俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
翔side
そして俺達は、十月十日に二人で婚姻届を提出し晴れて夫婦となった。
こだわりが無いと言う絆音がこの日を選んだのは覚えやすいからという単純な理由だが、俺としては一日でも早く結婚してしまいたかった為異論など全くなかった。
絆音はパーティー当日こそ妻として出席するが、そこまでの準備は秘書として仕事をするため最近はかなり忙しそう。
しかし俺はこんなに穏やかな気持ちでこのパーティーを待ち遠しいとすら思うのは生まれて初めてだ。
物心がついた頃から参加していたパーティーも、俺が高校生になった頃からは気づけば娘を紹介したい重役たちが毎年列をなすようになっていた。
その頃から俺は会社を継ぐつもりでいたが、大人達がまだ高校生の俺にごまをする姿は嫌悪感しかなく、見合いなんて打算的な事は絶対にしないと心に誓っていた。
最近は彼女の方が残業が長い事もあり、今日も迎えに行くと「もう少し待って下さい」と言われてしまう。
早く家に帰って絆音とゆっくりしたいと思いつつ、仕事の邪魔は出来ないので終わるまで自室で待っていた。
すると、少ししてドアがノックされ扉を開けると「翔、ちょっといいか」と入ってきたのは社長だった。
あからさまにガッカリした俺に「なんだ、絆音ちゃんかと思ったのか?」とニヤニヤしている父さん。
「何ですか、絆音が終わったら俺もすぐ帰りますけど」
「ああ、そんなに時間はかからない。この間の会議の件だが...」としばらく仕事の話をしてから資料をしまうと「絆音ちゃんはまだ残業しているのかい?」と腕時計に目を落とす。
「毎年この時期秘書課は忙しいですから」
「でも、今年は副社長の妻として出席するんだろう?この前家で母さんが何着も着物を着せていたよ」
「全く...相変わらず母さんは絆音を着せ替え人形だと思ってるんだから。準備の段階では関係ないから秘書として仕事をさせてくれと彼女が言ったんですよ」
「絆音ちゃんは本当に真面目でいい子だね、お前には勿体無いくらいだ。じゃあこれからも変わらず秘書を続けるつもりなのか?」
「絆音は結婚してからも何も変わりませんよ。会社では旧姓のままだし、今まで通り秘書としてきっちり仕事しています」
「そうか...でもいずれ妊娠でもしたらこのまま続けていくのは大変だろう?そうなる前に後任を育てておけよ?」
「...絆音が、妊娠...?」
「子どもは考えていないのか?もう結婚したんだから、いつそうなってもおかしくないだろう」
「...絆音がどう思っているかわかりませんが、まだ考えてませんよ。後継者が必要な事は分かってますけど、絆音にプレッシャーをかけるような真似は絶対にやめて下さいよ?」
「そんなに怖い顔で睨まなくてもわかってるよ。ただ、会社としてもお前の秘書が務まりそうな人を育てておいて損はないという話だ。絆音ちゃんだって最初の頃は苦労していただろう?」
「まぁ、それはそうかもな...」
「そういえば、今年は類もパーティーに出席すると言っていたよ。日本での人脈を作りたいらしい」
「類が...?」
「とにかく、今年はしっかり妻を守るんだぞ?」
「もちろん分かってるよ」
そんな話をしていると再びドアがノックされ、絆音が顔を覗かせた。
「あ、すみません。お話し中に...」
「もう終わったから大丈夫だよ。お疲れ様、絆音ちゃん」
「カバン持ってきたか?帰るぞ」
「あ、はい。お疲れ様でした」
今日は遅くなったし絆音も疲れているだろうから、マンションの下にあるレストランで料理をテイクアウトして帰ってきた。
一生懸命グラタンをふーふーして冷ましながら頬張る彼女を見ていると、さっきの父さんとの会話が頭に浮かんだ。
まだこんなに可愛らしい絆音が子どもを...?
母親になる姿は...まだ想像できないな。
結婚前から一緒に暮らしていたし、夫婦になってからも特に何も変わらず避妊もしている。
いや、あれから絆音は忙しくなったしほとんどそういう事はできていないけど...。
でもちゃんとそこは確認しておくべきだよな...
