大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【夏をあきらめて・その3】

(ツクツクホーシ、ツクツクホーシ、ツクツクホーシ、ツクツクホーシ、ツクツクホーシ…)

時は、8月23日の午前11時50分頃であった。

この日は、日中の予想最高気温が35度でもっとも蒸し暑い日であった。

またところ変わって、伊佐市大口上町にある特大和風建築の家にて…

特大和風建築の家には、かなこの知人夫婦が暮らしていた。

家の大広間のテーブルに春義《はるよし》・かなこ・香寿子《かずこ》・千寿子《ちずこ》の4人家族とかなこの知人夫婦が集まっていた。

かなこの知人夫婦の奥さまは、やさしい声で香寿子《かずこ》と千寿子《ちずこ》に言うた。

「香寿子《かずこ》さん、千寿子《ちずこ》さん…どうしたのかな?」

香寿子千寿子《ふたりのむすめ》は、奥さまに対してものすごくしかめた表情でにらみつけた。

かなこは、ものすごく怒った声で香寿子千寿子《ふたりのむすめ》に言うた。

「香寿子千寿子《ふたりとも》!!いいかげんにしなさい!!」

かなこは、奥さまに対して頭を下げながら『すみませんでした〜』と言うた。

奥さまは、やさしい声でかなこに言うた。

「香寿子千寿子《おじょうさまたち》はお腹が空いているのよ…それじゃあ、おひるごはんを食べたあとにまた話し合いをしましょうね。」

このあと、奥さまは大広間に置かれている黒電話機の受話器をあげたあと出前の電話をかけた。

……………………………

さて、その頃であった。

またところ変わって、垂水(大隅半島側の港)のフェリー乗り場の待合室にて…

私は、魚の行商のおばちゃんに声をかけたあと話をした。

おばちゃんは、私に対して宗山《むねやま》の家のご家族のことについて話した。

「宗山《むねやま》の家のご家族4人は、きのうにつづいてきょうも遠出したようです。」
「宗山《むねやま》のご家族4人がきょうも遠出した?」
「ええ。」
「あの…宗山《むねやま》の家には他にご家族の方はいらっしゃいますか?」
「一人息子《むすこ》の嫁がいます。」
「家で留守番しているのは、一人息子《むすこ》の嫁ですか?」
「ええ。」

私は『家に留守番しているのは…一人息子《むすこ》の嫁…』と言いながらゼブラシャーボーを使ってメモパッドにメモ書きをしたあとおばちゃんに声をかけた。

「一人息子《むすこ》さん夫婦は、ご両親とごきょうだい4人と同居なされているのですか?」
「一人息子《むすこ》は、遠方にタンシンフニン中です。」
「タンシンフニン中。」
「ええ。」

私は、ゼブラシャーボーを使ってメモパッドに『一人息子《むすこ》はタンシンフニン中…』と書き込んだあとおばちゃんに声をかけた。

「もう一度確認を取らせていただきますが、宗山《むねやま》のご家族4人がきのうにつづいてきょうも遠出しているとお聞きしましたが…遠出しているのは宗山《むねやま》のご夫婦とふたりのむすめさんでございますね。」
「はい。」

私が『分かりました…え~と…』と言いながらメモパッドのページをめくっていた時に、おばちゃんは私に声をかけた。

「宗山《あそこのいえ》のご家族のことについておたずねしますが…家のご家族のことで、なにか気になることはございますか?」
「あるわよ〜」
「お話を聞かせていただけますか?」
「いいわよ…宗山《あそこのいえ》の夫婦は…超がつくほどおかしいのよ。」
「それはどう言うことでしょうか?」
「どう言うことって…」

私は『え~とですね〜』と言いながらメモパッドのページを2枚めくったあとおばちゃんに声をかけた。

「宗山《むねやま》さん方の家の近所に住まわれている男性の方から聞いたお話しでございますが…宗山《むねやま》さんのご家族4人がきのうときょうどちらへ行かれたかと言うのをたずねました…男性の方は宗山《むねやま》の家族4人は鹿児島市内にある鹿児島県《けん》の自立支援機関へ行かれたと答えました。」

私が言うた言葉に対して、おばちゃんは『それはほんとうの話ですか?』と言うた。

私は、おばちゃんに対して声をかけた。

「ちょっとお待ちください…ええ…どう言うこと!?」

私は、もう一度メモパッドに書かれているメモ書きを見たあと再びおばちゃんに声をかけた。

「その男性の方は私に対してこうのべられていました…『宗山《むねやま》のご夫婦は、2人の娘に自立した暮らしを送ってほしい…2人の娘が親元から離れてほしい…と言う気持ちでいっぱいだった。』とのべられていました。」

