俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
 はぁ、また断れなかった...
 本当にもう会うつもりもないし、食事にも行きたくない。でも、何故だか瀬那ちゃんにはなかなかはっきり言えない...。
 「...はぁ」
 「なんだよ、ため息ついて」
 「わっ」
 考え事をしながらカフェを出て気づけば副社長室の前まで来ていて、二度目のため息は無意識に口から漏れていたよう。
 「すみません、どうぞ」とドアを開けて先に入ってもらい、私も置き忘れたメモ帳を取りに来たことを思い出して後に続く。
 「で?何のため息だよ。仕事の事か?」
 「いえ、プライベートな事なのでお気になさらないで下さい。すみませんでした」そう言って部屋を出ようとする私に「待てよ。最近ここで仕事してる事と関係あるのか?」とこちらに近づいてくる。
 「それは...」と私がまた言い淀んでいると、どんどん迫ってきて「俺には言えないのか?」と至近距離で鋭い視線を向けられる。
 「...さっきは言いたくないなら聞かないって言ってくれましたよね...?」
 「さっきはさっき、今は今だ。あんな顔でため息つかれたら気になって仕事ができない」
 「そ、そんな...」
 もしもまた晴くんに伝わってしまったら大変だし、でも副社長は白状するまで逃がさないという顔をしているし...どうしよう...。
 そう思いながら視線を逸らした時、執務机の内線が鳴る。
 「...出てください、副社長」
 渋々といった感じで電話をとりに行く背中に「失礼します」と小声で挨拶しさっと出てきた。

 とりあえず難を逃れたけれど、根本的な事は解決していない。こんなことなら合コンをハッキリと断るべきだった...。きちんと伝えなかった私のせいだし、なんとかしないと...。
 そう思い直し秘書室で仕事をし、夕方からは副社長の外出に同行した。
 実際に医療機器を扱う現場の声を聞く為、今日は数名の先生達との面会が予定されている。
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