「...? グラタン食べますか?」
「...え?いや、食べていいよ」
「翔さんもお疲れですね、お風呂に入ってすぐ寝ましょう?」
「...そうだな」
そして俺達は、十月十日に二人で婚姻届を提出し晴れて夫婦となった。
こだわりが無いと言う絆音がこの日を選んだのは覚えやすいからという単純な理由だが、俺としては一日でも早く結婚してしまいたかった為異論など全くなかった。
絆音はパーティー当日こそ妻として出席するが、そこまでの準備は秘書として仕事をするため最近はかなり忙しそう。
しかし俺はこんなに穏やかな気持ちでこのパーティーを待ち遠しいとすら思うのは生まれて初めてだ。
物心がついた頃から参加していたパーティーも、俺が高校生になった頃からは気づけば娘を紹介したい重役たちが毎年列をなすようになっていた。
その頃から俺は会社を継ぐつもりでいたが、大人達がまだ高校生の俺にごまをする姿は嫌悪感しかなく、見合いなんて打算的な事は絶対にしないと心に誓っていた。
最近は彼女の方が残業が長い事もあり、今日も迎えに行くと「もう少し待って下さい」と言われてしまう。
早く家に帰って絆音とゆっくりしたいと思いつつ、仕事の邪魔は出来ないので終わるまで自室で待っていた。
すると、少ししてドアがノックされ扉を開けると「翔、ちょっといいか」と入ってきたのは社長だった。
あからさまにガッカリした俺に「なんだ、絆音ちゃんかと思ったのか?」とニヤニヤしている父さん。
「何ですか、絆音が終わったら俺もすぐ帰りますけど」
「ああ、そんなに時間はかからない。この間の会議の件だが...」としばらく仕事の話をしてから資料をしまうと「絆音ちゃんはまだ残業しているのかい?」と腕時計に目を落とす。
「毎年この時期秘書課は忙しいですから」
「でも、今年は副社長の妻として出席するんだろう?この前家で母さんが何着も着物を着せていたよ」
「全く...相変わらず母さんは絆音を着せ替え人形だと思ってるんだから。準備の段階では関係ないから秘書として仕事をさせてくれと彼女が言ったんですよ」
「絆音ちゃんは本当に真面目でいい子だね、お前には勿体無いくらいだ。じゃあこれからも変わらず秘書を続けるつもりなのか?」
「絆音は結婚してからも何も変わりませんよ。会社では旧姓のままだし、今まで通り秘書としてきっちり仕事しています」
「そうか...でもいずれ妊娠でもしたらこのまま続けていくのは大変だろう?そうなる前に後任を育てておけよ?」
「...絆音が、妊娠...?」
「子どもは考えていないのか?もう結婚したんだから、いつそうなってもおかしくないだろう」
「...絆音がどう思っているかわかりませんが、まだ考えてませんよ。後継者が必要な事は分かってますけど、絆音にプレッシャーをかけるような真似は絶対にやめて下さいよ?」
「そんなに怖い顔で睨まなくてもわかってるよ。ただ、会社としてもお前の秘書が務まりそうな人を育てておいて損はないという話だ。絆音ちゃんだって最初の頃は苦労していただろう?」
「まぁ、それはそうかもな...」
「そういえば、今年は類もパーティーに出席すると言っていたよ。日本での人脈を作りたいらしい」
「類が...?」
「とにかく、今年はしっかり妻を守るんだぞ?」
「もちろん分かってるよ」
そんな話をしていると再びドアがノックされ、絆音が顔を覗かせた。
「あ、すみません。お話し中に...」
「もう終わったから大丈夫だよ。お疲れ様、絆音ちゃん」
「カバン持ってきたか?帰るぞ」
「あ、はい。お疲れ様でした」
今日は遅くなったし絆音も疲れているだろうから、マンションの下にあるレストランで料理をテイクアウトして帰ってきた。
一生懸命グラタンをふーふーして冷ましながら頬張る彼女を見ていると、さっきの父さんとの会話が頭に浮かんだ。
まだこんなに可愛らしい絆音が子どもを...?
母親になる姿は...まだ想像できないな。
結婚前から一緒に暮らしていたし、夫婦になってからも特に何も変わらず避妊もしている。
いや、あれから絆音は忙しくなったしほとんどそういう事はできていないけど...。
でもちゃんとそこは確認しておくべきだよな...
「...? グラタン食べますか?」
「...え?いや、食べていいよ」
「翔さんもお疲れですね、お風呂に入ってすぐ寝ましょう?」
「...そうだな」