俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
翔side
早めに仕事を終わらせ二人で警察署へ向かう道中、終始黙ったまま窓の外を眺めている絆音は少し緊張しているように見えた。
会議室のような部屋に案内され、一通り書類に記入し待っていると担当者が入ってきた。
話によると、加害者の男性は素直に供述しストーカー行為も認めているよう。
「供述の内容をお話ししてよろしいですか?矛盾点がないかを確認して頂きたいので」
「...はい」
「まず加害者の男性はあなたを一年ほど前から電車やスーパーで見かけ気になっていたと言っています。そして、傘を届けてくれた事がきっかけでもっと近づきたいと思うようになったと」
「え...?一年前?」
「あなたが加害者を認識したのは傘の件があった日ですか?」
「そう、です...」
「おそらくずっと狙われ後をつけられていたのでしょう。マンションや部屋の場所は以前から知っていたようですから」
まさかそんな前からだったとは俺も驚いたが、絆音も絶句している様子。
そして、絆音がチョコレートを好きだと美味しかったと言った時の笑顔が忘れられず、有名店のチョコレートを買って玄関にかけそれを受け取ってくれるのを外から見たかったらしい。
しかし、初めにそれを手に取ったのが知らない男だった事に腹を立て、絆音が受け取る姿を見るために何度も玄関にかけていたと...。
「そのチョコレートですが、あなたは開封していないと言っていましたが、二つ目以降は僅かに箱を開けた形跡があり念の為中身を調べました。すると一部のチョコレートから、睡眠薬に使われる成分が検出されました」
「う、うそ...」
「とんでもないやつだな...」
「はい、ですのでストーカー規制法違反、住居侵入罪に加え傷害罪にもあたると思います」
一通りの話を終えた頃には、絆音の表情はすっかり強張っていた。正直、想像を超えた狂気さに俺も驚いたし寒気がした。
背中を押しながら車まで戻ると、ここまで黙っていた絆音がふっと自傷気味に笑う。
「本当にバカですね、私。一年も前から後をつけられていたのに、全く気がついていなかったなんて...。昔から晴くんに危ない事には気をつけなさいって何度も言われていたのに。大人になっても全く分かっていなかったみたいです」
「今回の事は、お前のせいじゃないだろ?」
「でも、もう少し私が警戒心をもって注意していれば気がつけたのかも...。傘も、届けなければよかったのかな...」
「絆音は間違った事はしていないよ」
「...気づけば子どもの頃からずっと晴くんや類くんに守ってもらっていて、大人になった今は副社長に...。ずっと誰かに迷惑をかけて、私...」
「お前は何も悪くない。ただ、お前みたいに純粋な心を持ったまま大人になったやつは稀なんだ。わかっただろう?世の中には想像も出来ないほど狂った考え方を持ったやつもいる。だから、自分で身を守る事ももちろん大事だが、今回みたいにそうはいかない時だってある。そういう時は、周りに助けを求めるのは当然だろう?」
「...はい」
「少なくとも俺はそれを迷惑だなんて思わない。むしろお前を守れて良かったと心の底から思ったよ。ちゃんとあの時、防犯ブザー使ってえらかったな」
俯く絆音の頭をぐしゃっと撫で、大粒の雨が降り出した中をマンションへと走り出した。
しばらく俯いたままぐすんぐすんと鼻を啜る音だけが聞こえていたが、気づけばそれは寝息に変わっていた。
思わずポンポンと頭を撫でれば、ふぁっと可愛らしいあくびをする絆音。
全く...どこまでも無防備だな。
早めに仕事を終わらせ二人で警察署へ向かう道中、終始黙ったまま窓の外を眺めている絆音は少し緊張しているように見えた。
会議室のような部屋に案内され、一通り書類に記入し待っていると担当者が入ってきた。
話によると、加害者の男性は素直に供述しストーカー行為も認めているよう。
「供述の内容をお話ししてよろしいですか?矛盾点がないかを確認して頂きたいので」
「...はい」
「まず加害者の男性はあなたを一年ほど前から電車やスーパーで見かけ気になっていたと言っています。そして、傘を届けてくれた事がきっかけでもっと近づきたいと思うようになったと」
「え...?一年前?」
「あなたが加害者を認識したのは傘の件があった日ですか?」
「そう、です...」
「おそらくずっと狙われ後をつけられていたのでしょう。マンションや部屋の場所は以前から知っていたようですから」
まさかそんな前からだったとは俺も驚いたが、絆音も絶句している様子。
そして、絆音がチョコレートを好きだと美味しかったと言った時の笑顔が忘れられず、有名店のチョコレートを買って玄関にかけそれを受け取ってくれるのを外から見たかったらしい。
しかし、初めにそれを手に取ったのが知らない男だった事に腹を立て、絆音が受け取る姿を見るために何度も玄関にかけていたと...。
「そのチョコレートですが、あなたは開封していないと言っていましたが、二つ目以降は僅かに箱を開けた形跡があり念の為中身を調べました。すると一部のチョコレートから、睡眠薬に使われる成分が検出されました」
「う、うそ...」
「とんでもないやつだな...」
「はい、ですのでストーカー規制法違反、住居侵入罪に加え傷害罪にもあたると思います」
一通りの話を終えた頃には、絆音の表情はすっかり強張っていた。正直、想像を超えた狂気さに俺も驚いたし寒気がした。
背中を押しながら車まで戻ると、ここまで黙っていた絆音がふっと自傷気味に笑う。
「本当にバカですね、私。一年も前から後をつけられていたのに、全く気がついていなかったなんて...。昔から晴くんに危ない事には気をつけなさいって何度も言われていたのに。大人になっても全く分かっていなかったみたいです」
「今回の事は、お前のせいじゃないだろ?」
「でも、もう少し私が警戒心をもって注意していれば気がつけたのかも...。傘も、届けなければよかったのかな...」
「絆音は間違った事はしていないよ」
「...気づけば子どもの頃からずっと晴くんや類くんに守ってもらっていて、大人になった今は副社長に...。ずっと誰かに迷惑をかけて、私...」
「お前は何も悪くない。ただ、お前みたいに純粋な心を持ったまま大人になったやつは稀なんだ。わかっただろう?世の中には想像も出来ないほど狂った考え方を持ったやつもいる。だから、自分で身を守る事ももちろん大事だが、今回みたいにそうはいかない時だってある。そういう時は、周りに助けを求めるのは当然だろう?」
「...はい」
「少なくとも俺はそれを迷惑だなんて思わない。むしろお前を守れて良かったと心の底から思ったよ。ちゃんとあの時、防犯ブザー使ってえらかったな」
俯く絆音の頭をぐしゃっと撫で、大粒の雨が降り出した中をマンションへと走り出した。
しばらく俯いたままぐすんぐすんと鼻を啜る音だけが聞こえていたが、気づけばそれは寝息に変わっていた。
思わずポンポンと頭を撫でれば、ふぁっと可愛らしいあくびをする絆音。
全く...どこまでも無防備だな。