俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
 そのまま瀬那ちゃんと共にレストランへ向かうと、彼女の友人二人とスーツを着た男性が四人すでにテーブル席に座っていた。
 そういえば、合コンが何をするものなのか聞くのを忘れていた...。
 端っこの席に座りドキドキしていると、お互いに自己紹介が始まる。男性は四人とも外資系製薬会社でMRをしているそう。
 緊張でガチガチの私は名前や年齢、職業、趣味はゲームですとだけ言い頭を下げると、隣の瀬那ちゃんが「絆音はこういう所初めてだから緊張してるんです」とフォローしてくれた。 

 そして私は、目の前に座る北田さんという男性から勧められたワインを飲み、雰囲気を壊さないようなんとか会話を繋げる為頭をフル回転させていた。
 彼はさすが営業職だけあって話が上手く、その会話術に感心してしまう。
 「でもゲームが趣味って意外だなぁ。俺も好きなんだけど、どういうのやるの?」
 「えっと、私はバトルロイヤル系のゲームが好きで...」
 「え、本当に?じゃあこれ知ってる?」と私がよくやっているゲームの名前をあげられ、思わず自分が好きなポイントをテンション高めに語ってしまった。
 「ははっ、やっと絆音ちゃんの素顔がみられた気がする!今度一緒にやろうよ、連絡先聞いてもいい?」
 「あ、えっと...」と曖昧な返事をしながらも断る事が出来ず、結局電話番号を交換した。
 
 緊張からつい飲みすぎてしまっていたようで、二次会に行こうという話が盛り上がっている中トイレに立つと足元がふらつく程酔ってしまっていた。
 「大丈夫?見た目変わらないけどけっこう酔ってたんだね、可愛いー」
 追いかけて来たらしい北田さんに顔を覗き込まれ、咄嗟に後退りしようとよろけた私の身体を支えてくれた彼は、そのまま私の腕を掴んで「ねぇ、二人で抜けない?」と耳元で囁く。
 どうしよう、何て断ろう...そう思った時、私のポケットのスマホから着信音が鳴り響いた。
 その音で腕を掴む力が弱まり、その隙にパッと彼から離れ「電話!出てきます!」と個室へ逃げ込んだ。

 良かった...そう息を吐いているうちに着信音は止まったけれど、すぐにまた鳴り始め確認すると、そこには兄の名前が...。
 どうしてこのタイミングで...?もしかして、本当に副社長が...?と内心ドキドキしながらも、平然を装って鳴り響く着信音を止めた。
 「出るのが遅い!絆音、お前今どこにいる⁉︎」
 私が声を出す間もなく放たれた怒りを含んだ大きい声に、もう確実にバレていると悟る。
 「え、えっと...どうして?」
 「どうして?じゃないだろう!いいから早く場所言え、すぐに迎えに行く」
 「はい...」
 私は早々に白旗を上げ、素直に場所を伝え迎えにきてもらう事になった。
 挨拶をしてバッグを待ち早足にお店の外へと出てきたけれど、またも追いかけてきた北田さんに腕を掴まれてしまう。
 「本当に帰っちゃうの?また会ってくれる?俺、絆音ちゃんに一目惚れ...」
 そう言う彼の視線が私の後ろに移り、どうしたのかな?と思った時にはグッと後ろに引かれて腕の中に収まっていた。
 「悪いが気安く触らないでくれ」
 低い声が頭の上から響き、そのまま背中を押され車に乗せられた。
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