大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【愛の終着駅・その6】

時は、夕方4時50分頃であった。

またところ変わって、えびの市の郊外にある京町温泉街《おんせんがい》にて…

ショルダーバックを持って旅を続けていた私は、手帳に書かれている地図をたよりに目的地へ向かって歩いていた。

「え~と…宇城田《うきた》さん方は…」

この時であった。

旅館の正面玄関のドアのガラスに『旅館・宇城田』と書かれていたのを見つけた。

「ああ、ここだ。」

……………………………

またところ変わって、旅館のエントランスホールにて…

私は、中にいる人を呼んだ。

「ごめんください!!ごめんください!!どなたがいらっしゃいますか!?…ごめんください!!」
「は~い。」

この時、奥の方から仲居さんの声が聞こえた。

その後、濃いピンク色の仲居服姿の仲居さんが玄関にやって来た。

仲居さんは『どちらさまでしょうか?』と私に聞いた。

私は、仲居さんに対してこう答えた。

「私、コリントイワマツヨシタカグラマシーと申します!!」
「コリントさま?」
「私、熊代の奥さまのおつかいでこちらに来ました!!あのすみませんけど…おかみさんはいらっしゃいますか!?」
「おかみさんですか?」
「私は、熊代の奥さまからことづけを伝えに来たのです!!」
「おかみさんはただいま出かけています。」
「困ったな〜」

私は、ものすごく言いにくい声で仲居さんに言うた。

「あの仲居さん。」
「はい。」
「ここの受付の方はいらっしゃいますか!?」
「受付の方ですか?」
「すみません!!一晩だけでいいのです!!…空いている部屋はございますか!?」
「しばらくお待ちくださいませ〜」

このあと、仲居さんは再び奥の部屋へ向かった。

この日は、ここで一泊することにした。

……………………………

時は、夕方6時半頃であった。

またところ変わって、旅館内にある露天風呂にて…

真っ暗になった空に白い月が浮かんでいた。

露天風呂に入っている私は、八代亜紀さんの歌『愛の終着駅』を歌いながら夜空に浮かんでいる月を見つめていた。

歌を歌い終えた私は、考えごとをしていた。

熊代さんの奥さまは…

1929年に…

実家のご家族たちとともに…

マンシュウリへ移住した…

宇城田《うきた》のおかみさんは…

熊代さんの奥さまよりも2年早くマンシュウリへ移住した…

宇城田《うきた》のおかみさんの実家の家族たちが暮らしていた家は…

実母《ママ》とセヴァスチャンじいさんが暮らしていた家のすぐ向かいにあった…

宇城田《うきた》のおかみさんが何か知っていると思う…

…………………………

(ぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶく…)

私は、お湯の中に全身をもぐらせた。

(バシャ!!)

「はあ〜」

お湯の中から出てきた私は、荒い息づかいをしながら言うた。

「もしかしたら…セヴァスチャンじいさんは…どこかで生きているかもしれない…いや…そんなはずないか…いや待てよ…いや、セヴァスチャンじいさんは生きてないと思う…だけど…何か気になるぞ!!」

一体なにがどうなっているのだ…

ますます分からなくなった。

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