大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)
【消えないで紅】
時は、11月17日の朝8時45分頃であった。
またところ変わって、国鉄えびの駅のすぐ近くにある喫茶店《サテン》にて…
熊代さんの奥さまと私は、向かいあった状態で座っていた。
奥さまと私は、一セット500円のモーニングで朝食をとったあとコーヒーをのみながら話をしていた。
私が座っている席のテーブルにゼブラシャーボーのシャープペンシルとメモパッドが置かれていた。
奥さまは、私に対して声をかけた。
「コリントさま。」
「はい。」
「うちら家族が現地(マンシュウリ)に移住したあとのことについてですが…その時うちは…おぞましい光景を目の当たりにしたのです。」
「おぞましい光景を目の当たりにした?」
「はい。」
奥さまは、ものすごく言いにくい声で私に言うた。
「あの…ものすごく言いにくい話でございますが…コリントさまのおかあさまとセヴァスチャンと言うじいさんがダラクしていた現場を目の当たりにしたのです。」
「それはいつ頃の話ですか?」
「1930年の冬のある日のことでした。」
奥さまは、のみかけのコーヒーをひとくちのんだあと私に対してものすごく言いにくい声で言うた。
「あの時…コリントさまのおかあさまが流産なされました。」
「リュウザン…した。」
「はい。」
「実母《はは》の胎内にいた赤ちゃんは?」
「女の子でした。」
「私の実の妹にあたる子…だった。」
奥さまは、ものすごく言いにくい声で私に言うた。
「コリントさまのおかあさまは、ぐすんぐすんと流れていた…セヴァスチャンと言うじいさんは…コリントさまのおかあさまの肩を抱きながらなぐさめていた…」
奥さまは、その時の様子を私に話した。
………………………………
時は、1930年のある日のことだった。
ところ変わって、マンシュウリにあるセヴァスチャンじいさんと実母《ママ》たちが暮らしていた家の広間にて…
マタニティ服姿の実母《ママ》は、ぐすんぐすんと泣いていた。
セヴァスチャンじいさんは、実母《ママ》の肩を抱きながらやさしくなぐさめていた。
「グスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスン…グスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスン…」
「キョウコさん(実母《ママ》の名前)…泣かないでくれ…泣かないでくれ〜」
「クスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスン…クスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスン…」
「キョウコさん…わしがいるから大丈夫だよ…わしがいるから大丈夫だよ〜」
……………………………
ところ変わって、喫茶店にて…
熊代さんの奥さまは、私に対してものすごく言いにくい声で言うた。
「その後…セヴァスチャンと言うじいさんは…コリントさまのおかあさまと…」
「関係を持ってしまった…」
「はい…それから10ヶ月後に男の子の赤ちゃんが生まれました。」
「私の異父兄弟《きょうだい》にあたる子…ですね。」
「はい…それからまた2年半後でした…今度は…隠し子の男が…」
……………………………
時は、1933年のある日のことだった。
またところ変わって、マンシュウリにあるセヴァスチャンじいさんと実母《ママ》たちが暮らしている家にて…
家の広間にセヴァスチャンじいさんと実母《ママ》とセヴァスチャンじいさんの隠し子の男がいた。
セヴァスチャンじいさんの隠し子の男は、赤色のジュバン姿の実母《ママ》をセヴァスチャンじいさんから引き離そうとした。
実母《ママ》にすがりついたセヴァスチャンじいさんは『イヤだ!!』と泣き叫んでいた。
セヴァスチャンじいさんの隠し子の男は、ものすごく怒った声でセヴァスチャンじいさんに言うた。
「返せよ!!キョウコはオレの妻だ!!」
「わしはさびしいのだよ〜」
「ふざけるなクソジジイ!!」
セヴァスチャンじいさんの隠し子の男は、セヴァスチャンじいさんから実母《ママ》を取り上げた。
実母《ママ》は『離して!!』と泣き叫んだ。
(パチーン!!パチーン!!パチーン!!)
