俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
翔side
 「類とゲームしてたのか?」
 「さっきまでしていました。いよいよお店もオープンの目処がたったみたいですよ」
 「へぇ、楽しみだな」
 「晴くんはどうでした?まだ怒ってましたか...?」
 「いや、認めたくないけど認めるって言ってたよ」
 「そうですか、よかった!」
 「絆音だろ?色々晴臣に教えたの。美雨さん経由で」
 「...バレてましたか?美雨さんに、それとなく話してもらえるようにお願いしたんですけど...」
 「ありがとな、おかげで俺もすっきりしたよ」
 「...?じゃあ良かったです」
 「ああ、良かったよ」
 そう言いながらもそろそろ限界が近くなってきた俺は絆音の身体をマッサージするように撫でる。
 そのままさりげなく胸を触れば手を掴まれたが、本気で抵抗するほどの意思は感じられない。
 「ん...待って、ください...」
 「待てない」
 絆音の身体をくるっと反転させ、向かい合って赤く染まっている頬を撫でる。
 「ふっ、もうのぼせそうな顔してる」
 「...さっきから、ずっと入っているので...」
 「もう出たい?」
 「はい」
 「じゃあ、ここ座ってて」
 抱き上げてバスタブの縁に座らせると、慌てて身体を隠そうとする彼女の手を掴む。
 「やっ、恥ずかしいです...」
 「可愛い、全部」
 いつもは真っ白な肌がピンク色に染まっていて、恥ずかしそうに身体を捩る姿にも煽られ止まらなくなってしまった。
 絆音の甘い声が響き、脳までふやけそうな感覚に浸りながらベッドへと移動した所で二回戦へ突入してしまい、絆音はくったりと俺の胸に寄りかかってうとうとしている。
 「なぁ、絆音は入籍の日にちにこだわりはあるか?」
 「...いえ、特には」
 「じゃあ、来月のパーティーの前に婚姻届を提出しに行かないか?」
 「...はい、翔さんのタイミングで大丈夫です」
 「ありがとう。"堂上絆音"になるのは嫌じゃない?」
 「...ふふっ、名前が変わるのってなんか不思議ですね。もちろん嫌じゃないですよ?慣れるまで時間がかかりそうですけど」
 そうのんびり言う彼女の口ぶりに嘘はなさそうで、内心ホッとしていた。
 「じゃあ、来月のパーティーは俺の妻として出席してくれ」
 「...え?結婚したら、私は秘書を辞めないといけないんですか...?」
 「違うよ、今回のパーティーでの話。結婚も発表するし、パーティー中は秘書じゃなく妻として俺のそばにいてほしいんだよ」
 兄妹揃って同じ勘違いをするので、宥めるように優しくそう言うと「よかった...」と安堵の声を漏らす。
 「あ、だから私は役割が決まっていなかったんですか?例年今ごろはもう準備に取りかかる頃なのに...」
 「山内には話してある。だから今年から絆音は外れていい、これからパーティーは全部俺の妻として出席することになるんだから」
 「...分かりました。事前の準備はやらせてもらいますけど、当日は翔さんの妻としての役目を頑張ります」
 「挨拶まわりは疲れるかもしれないが、それだけ少し付き合ってくれ。あとは好きなだけデザート食べてていいからな」
 「ふふっ、去年もたくさん可愛いデザートがあってわくわくしてました」
 その言葉に思わず髪を撫でていた手が止まる。
 「...去年の事、思い出したのか?」
 「...いえ、少しだけ受付をしていたことや、翔さんが会長と話していた場面、デザートが並んだテーブルも写真の様な感じで微かに思い出したくらいです」
 「...そうか」

 また少しづつ記憶が戻ってきているんだな...
 同じ景色をみて記憶が戻る事は避けたかった為、今年はここ数年使っていたホテルではなく別の会場を用意させた。
 それでもパーティーとなればどうしても同じ様な風景にはなるだろうが...。
 さっき風呂場で照明がついた状態で絆音の身体を見た時、背中や腰太もも辺りにも僅かに痣のようなものが残っているのが見えた。
 骨折は治っても今でも身体に事件の証が残っている事に胸が痛くてたまらなかった。
 やはり今年は絶対に絆音をそばから離さないようにしよう...
 改めてそう誓い、寝息をたて始めた彼女を抱き寄せて目を閉じた。
< 105 / 132 >

この作品をシェア

pagetop