【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「お帰りなさいませ、アナベルさま。そしてアナベルさまの護衛を引き受けてくださって、ありがとうございます。ロクサーヌさま、イネスさま、カミーユさま」
メイドたちがずらりと並んでアナベルたちを出迎える。ロクサーヌたちは予期せぬ歓迎に目を丸くしていた。その様子を見て、アナベルはくすりと笑い声を上げる。
「カルメ伯爵夫人は?」
「アナベルさまをお待ちです。さあ、みなさま、私についてきてください」
年長のメイドが先頭を歩いていく。アナベルもうなずいて、ロレーヌのところへ足を運んだ。
「カルメ伯爵人、アナベルさま方をお連れしました」
「お入りになって」
ロマーヌが使っている部屋へ案内され、メイドはアナベルに「お茶を用意しますね」と声をかける。
「ええ、お願いします」
扉を開けて中に入ると、ロレーヌがソファから立ち上がる。娼館の三人は、初めて見る貴族の佇まいをまぶしそうに眺めていた。
「――ごきげんよう、私はアナベルさまの教育係、ロマーヌと申します」
すっとカーテシーをするロマーヌに、彼女たちはしどろもどろになりながらも、なんとか挨拶を返す。
「――なるほど」
ぽつりとロマーヌが言葉をこぼす。娼婦たちのことを頭のてっぺんから足のつま先までじぃっと見つめて、ソファに座るようにうながした。
「……貴族の夫人とこうして話す機会があるなんて、世の中いろいろあるのねぇ」
カミーユがしみじみとつぶやくと、ロマーヌの瞳がきらりと光る。
それぞれソファに好きに座っているからだろう。
メイドたちがずらりと並んでアナベルたちを出迎える。ロクサーヌたちは予期せぬ歓迎に目を丸くしていた。その様子を見て、アナベルはくすりと笑い声を上げる。
「カルメ伯爵夫人は?」
「アナベルさまをお待ちです。さあ、みなさま、私についてきてください」
年長のメイドが先頭を歩いていく。アナベルもうなずいて、ロレーヌのところへ足を運んだ。
「カルメ伯爵人、アナベルさま方をお連れしました」
「お入りになって」
ロマーヌが使っている部屋へ案内され、メイドはアナベルに「お茶を用意しますね」と声をかける。
「ええ、お願いします」
扉を開けて中に入ると、ロレーヌがソファから立ち上がる。娼館の三人は、初めて見る貴族の佇まいをまぶしそうに眺めていた。
「――ごきげんよう、私はアナベルさまの教育係、ロマーヌと申します」
すっとカーテシーをするロマーヌに、彼女たちはしどろもどろになりながらも、なんとか挨拶を返す。
「――なるほど」
ぽつりとロマーヌが言葉をこぼす。娼婦たちのことを頭のてっぺんから足のつま先までじぃっと見つめて、ソファに座るようにうながした。
「……貴族の夫人とこうして話す機会があるなんて、世の中いろいろあるのねぇ」
カミーユがしみじみとつぶやくと、ロマーヌの瞳がきらりと光る。
それぞれソファに好きに座っているからだろう。