「痛い!!痛い!!痛い!!」
セヴァスチャンじいさんの隠し子の男は、実母《ママ》をマットレスの上に寝かせたあと平手打ちで顔をたたいた。
「ふざけるな!!オラ!!」
「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
…………………………
またところ変わって、えびの駅の近くにある喫茶店《サテン》にて…
熊代さんの奥さまは、私に対してものすごく言いにくい声で言うた。
「コリントさまのおかあさまは…セヴァスチャンじいさんの隠し子の男に犯された…そして…二人目の赤ちゃんを…みごもりました。」
私は、ものすごくつらい表情で言うた。
「それで、ふたりのお子さまは?」
「引き揚げの途中ではぐれました…(終戦から)38年が経過した今も…」
「行方不明である。」
「はい。」
「なんてこった…」
熊代さんの奥さまから話を聞いた私は、全身が凍りついて動けなくなった。
奥さまは、私に対してもうしわけない表情で言うた。
「コリントさま…すみませんでした…こんなこと…話したくなかったのですが…コリントさま。」
………………………
つらい…
すごくつらい…
すごく悲しい…
泣きたい…
泣きたいよ…
…………………………
またところ変わって、国鉄えびの駅のすぐ近くにある喫茶店《サテン》にて…
熊代さんの奥さまと私は、向かいあった状態で座っていた。
奥さまと私は、一セット500円のモーニングで朝食をとったあとコーヒーをのみながら話をしていた。
私が座っている席のテーブルにゼブラシャーボーのシャープペンシルとメモパッドが置かれていた。
奥さまは、私に対して声をかけた。
「コリントさま。」
「はい。」
「うちら家族が現地(マンシュウリ)に移住したあとのことについてですが…その時うちは…おぞましい光景を目の当たりにしたのです。」
「おぞましい光景を目の当たりにした?」
「はい。」
奥さまは、ものすごく言いにくい声で私に言うた。
「あの…ものすごく言いにくい話でございますが…コリントさまのおかあさまとセヴァスチャンと言うじいさんがダラクしていた現場を目の当たりにしたのです。」
「それはいつ頃の話ですか?」
「1930年の冬のある日のことでした。」
奥さまは、のみかけのコーヒーをひとくちのんだあと私に対してものすごく言いにくい声で言うた。
「あの時…コリントさまのおかあさまが流産なされました。」
「リュウザン…した。」
「はい。」
「実母《はは》の胎内にいた赤ちゃんは?」
「女の子でした。」
「私の実の妹にあたる子…だった。」
奥さまは、ものすごく言いにくい声で私に言うた。
「コリントさまのおかあさまは、ぐすんぐすんと流れていた…セヴァスチャンと言うじいさんは…コリントさまのおかあさまの肩を抱きながらなぐさめていた…」
奥さまは、その時の様子を私に話した。
………………………………
時は、1930年のある日のことだった。
ところ変わって、マンシュウリにあるセヴァスチャンじいさんと実母《ママ》たちが暮らしていた家の広間にて…
マタニティ服姿の実母《ママ》は、ぐすんぐすんと泣いていた。
セヴァスチャンじいさんは、実母《ママ》の肩を抱きながらやさしくなぐさめていた。
「グスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスン…グスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスングスン…」
「キョウコさん(実母《ママ》の名前)…泣かないでくれ…泣かないでくれ〜」
「クスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスン…クスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスンクスン…」
「キョウコさん…わしがいるから大丈夫だよ…わしがいるから大丈夫だよ〜」
……………………………
ところ変わって、喫茶店にて…
熊代さんの奥さまは、私に対してものすごく言いにくい声で言うた。
「その後…セヴァスチャンと言うじいさんは…コリントさまのおかあさまと…」
「関係を持ってしまった…」
「はい…それから10ヶ月後に男の子の赤ちゃんが生まれました。」
「私の異父兄弟《きょうだい》にあたる子…ですね。」
「はい…それからまた2年半後でした…今度は…隠し子の男が…」
……………………………
時は、1933年のある日のことだった。
またところ変わって、マンシュウリにあるセヴァスチャンじいさんと実母《ママ》たちが暮らしている家にて…
家の広間にセヴァスチャンじいさんと実母《ママ》とセヴァスチャンじいさんの隠し子の男がいた。
セヴァスチャンじいさんの隠し子の男は、赤色のジュバン姿の実母《ママ》をセヴァスチャンじいさんから引き離そうとした。
実母《ママ》にすがりついたセヴァスチャンじいさんは『イヤだ!!』と泣き叫んでいた。
セヴァスチャンじいさんの隠し子の男は、ものすごく怒った声でセヴァスチャンじいさんに言うた。
「返せよ!!キョウコはオレの妻だ!!」
「わしはさびしいのだよ〜」
「ふざけるなクソジジイ!!」
セヴァスチャンじいさんの隠し子の男は、セヴァスチャンじいさんから実母《ママ》を取り上げた。
実母《ママ》は『離して!!』と泣き叫んだ。
(パチーン!!パチーン!!パチーン!!)
「痛い!!痛い!!痛い!!」
セヴァスチャンじいさんの隠し子の男は、実母《ママ》をマットレスの上に寝かせたあと平手打ちで顔をたたいた。
「ふざけるな!!オラ!!」
「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
…………………………
またところ変わって、えびの駅の近くにある喫茶店《サテン》にて…
熊代さんの奥さまは、私に対してものすごく言いにくい声で言うた。
「コリントさまのおかあさまは…セヴァスチャンじいさんの隠し子の男に犯された…そして…二人目の赤ちゃんを…みごもりました。」
私は、ものすごくつらい表情で言うた。
「それで、ふたりのお子さまは?」
「引き揚げの途中ではぐれました…(終戦から)38年が経過した今も…」
「行方不明である。」
「はい。」
「なんてこった…」
熊代さんの奥さまから話を聞いた私は、全身が凍りついて動けなくなった。
奥さまは、私に対してもうしわけない表情で言うた。
「コリントさま…すみませんでした…こんなこと…話したくなかったのですが…コリントさま。」
………………………
つらい…
すごくつらい…
すごく悲しい…
泣きたい…
泣きたいよ…
…………………………