俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
翔side
 病院に到着し、彼女の病室をそっと覗くとベッドサイドには伯母さんが座っていた。
 「翔くん...。お仕事は?これから?」
 「いえ、会社には行きません。彼女が目を覚ますまで、ここに居させて下さい」
 「翔くんが責任を感じることないのよ?でも、私もどうしても外せない仕事があってもう行かないといけないの。もしも目が覚めたら、絆音ちゃんの事お願いできる?この子、昔から病院がすごく苦手だから...」
 「はい、晴臣から聞いたことがあります。...昔の事故の影響かもしれないと」
 「...事故、なのよね?今回も...」
 「...分かりません。調査中だと聞きました」
 そう言いながら、絆音の着替えなどが入ったカバンをテーブルに置いた。
 「ねぇ、翔くん。どうして、翔くんが絆音ちゃんの荷物を...?」
 一緒に暮らしていた事は誰にも話していないし、ただの上司が着替えまで持ってきたら不思議に思うのも当然だ。
 絆音に許可をとっていない為どこまで話すか迷ったが、余計な誤解を招かない為にもストーカーの件から全てを話した。
 「そんな事があったなんて...どうして私達に言ってくれなかったのかしら...。実家にも帰ってきてくれたらよかったのに...」
 「二人に心配をかけたくなかったんだと思います。それに一緒に暮らす事を薦めたのは俺です、黙っていてすみませんでした」
 「ううん、絆音ちゃんの事守ってくれてありがとう」

 少しすると担当医や看護師がきて、彼女のバイタルなどを確認している。そして一通り診察を終えると「ご家族の方ですか?」と俺の方を見る。
 「...いえ、家族ではありません」
 「失礼ですが、ご関係は?今後について少しお話ししたいのですが...」 
 関係...?俺と絆音はどういう関係かと言われれば、上司と部下?幼馴染?友人?
 なんと答えたら良いか迷ってしまい「...親戚のようなものです」と曖昧な言い方をした。
 今後について説明してもらうと、明日まで目が覚めなかった場合もう一度詳しく検査をするとの事。そして、伯父さんが話を付けたらしく容体が安定し次第風戸病院へ転院させるとの事だった。
 朝の回診が終わり、俺はパソコンを開いて仕事をしながらもずっと彼女のそばで目を覚ますのを待っていた。
 絆音が先の先まで仕事を終わらせていてくれたおかげで、今の所大きな問題はない。会議の資料も作ってあったし、事細かく様々な事を書き込んであるメモを見れば、普段からどれだけ丁寧に仕事をしていたかがよく分かる。
 最近は色んな事がスムーズに進んでいきストレスなく仕事が出来ていて調子が良いと感じていたが、全て絆音のおかげだったんだな...
 俺はそんな事にも気がついていなかったなんて...。彼女の気遣いに、すっかり甘えていたのかもしれない。
 最近身体の調子が良いのも絆音が栄養バランスを考えて食事を作ってくれていたから。突然始まった二人での生活に違和感がなかったのも、きっと絆音が俺の生活を乱さないよう気を遣ってくれていたから。
 気づけば俺は、公私共に絆音に支えられていたんだ...
 そう思うと堪らない気持ちになり、自分でもよく分からない感情が込み上げ胸が張り裂けそうなほど痛い。
 気遣いに甘えてしまっていた事を謝りたい。ちゃんと今までの感謝を伝えたい。
 絆音...頼むから、早く起きてくれ...
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