俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
翔side
翔side
絆音が出て行ってから一週間。
俺は、普段は決して使わないコネとあらゆる人脈を使い、絆音を取り戻す為に必死になっていた。
一人にさせたくないから待っていてくれと言ったのに実家へ帰ってしまうし、その次の日には急いで仕事を片付けて戻れば待っていたのは山内で、差し出された書類に俺は目を疑った。
「......は?」
「雪原さんが、これを...。もちろん引き留めましたが、もうここには居られないと階段を駆け下りていってしまって...」
書類の内容を脳が理解した途端、それをビリビリに破り捨てすぐにスマホを取り出し絆音に電話をしたが繋がらない。
「ふ、副社長...。どうされますか?今後の対応は...」
「父さんはまだいるか?」
「はい、社長室に」
「考えがある。最終手段だと思っていたが、絆音がこんな物を置いて出て行ったとなればもう手段なんて選んでいる場合じゃない」
社長室へ向かい絆音に電話やメッセージを送りながら、昨夜から考えていた事を二人に話した。
「絆音ちゃん...可哀想に、自分のせいで迷惑をかけたと思ったんだろうな。絆音ちゃんも被害者で何も悪くないのに...。やはり許せないな」
出て行ったことを知った父さんも絆音を心配すると共に、昨日顧問弁護士を交えて検討した手段を取るしかないと決めたようだ。
「しかし副社長、雪原さんの意思を確認されなくてよろしいのですか...?」
「もちろん本人にも許可は取るし、周りにも承諾を得るつもりだ。ただ、どうにか向こうと繋がりがある人物を見つけないと...」
「私も協力しよう、人脈を伝っていけばきっといるはずだ。会長も絆音ちゃんの為なら動いてくれるだろう」
とにかく話はまとまったので解散し、マンションへ帰ってからも絆音に電話をかけ続けているとようやく繋がり思わず立ち上がったが、聞こえてきた声は...
「晴臣...?」
やっと声が聞けると思えば出たのは晴臣で、絆音もそばにいるそうだが俺には会わせないと言われてしまう。
事情を説明し俺にも考えがある事を話せば分かってくれたようで、事が落ち着くまでは絆音はうちに居させるから終わったら迎えに来いと言ってくれた。
なんとなく今日は実家には帰っていない気がして迎えには行かなかったが、晴臣の所にいるのならひとまず安心だ。
だが、いきなり離婚届を突きつけられるとは思っていなかったな...
考えてみれば、絆音は昔から誰かに迷惑をかける事を極端に嫌がっていた。
俺の秘書になったばかりの頃から、とにかくミスをしないよう徹底していたし、ストーカー被害に遭い帰る家がない時でもすぐに部屋を探して出ていこうとしていたな...
絆音の性格を考えれば、自分のせいで騒ぎになり会社に迷惑をかけたと出て行く事も予想できたはずなのに...バカだな、俺は。
なぜこうなる前にもっときちんと話をしなかったのか...実家に帰りたくなるくらい弱っていた絆音をなぜ一人にしてしまったのか...
考えれば後悔しか出てこない。
彼女は俺から離れていかないという驕りがどこかにあったのかもしれない...。
暗くシーンと静まり返った寒い部屋に一人でいると、どうしても絆音の事を考えてしまう。
それに、一年前の事も...
彼女を失うかもしれないという恐怖に震えそうになる。
でも、今回は絆音を守ってやれなかった俺が悪い。どんな手を使っても、必ずまたこの手に絆音を取り戻す...
そう気持ちを奮い立たせ、ひたすら仕事をこなしていった。
そして数日後には、ご両親の事故の真相を晴臣から聞いた。
きっとショックを受けているだろう彼女を今すぐにでも抱きしめに行きたかったが、グッと堪えて俺は今やるべき事に集中した。
仕事をいつも通りに...いや、絆音がいない分多少バタバタしているが臨時の秘書は俺が拒否した。
俺の秘書は絆音にしか務まらない。
なのに丁寧に引き継ぎ書なんて作りやがって...いつの間にあんな物まで用意したんだよ。しかもかなり先の仕事まで手をつけてあるし...
