大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【大阪テ・キエロ〜あなたゆえに〜】

時は、9月24日の午後1時過ぎであった。

またところ変わって、大阪キタの堂島浜《どうじまはま》にある全日空ホテルにて…

エントランスホールの中にあるカフェテリアに私と熊代《くましろ》さんと5人の家族連れの人たちがいた。

熊代《くましろ》さんは、徳田さんと同期で鹿児島県警に入った人であるが徳田さんとはキョリを置いていた。

熊代《くましろ》さんは、私に対して5人の家族連れの人たちを紹介した。

「コリントさま…ご紹介します…浅村冬萌子《あさむらともこ》さんです…冬萌子《ともこ》さんのお子さまの…けいこさん(長女・50歳)、通総《みちふさ》さん(長男・49歳)、冬萌代《ともよ》さん(次女・26歳・大学生)です…こちらの男性の方は…冬萌子《ともこ》さんの今のご主人の…道直《みちなお》さん…でございます。」
「はじめまして…コリントイワマツヨシタカグラマシーともうします…よろしくお願いします。」

初対面のごさいさつを交わしたあと、一行はソファに腰かけた。

その後、ウェイトレスさんがスイーツとドリンクを持って席にやって来た。

ウェイトレスさんは、日替わりケーキとドリンクのセットをテーブルの上にゆっくりと置いた。

ウェイトレスさんが席から離れたあと、会話を始めた。

私は、熊代《くましろ》さんに対して声をかけた。

「熊代《くましろ》さん。」
「コリントさま。」
「浅村冬萌子《あさむらのおくさま》とダンナさまは…ご再婚…でしょうか?」
「はい、そうです…浅村冬萌子《あさむらのおくさま》は…これまでに…数十回に渡って…リコンとサイコンを繰り返していました。」
「数十回に渡って…リコンとサイコンを繰り返していた?」
「はい。」
「あの…3人のお子さまは?」
「3人のうち2人は、最初のダンナさまのお子さまです…最初のダンナさまは、終戦後にシベリアの収容所で病死しました。」
「そうですか。」
「最初のダンナさまを亡くしたあと二度目のダンナさまとサイコンしましたが、ダンナさまが気に入らないことを理由に3日でリコンしました。」
「えっ?サイコンして3日目にリコンした!?」
「はい、そうです。」
「あの、今のダンナさまは何人目ですか?」
「何人目と聞かれても分かりません。」
「そうですか。」
「コリントさま…冬萌子《おく》さまは、今のダンナさまとサイコンする前に徳田さんとサイコンしたことがありました。」
「それはいつ頃ですか?」
「たしか…20年ほど前でした。」
「20年ほど前?」
「ええ…その時、通総《みちふさ》さんが大学生の時に知り合った女性と結婚することが決まった時だったのです。」
「つまりこう言うことでしょうか…通総《みちふさ》さんとカノジョが結婚することが決まった…しかし、片親の状態であれば…通総《みちふさ》さんが相手の親ごさんから口やかましく言われると思う…と感じたからでしょうか?」

私の問いに対して、熊代《くましろ》さんはこう答えた。

「コリントさまがのべられたとおりです…通総《みちふさ》さんが肩身の狭い思いをすると言うこともありますが…その前に、徳田さんを軌道修正させるためでもありました。」
「それはどう言うことでしょうか?」
「徳田さんに身をかためてほしかった…のです。」

私は『言うてる意味が理解できない…』とつぶやきながらゼブラシャーボーのシャープペンシルを使ってメモパッドにメモ書きをした。

その後、私は熊代《くましろ》さんに対して声をかけた。

「あの〜、もう一度確認を取りますが…冬萌子《おく》さまと徳田さんがサイコンなされたのは20年ほど前でしたね。」
「はい、そうです。」
「それで、通総《みちふさ》さんと花嫁さんになられるご予定だった女性の方と挙式披露宴がもよおされた日時《とき》は、いつ頃ですか?」

私の問いに対して、熊代《くましろ》さんはこう答えた。

「たしか…18年前…だったかな〜」
「18年前?」
「ええ。」
「あの、挙式披露宴がもよおされた日は18年前の何月何日でしたか?」
「え~と…18年前の6月の大安吉日の土曜日でした。」
「分かりました…それで、挙式披露宴は予定通りに進んだのでしょうか?」

私の問いに対して、熊代《くましろ》さんはこう答えた。

「挙式は挙げましたが、結婚披露宴は取りやめになりました。」
「えっ!?それはどう言うことですか!?」
「不測の事態が生じたので、披露宴が中止になったのです。」
「そうですか…分かりました。」

熊代《くましろ》さんは、私に対してこう言うた。

「コリントさま…あの時…私とうちの家内は…冬萌子《おく》さまから…バイシャクニンを頼まれていたのです。」
「バイシャクニンを頼まれていた?」
「はい…条件をつける形でバイシャクニンを引き受けました。」
「条件付き?…それはどう言うことでしょうか?」
「その点については…ここでお話をすることはできません。」
「そうですか…分かりました。」

私は、ゼブラシャーボーのシャープペンシルを使ってメモパッドにメモ書きをしたあと熊代《くましろ》さんに声をかけようとした。

その前に、熊代《くましろ》さんが私に対してこう言うた。

「コリントさま。」
「はい。」
「挙式披露宴当日のことでありますが…私と家内は、通総《みちふさ》さんが心配になったので…カレがいる控室に行ったのです。」
「控室に行かれたのですね…その時ですが…通総《みちふさ》さんの様子はどうでしたか?」
「たしか…通総《みちふさ》さんは、ものすごくイライラとしていました。」
「それは一体、どう言うことでしょうか?」
「さあ…よくわかりません。」
「そうですか…分かりました。」

話は、そこで終わった。

通総《みちふさ》が結婚披露宴《ひろうえん》の前にイライラとしていた理由を聞くことはできなかった。

熊代《くましろ》さんは…

通総《みちふさ》とカノジョが結婚をやめた理由を私に説明しなかった…

それはなぜだ…

……………………………
< 904 / 940 >

この作品をシェア

pagetop