大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)
【夏をあきらめて・その2】
(ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ…ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー…ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…)
時は、夕方4時過ぎであった。
この時、1時間に20ミリ程度の雷を伴った強い雨が降っていた。
徳田さんと私が乗っている白のホンダシビックが桜島の国道を走行していた。
車内にて…
ひざの上にショルダーバックをのせた状態で座席に座っている私は、徳田さんに声をかけた。
「またきょうも夕立にあった…うんざりだよ〜」
運転中の徳田さんは、私に対して声をかけた。
「天気のことについては…なんとも言えませんよ。」
徳田さんは、私に対してこう言うた。
「コリントさま。」
「なんでしょうか?」
「正午のニュースを聴いてましたか?」
「正午?…その時間は…ラジオを聴いてませんでしたが…どんなニュースが伝えられたのですか?」
私の問いに対して、徳田さんはひとことも言わなかった。
私は、徳田さんに対してこう言うた。
「あの…有名モデルさんが第一子の赤ちゃんを出産なされたのですか?…それとも、海外で不測の事態が生じたのですか?」
「いえ。」
「それじゃあ、また台風が発生したのですか?」
「いえ、そんなのじゃなくて…裁判のニュースですよ。」
私は、徳田さんに対して不安げな表情で言うた。
「今もつづいている…13年前に発生した強姦殺人事件の上告審ですね。」
徳田さんは、私に対して深刻な表情で言うた。
「最高裁での上告審《さいばん》がきょう…結審しました。」
「判決が下されるのは…今年の秋頃ですね。」
「…と言う流れであったのですが、被告人《おとこ》が裁判長に対して差し戻しを強要したのです。」
「差し戻しを強要した…被告人《おとこ》は死刑判決を下されるのがイヤなので裁判長にジキソした…と言うことですか?」
「それもありますが…被告人《おとこ》は『あのヤローに引きずり込まれた!!』と言うたあと大パニックを起こしました。」
「その被告人《おとこ》が言うた『あのヤロー』とは、誰なのですか?」
「コリントさま…こちらでございます。」
徳田さんは、私に対してクリアファイルを手渡した。
クリアファイルの中には、刑務所から送付された書面の写しが入っていた。
書面を見た私は、徳田さんに声をかけた。
「あの〜…最高裁《ほうてい》でわめきちらした被告人《おとこ》が言うた『あのヤロー』と言うのは…この書面に記されている受刑囚のことでしょうか?」
徳田さんは、私に対してこう答えた。
「被告人《おとこ》が言うた『あのヤロー』は、松山刑務所にシュウカンされている小久里龍介《おぐりりゅうすけ》です。」
「小久里《おぐり》は、犯人グループの中で一番最初に自首したおとこでしたね。」
「ええ…愛知県警《けいさつ》の取り調べに対して(被告人)にたのまれて阿波野小巻《こまき》さんを強姦して殺したと供述しました…小久里《おぐり》は、犯人グループの中で一番弱い立場だったので逆らうことができなかったのです。」
「小久里《おぐり》は、その後も愛知県警《けいさつ》の捜査に協力したのですね。」
「はい…その点があったことをコウリョしたうえで…名古屋地裁《さいばんしょ》は小久里《おぐり》に対して懲役7年を言い渡しました。」
「検察側の求刑は?」
「有期刑の最大・30年…でした。」
「弁護側は?」
「執行猶予付きの判決を求めました。」
「そうですか。」
「ただですね。」
「なんか問題があるのですか?」
「ええ…刑務所側は、小久里《おぐり》の生活態度がいいので大井(大西町)にある造船所へ移しました…しかし、今年2月に脱走事件を起こしたのです。」
「脱走事件を起こした?」
「ええ。」
「小久里《おぐり》の身元は?」
「今も…行方不明になっています。」
「今も…逃走中…ですか。」
「ええ。」
徳田さんは、ひと呼吸おいてから私に声をかけた。
「あともう一つ、小久里《おぐり》のことで深刻な事象が生じました。」
「それはなんでしょうか?」
「小久里《おぐり》は…14年前に山梨県で発生した連続強姦殺人事件の重要参考人に指定されたのです…6か月前に発生した脱走事件を犯したことと14年前に山梨県で発生した未解決事件で重要参考人になったので…松山刑務所《けいむしょ》は…小久里《おぐり》の仮出所を取り消すことにしました。」
「その…14年前に発生した未解決事件の時効を迎えるのはいつ頃ですか?」
「たしか…今年の11月20日です。」
「11月20日。」
「ええ。」
「なんてこった。」
……………………………
(ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー…)
時は、夜10時半頃であった。
この時間、鹿児島市内《しないちゅうしんぶ》にザーザー降りの雨が降っていた。
またところ変わって、国鉄西鹿児島駅の西口にあるシティホテルのシングルルームにて…
デスクの上に1981〜1983年の3年手帳が置かれていた。
私は、万年筆を使ってメモパッドに記載されている内容を手帳に転記する作業に取り組んでいた。
………………………
13年前に愛知県で発生した強姦殺人事件の犯人グループの被告人《おとこ》が最高裁の法廷内で『(高裁へ)差し戻せ!!』と叫んだあとわめきちらした…
