大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【櫻(さくら)の花のように・その3】

時は、12月23日の朝6時55分頃であった。

ツインルームのベットで眠っていたしほこが目を覚ました。

「ああ…コリントさま…コリントさまがいない!!」

大パニックにおちいったしほこは、大急ぎで着替えをした。

………………………………

またところ変わって、ホテルのエントランスホールにて…

私は、ショルダーバックをひざの上にのせた状態でソファに腰かけていた。

私は、ショルダーバックに収納されていた1981〜1983年の3年手帳を取り出したあとメモ書きを見ていた。

メモ書きを見たあと、私は手帳をショルダーバックに収納した。

この時、しほこがアタフタした様子でエントランスホールにやって来た。

「コリントさま!!」

私は、怒った声でしほこに言うた。

「何やってるのだよ!!前の晩に言うた言葉を忘れたのかよ!?明日の朝は早めに出発するぞと言うたのだぞ!!」
「すみません〜」
「出発するぞ!!」

……………………………

時は、朝9時半頃であった。

またところ変わって、稲佐山の頂上にある公園にて…

しほこと私は、展望台から見える長崎市内《ちゅうしんぶ》を見つめていた。

私は、展望台から見える長崎市内《ちゅうしんぶ》の風景を見つめながら言うた。

「きょうは天気がいいから、五島列島《とおくにあるしまじま》がみえるといいね〜」

私が言うた言葉に対して、しほこはひとことも言わなかった。

私は、しほこに対して声をかけた。

「ねーちゃん…ねーちゃん!!」
「はい?」
「ねーちゃんは結婚することがイヤだと言うたね。」
「言いました。」
「それはお見合い結婚がイヤなんだろ?」
「そうです。」
「ねーちゃんは、恋愛結婚の方がいいのか!?」
「どちらかと言えば…恋愛結婚がしたかった…です。」

私は、大きくため息をついたあとしほこに言うた。

「日本《このくに》の若いもんはなにを考えているのか…理解できない…第二次世界大戦《さきのたいせん》が終わってから38年が経過した今は、恋愛結婚が主流になった…その一方で、お見合いをして結婚した人が少数になった…お見合いをして結婚することがイヤな理由がよく分からない。」

しほこは、私に対してこう言うた。

「お見合いを経て結婚した人は…親もとから自立できない人たちばかりよ!!」

私は、やや怒った声でしほこに言うた。

「それはどう言うことかな?…ねーちゃんとお見合いをした男は、親もとから自立できない人間ばかりだったと言うのか!?」
「はい…この最近、アタシとお見合いした人がそうです。」
「その人は、今でも親と暮らしているのか?」
「はい。」

それから数秒後にしほこは私に対してこう言うた。

「相手の親は…『心細い』と言うてました。」
「心細い?…心細いからどうしてくれと言うた!?」
「だから…結婚したあともうちにいてくれと言うたのです。」
「他には?」
「ありません。」

しほこは、ひと呼吸つけたあと私にこう言うた。

「相手方の家は、12年前に発生した連続レイプ殺人事件で…たった一人の娘さんをなくしたのです…アタシは…犯罪被害を受けて亡くなられた娘の代わりになるのがイヤなのです!!」

そうだったのか…

私は、つかれた表情でつぶやいたあとしほこに声をかけた。

「行くぞ。」

このあと、しほこと私は展望台から出発した。

……………………………

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、夕方6時過ぎであった。

しほこと私は、長崎駅から各駅停車《どんこう》を乗り継いで東へ向かった。

しほこと私は、鳥栖駅経由で長崎本線《ながさきせん》と鹿児島本線《かごしません》と九大本線《きゅうだいせん》を通って大分方面へ向かった。

その後は、別府観光港からフェリーに乗って四国方面へ行く予定であった。

…………………………

(ボーッ、ボーッ、ボーッ…)

時は、夜9時頃であった。

しほこと私は、別府観光港から三崎港行きの宇和島運輸フェリーに乗って旅に出た。

フェリーの甲板《デッキ》にて…

しほこはベンチに座っていた。

ショルダーバックを持っている私は、立っていた。

私は、ベンチに座っているしほこに対して声をかけた。

「ねーちゃん。」
「なあに?」
「ねーちゃんはほたるさんのことを知ってるの?」
「はい。」
「ねーちゃんは、高松の塩上町にあったスナックで働いていたのだね。」
「はい。」
「その近くにあった旅館…つまり、ちょいの間旅館で働いていたこともあったのだね。」
「まちがいありません。」
「分かった…明日…松山へ行こう。」
「松山?」
「ほたるさんは、カヤマチにあるマンションで暮らしている知人のもとに滞在していると聞いている…だからそこへ行く。」

私が言うた言葉に対して、しほこはつらそうな表情を浮かべた。

私は、しほこに対して声をかけた。

「ねーちゃん…ねーちゃん!!」
「はい。」
「ねーちゃんは、ほたるさんのもとでだいぶお世話になったのだろ!!」
「……………………。」
「『あの時はお世話になりました』『ママ、ごぶさたしてます』…のひとことを言えないのか!?」
「すみませんでした…アタシ…ほたるママに…たくさんめいわくをかけたことがあったのです〜」
「だったら、ほたるさんに対してきちんとあいさつしなさい!!」
「分かりました。」

………………………………

(ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ…)

日付が変わって、12月24日の深夜2時過ぎであった。

ほたるさんと私は、三崎港でフェリーから降りたあとヒッチハイクした長距離トラックに乗って再び旅に出た。

トラックは、国道197〜378号線〜海沿いの県道を通って松山方面へ向かった。

松山市内にトラックが到着したのは、明け方5時半頃だった。

このあと、しほこと私はほたるさんのもとへ行く予定であった。

………………………

時は、朝8時頃であった。

またところ変わって、松山市カヤマチにある8階建ての賃貸マンションにて…

ほたるさんが滞在していると思われる部屋は、7階にあった。

しほこと私が7階の真ん中の部屋の前に到着した時のことであった。

部屋のトビラに張り紙が貼られていたのを見た。

なんだこりゃ…

一体なにがあったのだ…

……………………

この時であった。

マンションの住人が部屋の前を通りかかったので、私は聞いてみた。

「あの〜」
「はい。」
「この部屋で暮らしていた住人の方は?」
「□△さん?」
「はい。」
「□△さんは、家賃を滞納していた上にヤミキンからカネをたくさん借りていたなど…カネの問題が深刻になったので退去命令を下されたのです。」
「一緒に暮らしていた方はいらっしゃいますか?」
「いなかったわよ。」

ほたるさんがいない?

一体どうなっているのだ…

ほたるさんはどこへ行ったのだ!?

………………………………
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