おばちゃんは、私に対してハンロンした。

「宗山《あそこのいえ》の夫婦は気持ちの上では2人の娘さんの自立を願っているですって〜」
「ええ…男性の方は私に対してそうのべられていました。」
「その言葉は、大ウソよ〜」
「大ウソ!?」
「そうよ。」
「それじゃあ、宗山《むねやま》の家のご夫婦は…」
「宗山《あのいえ》のご夫婦は、口では2人の娘を心配しているようだけど…ホンネはなにもしていないのよ〜」
「それはどう言うことでしょうか?」
「あんただけに話すけど、宗山《あそこのいえ》のふたりの娘はリコンして実家《いえ》に出戻った…と言うことについては…半分は大ウソよ。」
「半分は大ウソ!?」
「そうよ。」
「あの、ふたりの娘さんのうちどちらが出戻りじゃないのですか!?」
「たしか…香寿子《うえのむすめ》だったと思うわよ。」
「香寿子《うえのむすめ》…あの、香寿子《うえのむすめ》さんが実家《いえ》に戻られた原因はなんでしょうか?」
「たしか…ああ思い出したわ。」
「え?」
「香寿子《うえのむすめ》はたしか…夫から暴力をふるわれたのよ。」
「なんだって?」
「夫から受けた暴力から逃れるために実家へ逃げ帰ったのよ。」
「それで?」
「その日からずっと…そのままよ。」
「…と言うことは、協議《はなしあい》はしてないのですね。」

私の問いに対して、おばちゃんはこう答えた。

「協議《はなしあい》なんかできるわけないわよ。」
「ですが…」
「香寿子《うえのむすめ》の夫の実家《いえ》の人間は自分勝手な人間ばかりが多いのよ…だから協議《はなしあい》をしてもムダよ!!」
「ですがね…」
「『ですがね…』ってなによ…香寿子《うえのむすめ》の夫の実家《いえ》の人間は自分たちさえよければいいのよ…夫が妻に対して暴力をふるっているのを親きょうだいたちは身をていしで止めなかったのよ…夫の実家《いえ》の人間は『むすこがこわいからとめることができなかった。』と言うて逃げたのよ…どこのどこまで被害者ヅラしているのかしらね!!」

私は、おばちゃんに対して声をかけた。

「香寿子《うえのむすめ》の夫の実家《いえ》の人間はそこまで自分勝手な性格なのですか?」
「そうよ。」
「だから協議《はなしあい》は一切応じない…と言うことですね。」
「そのとおりよ…香寿子《うえのむすめ》の夫の親きょうだいたち自身が夫をモンスターにしておいてなにを言うてるのかしらね…『困る困る困る困る困る困る困る困る困る困る困る困る困る困る困る困る困る困る』…と言うけど、なにに困っていると言うのよ…結婚相手と出会う機会をシングルのきょうだいたちから奪った親…20代になっても大学生活をつづけているシングルきょうだいたちが甘ったれているのよ…香寿子《うえのむすめ》の夫も夫で悪い男よ!!」
「それはどう言うことですか?」
「あんただけに話すけど、香寿子《うえのむすめ》の夫は…むかし大好きだったカノジョを思い続けているのよ…大好きだったカノジョと結婚できなかった原因が何かと言うことが分からないのよ…40代は身体《ずうたい》だけで、精神面はヨーチよ…香寿子《うえのむすめ》の夫の親は教育の仕方が悪いから精神面がヨーチになったのよ…」

このあと、おばちゃんは私に対して香寿子《かずこ》の夫と夫の実家《いえ》の人間の悪口をボロクソに言いまくった。

……………………………

(ボーッ、ボーッ、ボーッ…)

それからまた80分後であった。

私は、鴨池港(薩摩半島側)へ行くフェリーの甲板《デッキ》にいた。

私は、ショルダーバックをひざの上にのせた状態でベンチに座っていた。

ベンチに座っている私は、待合室の売店で購入したサントリーCANビールをのみながら錦江湾《うみ》に浮かぶ桜島を見つめながらつぶやいた。

香寿子《うえのむすめ》が夫から暴力をふるわれていた…

夫の実家《いえ》の人間は…

自分たちさえよければいい性格だから…

協議《はなしあい》をしてもムダだ…

なんとも言えない…

…………………………
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