その一方で、6か月前に大井の造船所(塀のない刑務所)から模範囚の男が脱走した…
脱走した模範囚は、昭和43年11月に山梨県で発生した連続強姦殺人事件の重要参考人になった。
他にも、なんかわけがありそうな気がする…
一体、どうなっているのだ…
………………………………
時は、夕方4時過ぎであった。
この時、1時間に20ミリ程度の雷を伴った強い雨が降っていた。
徳田さんと私が乗っている白のホンダシビックが桜島の国道を走行していた。
車内にて…
ひざの上にショルダーバックをのせた状態で座席に座っている私は、徳田さんに声をかけた。
「またきょうも夕立にあった…うんざりだよ〜」
運転中の徳田さんは、私に対して声をかけた。
「天気のことについては…なんとも言えませんよ。」
徳田さんは、私に対してこう言うた。
「コリントさま。」
「なんでしょうか?」
「正午のニュースを聴いてましたか?」
「正午?…その時間は…ラジオを聴いてませんでしたが…どんなニュースが伝えられたのですか?」
私の問いに対して、徳田さんはひとことも言わなかった。
私は、徳田さんに対してこう言うた。
「あの…有名モデルさんが第一子の赤ちゃんを出産なされたのですか?…それとも、海外で不測の事態が生じたのですか?」
「いえ。」
「それじゃあ、また台風が発生したのですか?」
「いえ、そんなのじゃなくて…裁判のニュースですよ。」
私は、徳田さんに対して不安げな表情で言うた。
「今もつづいている…13年前に発生した強姦殺人事件の上告審ですね。」
徳田さんは、私に対して深刻な表情で言うた。
「最高裁での上告審《さいばん》がきょう…結審しました。」
「判決が下されるのは…今年の秋頃ですね。」
「…と言う流れであったのですが、被告人《おとこ》が裁判長に対して差し戻しを強要したのです。」
「差し戻しを強要した…被告人《おとこ》は死刑判決を下されるのがイヤなので裁判長にジキソした…と言うことですか?」
「それもありますが…被告人《おとこ》は『あのヤローに引きずり込まれた!!』と言うたあと大パニックを起こしました。」
「その被告人《おとこ》が言うた『あのヤロー』とは、誰なのですか?」
「コリントさま…こちらでございます。」
徳田さんは、私に対してクリアファイルを手渡した。
クリアファイルの中には、刑務所から送付された書面の写しが入っていた。
書面を見た私は、徳田さんに声をかけた。
「あの〜…最高裁《ほうてい》でわめきちらした被告人《おとこ》が言うた『あのヤロー』と言うのは…この書面に記されている受刑囚のことでしょうか?」
徳田さんは、私に対してこう答えた。
「被告人《おとこ》が言うた『あのヤロー』は、松山刑務所にシュウカンされている小久里龍介《おぐりりゅうすけ》です。」
「小久里《おぐり》は、犯人グループの中で一番最初に自首したおとこでしたね。」
「ええ…愛知県警《けいさつ》の取り調べに対して(被告人)にたのまれて阿波野小巻《こまき》さんを強姦して殺したと供述しました…小久里《おぐり》は、犯人グループの中で一番弱い立場だったので逆らうことができなかったのです。」
「小久里《おぐり》は、その後も愛知県警《けいさつ》の捜査に協力したのですね。」
「はい…その点があったことをコウリョしたうえで…名古屋地裁《さいばんしょ》は小久里《おぐり》に対して懲役7年を言い渡しました。」
「検察側の求刑は?」
「有期刑の最大・30年…でした。」
「弁護側は?」
「執行猶予付きの判決を求めました。」
「そうですか。」
「ただですね。」
「なんか問題があるのですか?」
「ええ…刑務所側は、小久里《おぐり》の生活態度がいいので大井(大西町)にある造船所へ移しました…しかし、今年2月に脱走事件を起こしたのです。」
「脱走事件を起こした?」
「ええ。」
「小久里《おぐり》の身元は?」
「今も…行方不明になっています。」
「今も…逃走中…ですか。」
「ええ。」
徳田さんは、ひと呼吸おいてから私に声をかけた。
「あともう一つ、小久里《おぐり》のことで深刻な事象が生じました。」
「それはなんでしょうか?」
「小久里《おぐり》は…14年前に山梨県で発生した連続強姦殺人事件の重要参考人に指定されたのです…6か月前に発生した脱走事件を犯したことと14年前に山梨県で発生した未解決事件で重要参考人になったので…松山刑務所《けいむしょ》は…小久里《おぐり》の仮出所を取り消すことにしました。」
「その…14年前に発生した未解決事件の時効を迎えるのはいつ頃ですか?」
「たしか…今年の11月20日です。」
「11月20日。」
「ええ。」
「なんてこった。」
……………………………
(ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー…)
時は、夜10時半頃であった。
この時間、鹿児島市内《しないちゅうしんぶ》にザーザー降りの雨が降っていた。
またところ変わって、国鉄西鹿児島駅の西口にあるシティホテルのシングルルームにて…
デスクの上に1981〜1983年の3年手帳が置かれていた。
私は、万年筆を使ってメモパッドに記載されている内容を手帳に転記する作業に取り組んでいた。
………………………
13年前に愛知県で発生した強姦殺人事件の犯人グループの被告人《おとこ》が最高裁の法廷内で『(高裁へ)差し戻せ!!』と叫んだあとわめきちらした…
その一方で、6か月前に大井の造船所(塀のない刑務所)から模範囚の男が脱走した…
脱走した模範囚は、昭和43年11月に山梨県で発生した連続強姦殺人事件の重要参考人になった。
他にも、なんかわけがありそうな気がする…
一体、どうなっているのだ…
………………………………