俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
翔side
 そして案の定会議は長引き、片付けから戻った雪原に愚痴をこぼしながら内容を再検討していると、すでに約束の時間が迫っている。
 少し遅れると連絡を入れ、急いで終わらせると行きつけのバーへと向かった。

 そこには幼稚舎からの幼馴染である二人、弁護士の相馬 伊織(そうま いおり)と脳外科医の香月 柊哉(こうづき しゅうや)、そして柊哉の奥さんが揃っていた。
 「あ、翔!こっちこっち!」
 「悪い、遅くなった」
 「まだ乾杯もしてないからセーフだよ」
 そう言いながら俺にメニューを渡す伊織は、中性的な顔立ちでいつも明るく飄々としているが、内に秘めたものを隠し持った腹黒いやつだったりする。
 そして柊哉は昔から勉強やらスポーツやら何かと俺と競い合ってきた熱い面もあるが、基本的にクールで繊細なやつだ。特に恋愛においてはいつも冷めた態度ですぐに別れていたが、一番最初に結婚するとはな...。
 それに、奥さんを愛おしそうに見つめる瞳は見ていられないほど甘い。学生の頃とはまるで別人だ。
 心から深く愛する人に巡り合い結婚出来るなんて、本当に幸せな事なんだなと柊哉をみて思った。

 俺は...俺も人のことを言えるような恋愛はしていないな...。立場上、どこかのご令嬢だとか頭取の娘だとか綺麗に着飾った女性を目にする機会は多いが、全く心が動くことはない。
 両親は恋愛結婚でいつも仲が良く、俺もいつか誰かとこういう家庭を築くんだと漠然と思っていたが...その誰かはまだ見つからない。
 結婚って案外難しいんだな...。そんな事を考えながら飲んでいたが、伊織の悪ふざけで酒に弱い柊哉の奥さんはかなり酔ってしまったようで、タクシーで帰る二人を見送った。
 「ねぇ翔、俺の家来ない?もっと飲もうよー!」
 「もうやめとけって。かなり酔ってるだろ?」
 「だってラブラブな二人見てたら、なんかこう...寂しくなってこない?」
 「別に寂しくはならないけど、まぁなんとなく言いたい事は分かるよ」
 「でしょー?やっぱもっと飲みたいから翔も付き合って!」
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