俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
 「あいつはいくつになってもお前が心配で仕方ないんだな。頼まれたんだよ、晴臣に。アメリカに行っている間に何かあったら絆音を頼むって。だからあの時は...つい強い言い方をして悪かった。お前に呆れてなんていない。ただ、一度会った男からの食事の誘いも断れないようじゃこの先心配でしかないだろ。何て言うか...お前は優しすぎるんだよ。それが危なっかしいっていうか...。だからちょっと晴臣の気持ちが分かって、つい言いすぎた」
 「...兄妹でご迷惑をおかけして、すみません...」
 「別に俺は迷惑をかけられた記憶なんてない。それから、俺がお前を見放すなんて絶対にないから安心しろ」
 「...え?」
 「毎日誰よりも早く出社している事も、細かい所まで気を配って自分の仕事以上に働いている事も、俺に迷惑がかからないようにと必死に頑張っている事も知ってる。そんなやつを見放す訳ないだろう?それに、親友の妹だからとかそんな理由じゃなく、日頃のお前の働きぶりをみて信頼できると思ったから俺の秘書にしたんだ」
 「...ありがとう、ございます」
 「でも最近は頑張りすぎだ、もう少し肩の力を抜いていいんだよ。一度のミスで突き放すとでも思っているのか?俺はそんな鬼じゃないし、お前の少しのミスくらいどうとでもカバーしてやる。だから毎日怖い顔で張り詰めていないで、少しは心を緩めて笑っていろ」
 「...はい、ありがとうございます」
 まさかそんな風に言ってもらえるなんて想像もしておらず、涙腺が緩みそうになるのを必死に堪えた。

 「ほら着いたぞ、ここだろう?」
 その言葉に顔を上げるともうマンションの目の前に到着していて、急いで降りようとすると「確かにセキュリティは甘そうだな」と呟いている...。
 「とりあえずそういう訳だから、晴臣がいない間に何かあれば俺に言えよ?」
 そして私がオートロックを解除して中に入ると、それを確認したように車が発進する音が聞こえた。
 部屋に着いてからもずっと副社長の言葉が頭を占領してぼんやりとしていた。
 それに、あんなに優しい顔はいつぶりに見ただろう...。子どもの頃以来かもしれない。
 副社長が私を秘書に選んでくれた事も全く知らなかったけれど、すごく嬉しくて心が軽くなったような気がした。
 明日からはもっと頑張れそう...そう思いながら、久しぶりに心地よい眠りに落ちていた。
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