大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【うらみ・ます】

それからまた20分後であった。

またところ変わって、生活安全課《せいあん》の部屋にて…

ソファのテーブルの上には、紺色と白の水玉の柄の湯呑みに入っている麦茶が置かれていた。

徳田さんと私は、対面状態でソファに座っていた。

私は、徳田さんに対して声をかけた。

「宗山《むねやま》の家のみなさまは!?」
「ただいま、きもちをしずめるために会議室にいます。」
「そんなことはどうでもいい!!それよりも、宗山《むねやま》のご主人が私に対して殴りかかろうとしたのですよ!!初対面のひとに対して『クソバカ!!』『やっつけてやる!!』と吐き捨てるなんてゴンゴドーダンだ!!」
「もうしわけございませんでした。」
「それなら、なんであの時さよこを警察署《ここ》に呼んだのですか!?」
「捜査情報を更新するのを忘れていました。」
「更新忘れをしたことをわびたからこらえてもらえると思ったら大間違いだ!!」
「すみませんでした〜」
「…ったくも!!」

私は、飲みかけの麦茶を一気にのみほしたあと『おかわり!!』と言うた。

近くにいたお茶くみがかりの婦警さんは、ひとことも言わずに湯呑みを流しに持って行った。

徳田さんは、私に対して声をかけた。

「コリントさま。」
「なんでしょうか!?」
「コリントさまを怒らせてもうしわけございませんでした。」
「もうしわけございませんでしたとあやまったらこらえてもらえると思っているのか!?」
「それじゃあ、どうしたらいいのですか!?」

この時、お茶くみがかりの婦警さんが新しくいれなおした麦茶をテーブルの上にゆっくりと置いた。

私は、婦警さんに対して『すみません』と言うたあと麦茶をひとくちのんだ。

徳田さんは、私に対して声をかけた。

「コリントさまにお話いたしますが…さよこさんは、150日前に重井《しげい》の家とリエンしたことと重井《しげい》とリコンしたあとの再婚禁止期間が満了したことが確定したので、宗山《むねやま》の家の一人息子《むすこ》と再婚しました。」
「それはさっき聞きましたよ!!…それがわかっていたのに、なんで捜査情報《じょうほう》を更新しなかったのですか!?」
「それはその…入力する係が不足していたのです。」
「ふざけるな!!」
「コリントさま、すみませんでした〜」
「あやまって済む問題じゃねえと言ってんのがわからないのか!?」
「コリントさま、落ちついてください〜」
「きちんと理由《わけ》を説明しろよ!!」

私に怒鳴られた徳田さんは、ものすごくおたついた表情で許しごいをした。

………………………

時は、夜8時50分頃であった。

徳田さんは、私に対してさよこが宗山《むねやま》の一人息子《むすこ》とサイコンした件について説明した。

「コリントさま、さよこさんが宗山《むねやま》の一人息子《むすこ》さんとサイコンしたことについてご説明いたします…さよこさんと宗山《むねやま》の一人息子《むすこ》さんがサイコンしたきっかけは、宗山《むねやま》の実家《いえ》のご家族…つまり、さよこさんの義父がリコン交渉のチュウカイを引き受けたことにありました。」
「宗山《むねやま》のご主人がさよこと重井《しげい》のリコン交渉のチュウカイを引き受けた?」
「ええ。」

徳田さんは、麦茶を一気にのみほしたあと私に声をかけた。

「ただですね…」
「『ただですね…』…と言うのはどう言うことですか?」
「重井《しげい》の家の人たちは、さよこさんと重井《しげい》がリコンすることを聞いた時に激怒したのです。」
「なんで?」
「さよこさんの家の人たちは、重井《しげい》の家からカネを借りていたのです。」
「カネを借りていた?」
「ええ。」
「つまり、重井《しげい》の家の人たちは、さよこさんの実家《いえ》の人たちが借金をふみたおして逃げようと企んでいたと感じていたのですね。」
「それも考えられますが、重井《しげい》の実家《いえ》の人たちも、さよこさんの実家《いえ》の人たちに頼みごとをしていたのです。」
「たとえばどんなことを頼んでいたのですか?」
「たとえば…さよこさんの男のきょうだいたちが進学した私立高校《コーコー》〜大学の高額な授業料を出していただいた…さよこさんの実家《いえ》のカネをあてにしていたのです。」
「なんだって!?」
「他にも、双方の家がカネに関すること…でキョウイソンしていたのです。」
「それじゃあ、宗山《むねやま》のご主人はどう対応したのですか?」

