俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
 そして大晦日には恒例のすき焼きパーティーがあり、今年は十数年ぶりに二家族全員が揃った。
 みんな嬉しそうで終始とても賑やかな雰囲気に包まれ、私もとても楽しかった。

 その後は翔さんと初詣に行ったりゆっくりと過ごし、仕事が始まってから数日が経った頃。
 書類を持って副社長室へと入ると彼は電話の最中だったけれど、なんだかとても嬉しそうに話していた。
 「絆音、この前見学した神宮の挙式にキャンセルが出たそうだ。それもちょうど桜が咲く季節に」
 「え?本当ですか?」
 「ああ、今連絡があって三月の下旬に空きがでたらしい。どうする?ここに決めるか?」
 「はい!あ...翔さんは、どうですか?」
 「俺は絆音が気に入った所がいい。ただそうなると約二ヶ月しかない。準備に使える時間はあまりないが大丈夫か?」
 「そうですね...でも、桜の季節に出来るなんて...」
 きっととっても綺麗なんだろうなぁ...
 それに、あの日大きな木を見上げた時、私は昔の記憶をまた一つ思い出していた。
 長野にいた頃、お家のすぐ近くにあった大きな一本の桜の木の下でお花見をした時の事を。
 お母さんが私の好物ばかりのお弁当を作ってくれて、お父さんはバイオリンを弾いてくれたり、風に舞う花びらをキャッチして遊んだり...
 そんな景色が頭の中に蘇って、とても幸せな気持ちになった。
 何故だか最近、翔さんと手を繋いでいると不思議と小さい頃の記憶を思い出す。家族の、愛する人のぬくもりをまた感じられたおかげかな...
 「ふっ、じゃあさっそく準備にとりかかるか」
 そう言いながらポンと頭を撫でられ、彼を見上げると唇が落ちてくる。
 触れるだけのキスかと思えば後頭部を抑えられてどんどん深くなっていく。
 「んっ、翔さん...会社で、そんなキスは禁止です!」
 肩を押し返してそう訴えるけれど「会社でそんな可愛い顔するお前が悪い」と更に強く抱きしめられ再び唇を塞がれた。

 それから、私たちは結婚式に向けて様々な準備を急ピッチで進めていった。
 挙式は親族のみで行い、たくさんの関係者が集まる披露宴は後日ということに決めていたけれど、あまり時間がないため堂上家の力も借り衣装などは特別に用意して頂いた。
 大部分が決まり少し肩の力が抜けたけれど、当日まで私は髪の毛や肌のケアに必死だった。
 「なぁ、最近風呂が長すぎないか?」
 「あ...髪の毛とか顔もいつもより長めにパックしているので...」
 先にシャワーを浴び私が戻るのを待っている翔さんには申し訳ないけれど、少しでも綺麗な姿で彼の横に立ちたい一心だった。
 「いつもつやつやしてるから十分だろ。俺はいつもの香りの方が好きだな」と膝にのせられ抱きしめながら髪の毛の香りを吸い込んでいる。
 「そ、そうですか?じゃあ、違う香りの物に...」
 「そうじゃなくて、俺は早く絆音とベッド行きたい。パックなんてしなくても綺麗だよ」
 「で、でも少しでも綺麗な姿で迎えたいので...」
 「なるほど。最近サラダやフルーツばかり食べているのもそのためか?」
 「...はい。ビタミンは肌にも良いと聞きますし、ダイエットにもなるので」
 「これ以上どこを痩せたいんだよ?肌だって真っ白だし今のままで十分だ」
 「...翔さんはいつも肌も綺麗で身体だって引き締まっていますけど、私は...。もう少しウエストとか細くなりたいです」
 「ダイエットなんて必要ないけど、身体を引き締めたいならいい運動教えてやるよ」そう言いながら抱き上げられ、なぜかベッドルームへ入るとそのまま傾れ込む。
 「あの...運動を教えてくれるんじゃ...?」
 「教えてやるよ、ベッドの上でな」
 「...ベッドの上で?」
 ここで腹筋とかストレッチでもするのかと思っていると、なぜか唇を塞がれパジャマのボタンを外されていく。
 「んっ...か、翔さん⁈」
 「ほら、よく聞くだろ?セックスはカロリー消費するし女性は肌も綺麗になるって。俺も絆音を愛でられるし一石三鳥だ」
 「そ、そんなの聞いた事ありません!それに、寝不足は肌に良くないです!」
 「寝不足?それは絆音次第だな」
 そんな事を言いながら結局流されてしまったり、その後も長くなるならとお風呂に一緒に入ってきたり翔さんのペースにのまれながらも彼の愛を感じながら幸せな日々を過ごしていた。
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