心の中で文句を言いながらも作業をこなしていると、受付から内線が入った。
「会長がお見えです。雪原さんは不在だとお聞きしました、私がご案内してよろしいですか?」
「ありがとう、悪いけど頼むよ」
コーヒーでも淹れようと廊下に出ると、会長を社長室に案内してきた藍田さんが戻ってきたのでお礼を伝える。
しかし、彼女は複雑そうな顔で「あの、副社長。雪原さんはどうされたんですか?どうして休まれているんですか?」と詰め寄ってくる。
「...個人的な事情で少しの間休職しているだけだよ」
「本当ですか?私、この間偶然雪原さんと帰りが一緒になった時、記者だという男性に付き纏われているのを見たんです。警察を呼ぶと言ったらすぐに立ち去りましたが...やはりあの週刊誌の事が原因ですか?雪原さんは大丈夫なんですか?また戻って来ますよね⁈」
彼女の気迫に後退りしながらも、記者が直接絆音に接触していたと知りギリっと奥歯を噛んだ。
とにかく廊下なので声を抑えて欲しいとジェスチャーで伝えながらも「それはいつか覚えている?記者の男性はどんな人だった?」と聞くと彼女ははっきりとした口調で答えてくれた。
「あれは週刊誌が発売される前日です。副社長は会食なのでタクシーで帰ると言っていました。記者の方は、四十代半ばの髭を生やした細身の男性です。たしかネームプレートに永田と書いてあったと思います」
「教えてくれてありがとう。あと、妻を助けてくれた事も。俺が必ず彼女を連れ戻すから、心配しないでくれ」
絆音が出て行ってから一週間。
俺は、普段は決して使わないコネとあらゆる人脈を使い、絆音を取り戻す為に必死になっていた。
一人にさせたくないから待っていてくれと言ったのに実家へ帰ってしまうし、その次の日には急いで仕事を片付けて戻れば待っていたのは山内で、差し出された書類に俺は目を疑った。
「......は?」
「雪原さんが、これを...。もちろん引き留めましたが、もうここには居られないと階段を駆け下りていってしまって...」
書類の内容を脳が理解した途端、それをビリビリに破り捨てすぐにスマホを取り出し絆音に電話をしたが繋がらない。
「ふ、副社長...。どうされますか?今後の対応は...」
「父さんはまだいるか?」
「はい、社長室に」
「考えがある。最終手段だと思っていたが、絆音がこんな物を置いて出て行ったとなればもう手段なんて選んでいる場合じゃない」
社長室へ向かい絆音に電話やメッセージを送りながら、昨夜から考えていた事を二人に話した。
「絆音ちゃん...可哀想に、自分のせいで迷惑をかけたと思ったんだろうな。絆音ちゃんも被害者で何も悪くないのに...。やはり許せないな」
出て行ったことを知った父さんも絆音を心配すると共に、昨日顧問弁護士を交えて検討した手段を取るしかないと決めたようだ。
「しかし副社長、雪原さんの意思を確認されなくてよろしいのですか...?」
「もちろん本人にも許可は取るし、周りにも承諾を得るつもりだ。ただ、どうにか向こうと繋がりがある人物を見つけないと...」
「私も協力しよう、人脈を伝っていけばきっといるはずだ。会長も絆音ちゃんの為なら動いてくれるだろう」
とにかく話はまとまったので解散し、マンションへ帰ってからも絆音に電話をかけ続けているとようやく繋がり思わず立ち上がったが、聞こえてきた声は...
「晴臣...?」
やっと声が聞けると思えば出たのは晴臣で、絆音もそばにいるそうだが俺には会わせないと言われてしまう。
事情を説明し俺にも考えがある事を話せば分かってくれたようで、事が落ち着くまでは絆音はうちに居させるから終わったら迎えに来いと言ってくれた。
なんとなく今日は実家には帰っていない気がして迎えには行かなかったが、晴臣の所にいるのならひとまず安心だ。
だが、いきなり離婚届を突きつけられるとは思っていなかったな...
考えてみれば、絆音は昔から誰かに迷惑をかける事を極端に嫌がっていた。
俺の秘書になったばかりの頃から、とにかくミスをしないよう徹底していたし、ストーカー被害に遭い帰る家がない時でもすぐに部屋を探して出ていこうとしていたな...
絆音の性格を考えれば、自分のせいで騒ぎになり会社に迷惑をかけたと出て行く事も予想できたはずなのに...バカだな、俺は。
なぜこうなる前にもっときちんと話をしなかったのか...実家に帰りたくなるくらい弱っていた絆音をなぜ一人にしてしまったのか...
考えれば後悔しか出てこない。
彼女は俺から離れていかないという驕りがどこかにあったのかもしれない...。
暗くシーンと静まり返った寒い部屋に一人でいると、どうしても絆音の事を考えてしまう。
それに、一年前の事も...
彼女を失うかもしれないという恐怖に震えそうになる。
でも、今回は絆音を守ってやれなかった俺が悪い。どんな手を使っても、必ずまたこの手に絆音を取り戻す...
そう気持ちを奮い立たせ、ひたすら仕事をこなしていった。
そして数日後には、ご両親の事故の真相を晴臣から聞いた。
きっとショックを受けているだろう彼女を今すぐにでも抱きしめに行きたかったが、グッと堪えて俺は今やるべき事に集中した。
仕事をいつも通りに...いや、絆音がいない分多少バタバタしているが臨時の秘書は俺が拒否した。
俺の秘書は絆音にしか務まらない。
なのに丁寧に引き継ぎ書なんて作りやがって...いつの間にあんな物まで用意したんだよ。しかもかなり先の仕事まで手をつけてあるし...
心の中で文句を言いながらも作業をこなしていると、受付から内線が入った。
「会長がお見えです。雪原さんは不在だとお聞きしました、私がご案内してよろしいですか?」
「ありがとう、悪いけど頼むよ」
コーヒーでも淹れようと廊下に出ると、会長を社長室に案内してきた藍田さんが戻ってきたのでお礼を伝える。
しかし、彼女は複雑そうな顔で「あの、副社長。雪原さんはどうされたんですか?どうして休まれているんですか?」と詰め寄ってくる。
「...個人的な事情で少しの間休職しているだけだよ」
「本当ですか?私、この間偶然雪原さんと帰りが一緒になった時、記者だという男性に付き纏われているのを見たんです。警察を呼ぶと言ったらすぐに立ち去りましたが...やはりあの週刊誌の事が原因ですか?雪原さんは大丈夫なんですか?また戻って来ますよね⁈」
彼女の気迫に後退りしながらも、記者が直接絆音に接触していたと知りギリっと奥歯を噛んだ。
とにかく廊下なので声を抑えて欲しいとジェスチャーで伝えながらも「それはいつか覚えている?記者の男性はどんな人だった?」と聞くと彼女ははっきりとした口調で答えてくれた。
「あれは週刊誌が発売される前日です。副社長は会食なのでタクシーで帰ると言っていました。記者の方は、四十代半ばの髭を生やした細身の男性です。たしかネームプレートに永田と書いてあったと思います」
「教えてくれてありがとう。あと、妻を助けてくれた事も。俺が必ず彼女を連れ戻すから、心配しないでくれ」