡市小枝井にあるリネン工場の事務所にて…

運転手《うんちゃん》は、グレーのダイヤル式の電話機を使って電話をかけていた。

「コリントさま、8月3日の夜遅くに夜明駅の待合室で発生したもめごとについてですが…私…その時の様子を録音していたのです…今からかけますね。」

運転手《うんちゃん》は、マイクロテープレコーダのスピーカーを受話器の話す部分にあてたあと再生ボタンを押した。

(カチャ…)

マイクロテープレコーダーのスピーカーからその時の様子が聞こえていた。

8月3日の深夜11時過ぎであった。

場所は、夜明駅の待合室にて…

尾儀原《おぎわら》は、なさけない声で溝端屋の番頭《ばんと》はんに詰め寄った。

「オドレはここへ何しにきたのだ!!部外者は出ていけ!!」

番頭《ばんと》はんは、ものすごく恐ろしい声で尾儀原《おぎわら》に詰め寄った。

「なにィ!!今オレになんて言うた!!部外者は出て行けだと!!…オレはオドレに用があるからきたんや!!」
「やかましい!!部外者は帰れと言ったら帰れ!!」

番頭《ばんと》はんは、ものすごく怒った声で尾儀原《おぎわら》に言うた。

「おい、オレは13年前に大好きだった情婦《レコ》の一人をオドレに奪われた被害者だぞ!!」
「被害者だと…被害者ヅラして哀れみをこうんじゃねえよクソバカチンピラ!!」
「なんやオラ!!」

番頭《ばんと》はんは、尾儀原《おぎわら》に対してよりし烈な怒りを込めながら言うた。

「オラオドレ!!ワテに対してクソバカと言うたな!!その言葉を発したらどないなるんかわかっとんか!?」
「やかましいクソバカ!!ムシケラ!!」
「オラオドレ!!それ以上言ったらホーム下にある線路へ突き落とすぞ!!」
「あんたはオレにどうしろと言うのだ!!」
「そんなん決まってるだろ…オドレがオレの情婦《レコ》を殺したオトシマエをつけろと言うとんや…オドレに残された選択肢は3つや…5000万を現金で払うかコンクリ詰めに遭うか警察《サツ》へ行く…の3つしかないのだよ…どうする気だ!?」

(ドカッ!!)

思い切りブチ切れた尾儀原《おぎわら》は、番頭《ばんと》はんに対して体当たりを食らわせた。

体当たりを食らった番頭《ばんと》はんは、その場に倒れた。

「オドレ尾儀原《おぎわら》!!」
「ふざけるなクソバカ!!ワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワー!!」

(ドカッ!!ドカッ!!)

思い切りブチ切れた尾儀原《おぎわら》は、番頭《ばんと》はんに対して殴るけるの暴行を加えた。

…………………………

ところ変わって、小郡市小枝井にあるリネン工場の事務所にて…

運転手《うんちゃん》は、受話器越しにいる私に対して声をかけた。

「…と言うことがありました。」

またところ変わって、国鉄筑後吉井駅の入り口付近に設置されている電話ボックスの中にて…

私は、受話器越しにいる運転手《うんちゃん》に声をかけた。

「お話は分かりました…話を変えますが…運転手《おっちゃん》は、8月3日の夜に発生したもめごとについてケーサツに知らせましたか…えっ?…知らせてない!?…もしもし、なんでケーサツに知らせなかったのですか!?…尾儀原《おぎわら》が殴りかかった相手は暴力団関係者だったのですよ!!…もしもし話を聞いてください!!」

(ギイ…トントン…)

この時であった。

電話ボックスの扉がひらいたと同時に、私の肩をトントンと叩いた音が聞こえた。

私が後ろを振り返った時であった。

私の後ろに、黒縁メガネをかけたグダグダ顔の警官《おまわり》がいた。

警官《おまわり》は、私に対してグダグダ声で言うた。

「あの〜」
「はい。」
「すみませんけど…交番まで来ていただけますか?」
「交番?」
「交番の電話機に電話がかかっています。」
「どちらから?」
「ほたると言う女性からです。」

ほたるさん…

…………………………

またところ変わって、駅の近くにある交番にて…

私は、デスクの上に置かれている黒電話機の受話器を取ったあと話をした。

「もしもし、コリントでございます。」

受話器のスピーカーからほたるさんの声が聞こえた。

「もしもしよーくん…よーくん聞こえる!?」
「ほたるさん!!」

またところ変わって、どこかの都市《まち》にあるスラム街にて…

ほたるさんは、縦長の台に置かれている10円の赤電話機を使って電話をかけていた。

「もしもしよーくん、重井《しげい》ちゃんを見なかった!?…よーくん!!」

交番にて…

私は、受話器越しにいるほたるさんに声をかけた。

「見てないけど…なにかあったの?」

受話器のスピーカーからほたるさんの声が聞こえた。

「よーくん、ニュースを聞いてないの!?」
「ニュース?」
「やよいちゃんと尾儀原《おぎわら》ラブホで殺人事件が発生したのよ…やよいちゃんと尾儀原《おぎわら》がラブホの部屋に侵入して来た男に刃物で斬《き》られたあと亡くなったのよ!!」
「なんだって!!やよいと尾儀原《おぎわら》が殺された!?」
「ええ…よーくん…よーくん!!」
「ほたるさん、ほたるさん!!」
「よーくん、もし重井《しげい》ちゃんをうちに知らせてね!!」
「ほたるさん、ほたるさん!!」
「いつ、どこで見たかだけを言うてくれたらいいから…うち…これから逃げる…」

(ガチャ…ツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツー…)

電話は、そこで切れた。

受話器のスピーカーから電話が切れたあとの音が聞こえた。

「ほたるさん!!ほたるさん!!」

………………………

ほたるさんの身に…

一体、なにがあったのだ…

ラブホの部屋でやよいと尾儀原《おぎわら》が…

部屋に侵入して来た不審者の男に…

ナイフで斬《き》られて殺された…

またややこしいもめごとが増えた…

どうしたらいいのだよ…

…………………………………
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