大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【灯りがほしい】

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時は、夜7時半頃であった。

この時間、ほたるさんと私は国鉄土讃本線《どさんせん》の下り特急南風5号に乗って中村方面へ向かった。

自由席車の中にて…

ほたるさんと私は、向かい合った状態で座席に座っていた。

私は、ショルダーバックをひざの上にのせた状態で座っていた。

小さなテーブルの上には、清酒金陵《きんりょう》のワンカップ酒が並んで置かれていた。

ほたるさんは、私に対して声をかけた。

「三永《みえ》ちゃん母子《おやこ》3人は、5年ほど前に鳴門の警察署の生活安全課《せいあん》に保護された…迎えに来たダンナが三永《みえ》ちゃん母子《おやこ》3人の元にやって来たのは、保護されてから4時間後だった…三永《みえ》ちゃんのダンナは、激怒…と一緒に家に帰宅したのよ…『もう一度やり直したい』『家族4人と仲良く暮らしたい』『心入れ替えて働く』…三永《みえ》ちゃんのダンナは、三永《みえ》ちゃんに対して許し乞いをしたわ…だけど三永《みえ》ちゃんはかたくなに拒否したわ…生活安全課《せいあん》の職員の男性は『こんなにやさしいダンナさまがいるじゃないか〜』と泣きながら言うた…けれど…三永《みえ》ちゃんはますますかたくなになったのよ。」
「ダンナが言うた言葉も生活安全課《せいあん》の職員《ポリコウ》が言うた言葉もむしが良すぎる…なにが『こんなにやさしいダンナさまがいるのに…』だ…ズレてるよ!!」

私は、清酒金陵《きんりょう》のワンカップ酒をひとくちのんだあとこう言うた。

「三永《みえ》さんはますますかたくなになった…ダンナはすごく困り果てた。」

ほたるさんは、私に対して声をかけた。

「三永《みえ》ちゃんのダンナは、なんとかしたいと思ってある人に電話をかけたのよ。」
「ある人って、どなたですか?」
「たしか、ダンナのおじの徳田安夫《とくだやすお》の夫婦だったと思う。」
「徳田さんの親類方の家だ…三永《みえ》さんのダンナのどちら方のおじ夫婦ですか?」
「三永《みえ》ちゃんのダンナの母方の実家のおじさまよ。」
「徳田さんの弟さん夫婦は、警察署に到着したあと三永《みえ》さんを説得なされたのですね。」
「うん…三永《みえ》ちゃんのダンナのおじ夫婦による説得で三永《みえ》ちゃんは帰ることをショウダクしたのよ…だけど…その翌日…また大ゲンカを繰り返すようになった…その結果…」
「あの『3年前』の事件に至った。」
「そうよ。」

ほたるさんは、清酒金陵《きんりょう》のワンカップ酒をひとくちのんだあと私に声をかけた。

「三永《みえちゃん》のダンナは、23年前に三永《みえ》ちゃんが佐久本と会っていたことをシツヨウにとがめた…それが原因で三永《みえ》ちゃんは家から飛び出して行ったわ。」
「三永《みえ》さんのダンナは、なんで佐久本をうらんでいたのですか?」
「三永《みえ》ちゃんのダンナが佐久本をうらむ理由はたくさんあるわよ…よーくんだけに話すけど…佐久本は…今も三永《みえ》ちゃんのことを愛し続けているのよ。」
「それはどうしてですか?」
「佐久本は、家が三永《みえ》ちゃんちの近所で学校へ行く時にいつも顔を合わせていたのよ…佐久本も三永《みえ》ちゃんも親しいおともだちがガッコーにいなかった…だからガッコーがつまらなかった…毎朝決まった時間にあって一緒にガッコーへ行くことが楽しみだった。」
「満足していたのは、どちらだったのですか?」
「佐久本の方よ…佐久本は、三永《みえ》ちゃんと出会ったことで、少しずつだけど心を開くようになった…ガッコーへ行くことが楽しくなった…二人は、将来のヤクソクをかわしたのよ…『大学を卒業したら、結婚しよう』…と…しかし、佐久本が中学を卒業したばかりの時に家の都合が悪くなったので…父方の実家へ移り住むことになったのよ…お母さまが工場の仕事で失敗した…お父さまは、部下が勝手な行動を起こしたことが原因で責任を取る形でハイチテンカンを余儀なくされた。」
「これによって、佐久本と三永《みえ》さんは…離れ離れになった…と言うことですね。」
「そう言うことよ。」

私は『なんとも言えない…』とつぶやいたあと清酒金陵《きんりょう》のワンカップ酒をのみほした。

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ほたるさんと私が乗っている特急南風5号は、斗賀野盆地《とがのぼんち》を通って中村駅へ向かった。

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