私にたずねられた徳田さんは、思案顔を浮かべながらお茶をひとくちのんだ。

その後、徳田さんは、私に対して声をかけた。

「コリントさま…さよこさんと重井《しげい》の家の人たちがキョウイソンしていたことを聞いた宗山《むねやま》のご主人は、あることを思いついたのです。」
「あることを思いついた?」
「はい。」
「それはなんでしょうか?」
「宗山《むねやま》のご主人は、知人が暮らしている家に行ったのです。」
「宗山《むねやま》のご主人の知人が暮らしている家?」
「ええ。」
「その方は、宗山《むねやま》のご主人とどんな関係があったのですか?」
「旧《ふる》くからの知人…と言うてました。」
「その…宗山《むねやま》のご主人から頼まれた旧友《ちじん》は、チュウカイを引き受けたのですね。」
「はい…ですが…」
「『ですが』…そのあとは?」
「宗山《むねやま》のご主人が頼んだ相手は…」
「実は…ハンシャの人間だったと言うことですか?」
「はい。」
「なんでハンシャの人間にリコンのチュウカイを頼んだのですか!?」
「宗山《むねやま》のご主人は、他にたよるあてがなかったのです。」
「あの、もう一度確認取りますが…宗山《むねやま》のご主人は、最初に旧友《ちじん》の家に助けを求めに行きました…その後、徳田さんがおっしゃられたハンシャの人間については、どうやって出会われたのですか?」

私の問いに対して、徳田さんはこう答えた。

「宗山《むねやま》のご主人に頼まれた旧友《ちじん》は、旧友《ちじん》の知人のそのまた知人〜そのまた上の知人からの紹介でハンシャの人間と会いました。」
「旧友《ちじん》の知人、知人のそのまた知人からそのまた上の知人は、どんな方だったのですか?」
「その方はたしか…ああ、思い出した…宗山《むねやま》のご主人の旧友《ちじん》の知人のそのまた知人のそのまた上の知人は…商人《あきんど》でした。」
「商人《あきんど》!?」
「ええ…その商人《あきんど》はたしか…四国の喜多郡の方でした。」
「まさか…」
「コリントさま…その問題の商人《あきんど》は…たしか…四国の喜多郡にある薬問屋の人間です。」

まさか…

内子の…

溝端屋…

私は、真っ青になった表情でつぶやいた。

徳田さんは、私に対して声をかけた。

「コリントさま。」
「はい。」
「どうかなされましたか?」
「ああ…いえ…大丈夫です。」

私は、飲みかけの麦茶を一気にのみほしたあと徳田さんに声をかけた。

「あの徳田さん。」
「はい。」
「その問題の商人《あきんど》のことについて、何か知っている話はございますか?」
「たしか…髪の毛は焼きそばヘアで…ボロボロの腹巻きをきていて…足には地下足袋をはいていました…そして…ちびたえんぴつでメモ書きをしながら不気味な嗤《わら》い方をしていました。」

もしかしたら…

溝端屋の番頭《ばんと》はん!?

徳田さんからことの次第を聞いた私は、顔が真っ青になった。

徳田さんは、私に対してこう言うた。

「コリントさま、その焼きそばヘア男に気をつけてくださいよ。」
「分かりました。」

徳田さんからことの次第を聞いた私は、背筋が凍りついた。

溝端屋の番頭《ばんと》はんに…

目ぇつけられたかもしれない…

どうしよう…

どうしたらいいのだ…

…………………………
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