大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【風の羽】

(ザザーン、ザザーン、ザザーン、ザザーン…)

時は、午後1時半頃であった。

またところ変わって、宮崎市近郊にある一ツ葉海岸にて…

ビーチに穏やかな波が押し寄せていた。

ほたるさんとショルダーバックを持っている私は、海を見つめながら話をした。

「輝史《あのこ》は…すごくかわいそうな子だったわ…周りの人たちから心ない言葉を浴びせられたことが原因で…すべて壊れてしまった…『高校《ガッコー》へ行け』…周りの人たちは輝史《あのこ》に対して高校《ガッコー》へ行くことを強要し続けた…その結果…特大工場《こうじょう》で大量殺りく事件を起こした…そして…200件以上の凶悪犯罪を犯した…輝史《あのこ》の人生はこれですべて終わったわ…輝史《あのこ》が凶悪犯罪を起こした原因は…すべて三永《みえ》ちゃん一人にあるのよ!!」

私は、ほたるさんに対して声をかけた。

「それはなんでですか?」
「輝彦《ダンナ》もむしゃくしゃしていたら暴れまわるなど…悪い部分はたくさんあるわよ…だけど、ダンナが暴れまわるようになったことと輝史《あのこ》が凶悪犯罪を犯した原因を作ったのはすべて三永《みえ》ちゃんにあるのよ!!」

ほたるさんは、私に対してわけを話した。

「三永《みえ》ちゃんは、高校《ガッコー》をやめたあと家出をしたのよ…この時、実家《いえ》の人たちは三永《みえ》ちゃんの養子縁組を解消したと同時に、家の戸籍から三永《みえ》ちゃんを除籍《のけ》たのよ。」
「三永《みえ》さんが水商売《よるのせかい》に入る前は、どんな仕事をなされていたのですか?」
「飲食店のチュウボウで皿洗いのお仕事をしていたわよ。」
「皿洗いのお仕事をしていた…」
「だけど、三永《みえ》ちゃんに対する風当たりは強かったわよ…周りの人たちは、三永《みえ》ちゃんに対して『なんで高校《ガッコー》へ行かなかったのか?』『高校《ガッコー》へ行ったらおともだちがたくさんいるのに』『高校《ガッコー》は楽しい時間を過ごす場所だよ。』『夏休みがない、冬休みがない、春休みがない、土曜半ドン、日曜日祝日休みがない…のはイヤだとは思わないのか?』…と口々に言われたのよ…『高校《ガッコー》は楽しいよ〜』『おともだちがたくさんいるよ〜』『おともだちに会いたいよね〜』…周りの人たちから口やかましく言われた三永《みえ》ちゃんは…それから何日か後に暴挙に出たのよ。」
「暴挙に出た…」
「三永《みえ》ちゃんは…大量殺りく事件を起こしたのよ…三永《みえ》ちゃんは、近くに停めていた乗用車を盗んだあと…ガッコーの付近を歩いていた大勢の生徒たちを次々とはねて殺した…その挙句に…女学院《ガッコー》の付近にあった公立中学校で刃物を振り回して暴れ回った…そして…罪のない子どもたちが…たくさん死傷したのよ。」
「三永《みえ》さんはその後…警察署に逮捕されたのですね。」
「うん…三永《みえ》ちゃんが警察署に逮捕された時、心神喪失状態におちいったのよ。」
「心神喪失状態だった…三永《みえ》さんはその後どうなったのですか!?」
「三永《みえ》ちゃんは、処分保留で釈放された…しかし、三永《みえ》ちゃんがやめた女学院《ガッコー》は…報道記者《マスコミ》たちが押しかけて来たなどで…授業ができなくなった…その後…女学院《ガッコー》は閉鎖された。」
「閉鎖された…それじゃあ、大量殺りく事件の被害に遭われた被害者とご遺族のみなさま方は、どう対応なされたのですか?」
「この時、徳田安夫…三永《みえ》ちゃんのダンナのおじが知人の弁護士さんを介して三永《みえ》ちゃん方の家の人たちに対して事件と向き合うようにとうながしたのよ…三永《みえ》ちゃん方の家の人たちは『カンドーした上に戸籍を除籍《のけ》た女のことは知りません!!』と言うて拒否したのよ…だけど、弁護士さんは必死になって説得したのよ…それから2日後に、三永《みえ》ちゃん方の家の人たちが『事件と向き合います』と返事した。」
「その後は?」
「少しずつだけど、被害者のみなさま方とご遺族のみなさま方に損害賠償金を払っているわよ。」
「三永《みえ》さん本人は?」

ほたるさんは、怒りを込めながら言うた。

「あの子は『自分は心身喪失で無罪を勝ち取った〜』と言うて思い上がったのよ!!だからうちは三永《あのこ》を一生許さないと決めたわよ!!」

ほたるさんは、それから数秒後に私に対して声をかけた。

「三永《みえ》ちゃんは、20になったばかりの頃に殺人事件を起こして逮捕されたのよ。」
「殺人事件を起こして逮捕された…死亡した相手の方は?」
「チャラい格好をした金持ちのぼんぼんよ。」
「その男は、三永《みえ》さんとどんな関係があったのですか?」
「知らないわよ…三永《みえ》ちゃんは、被害者の男に誘われて車に乗ったのよ…その後、ラブホの部屋で犯されそうになったのよ…三永《みえ》ちゃんは、男の頭を隠し持っていたナイフで斬《き》りつけたあと…メッタ刺しにして殺した。」
「その後は?」
「殺人罪で逮捕〜起訴〜裁判をへて…刑務所へ行ったわ…懲役7年よ。」
「懲役7年…」
「だけど、1年後に釈放されたのよ。」
「それはなんでですか?」
「被害者のチャラい男が…山梨県で発生した女子大生5人が死亡した連続通り魔殺人事件の容疑者だったことと正当防衛が認められたことよ。」
「そうだったのか…」
「他にも、徳田安夫の恩情があったことなど…いろんな事情があったのよ。」
「三永《みえ》さんが水商売《よるのせかい》に入ったのは…その直後だった…でしょうか?」
「そうよ。」

ほたるさんは、それから数秒後に私に対して声をかけた。

「三永《みえ》ちゃんも三永《みえ》ちゃんなら輝彦《ダンナ》も輝彦《ダンナ》で前科があるのよ。」
「三永《みえ》さんのダンナにも、前科があったのですか?」
「あるわよ…輝彦《ダンナ》は過去に寸借サギ事件を起こしてケーサツに逮捕されたことがあったのよ…裁判で執行猶予付きの有罪判決を受けたあと釈放された…けれど、執行猶予期間中に犯罪を犯していたことが明らかになったのよ…ふたりともダメよ…徳田安夫もオイゴを甘やかすだけ甘やかした…だからよけいに悪いのよ!!」
「なんとも言えない。」

…………………………

話は、そこで終わった。
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