俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
それ以来の入院で、しばらくこのままだと知ってとてもショックだったけれど、きっと今日まで副社長のおかげで暗い気持ちにならずに済んでいたんだと気づいた。
毎日、彼の優しさに救われて安心していたのかもしれない...
でも、どうしてそこまでしてくれるのかな...?
きっとこの一週間は睡眠時間もないような生活をしているはず...。彼が倒れてしまっては元も子もないし、休んで欲しいときちんと伝えないと...。
そんな事を考えていると、不意にドアをノックする音が聞こえ入ってきたのは白衣姿の男性。
いつもの先生と違う...そう思わず身構えると...
「急にごめんね。絆音ちゃん、俺の事覚えてる?」
ふっと微笑んで私の名前を呼ぶその人は、よく見ると見覚えがあった。
「あ...、香月さん...」
「久しぶりだね。何度か晴臣の家で会ったけど、もう十年以上前になるかな?」
「はい...ご無沙汰しております」
「顔色は悪くないけど、調子はどう?明日転院出来そうだって聞いたよ」
「お陰様で、だいぶ痛みも引いてきました」
「長く眠っていたし心配したけど、順調に回復してきているみたいでよかった。翔も本当に心配していたよ?いつも前しか見ていないようなあいつが、あんなに落ち込んでいる姿は見た事がなかったな」
「...え?」
「幼稚舎からの付き合いだけど、泣きそうな顔で弱音を吐いている翔は初めて見た。どれだけ絆音ちゃんのことを大切に想っているか、俺にもよく伝わってきたよ」
「泣きそうな顔で、弱音...?」
想像もつかない姿に首を傾げると、ふっと笑って「俺が言ったってこと内緒だよ?」と人差し指を口にあてる。
「これからリハビリもあるし、まだ元の生活に戻れるまで少し時間はかかると思う。大変だと思うけど、君のことを本気で心配して待ってる人がいるってこと、忘れないで」
「...はい、ありがとうございます」
「ここからは脳外科医として話すんだけど、額の傷を見る限りそれなりに強く頭を打っていると思うから、今は異常がなくてもじわじわ出血していることも考えられる。何かいつもと違うと感じたらすぐに伝えるんだよ?記憶の混乱もあると聞いたけど、今はどう?」
「はい。えっと...まだパーティー当日の事はほとんど思い出せません...」
「そうか、もしそれ以外にも思い出せない事や大切な事を忘れてしまうような違和感があったら後遺症の可能性もあるからすぐに相談して」
「はい、分かりました」
「退院したらまた翔の家に住むの?」
「え?いえ、しばらくは実家でお世話になろうと思っています。これ以上副社長にご迷惑をおかけする訳にはいかないので...」
「ふっ、そうかな?あいつの落ち込んだ姿も初めてだったけど、あんなに優しい顔をしているのも俺は初めて見たよ」
そう言った所で香月先生のスマホが鳴り「ごめん、呼び出しだ。とにかくお大事にね、リハビリも無理せず頑張って」と病室を出て行かれた。
確かに、私もあんなに優しい笑顔はあまり見た事がなかった。でも、あの副社長がそこまで落ち込んでいる姿は...やっぱり想像出来ない。
夕方には朝香伯母さんが来てくれ、荷物の整理をしてくれた。
「あまり来られなくてごめんね?風戸病院に移ったら毎日会いに行くからね!」
「ううん、ごめんね。忙しいのに迷惑かけて...」
「迷惑なんかじゃないわよ!絆音ちゃんは被害者なんだから、気にすることないのよ」
「...被害者?」
「絆音ちゃんは何も悪くないってこと!そういえば、翔くんは?」
「急遽名古屋に出張になったみたいで、泊まりになるかもって」
「そう、残念ね。だからちょっと落ち込んだ顔してたの?」
「そ、そんな事ないよ。副社長は忙しいから、毎日来てもらうのも申し訳なかったし...」
「あら、翔くん毎日来てたの?ふふっ、じゃあ寂しいのも当然ね」
「だ、だから寂しいとかじゃなくて...」
「翔くんにもちゃんと伝えておくのよ?明日転院すること」
毎日、彼の優しさに救われて安心していたのかもしれない...
でも、どうしてそこまでしてくれるのかな...?
きっとこの一週間は睡眠時間もないような生活をしているはず...。彼が倒れてしまっては元も子もないし、休んで欲しいときちんと伝えないと...。
そんな事を考えていると、不意にドアをノックする音が聞こえ入ってきたのは白衣姿の男性。
いつもの先生と違う...そう思わず身構えると...
「急にごめんね。絆音ちゃん、俺の事覚えてる?」
ふっと微笑んで私の名前を呼ぶその人は、よく見ると見覚えがあった。
「あ...、香月さん...」
「久しぶりだね。何度か晴臣の家で会ったけど、もう十年以上前になるかな?」
「はい...ご無沙汰しております」
「顔色は悪くないけど、調子はどう?明日転院出来そうだって聞いたよ」
「お陰様で、だいぶ痛みも引いてきました」
「長く眠っていたし心配したけど、順調に回復してきているみたいでよかった。翔も本当に心配していたよ?いつも前しか見ていないようなあいつが、あんなに落ち込んでいる姿は見た事がなかったな」
「...え?」
「幼稚舎からの付き合いだけど、泣きそうな顔で弱音を吐いている翔は初めて見た。どれだけ絆音ちゃんのことを大切に想っているか、俺にもよく伝わってきたよ」
「泣きそうな顔で、弱音...?」
想像もつかない姿に首を傾げると、ふっと笑って「俺が言ったってこと内緒だよ?」と人差し指を口にあてる。
「これからリハビリもあるし、まだ元の生活に戻れるまで少し時間はかかると思う。大変だと思うけど、君のことを本気で心配して待ってる人がいるってこと、忘れないで」
「...はい、ありがとうございます」
「ここからは脳外科医として話すんだけど、額の傷を見る限りそれなりに強く頭を打っていると思うから、今は異常がなくてもじわじわ出血していることも考えられる。何かいつもと違うと感じたらすぐに伝えるんだよ?記憶の混乱もあると聞いたけど、今はどう?」
「はい。えっと...まだパーティー当日の事はほとんど思い出せません...」
「そうか、もしそれ以外にも思い出せない事や大切な事を忘れてしまうような違和感があったら後遺症の可能性もあるからすぐに相談して」
「はい、分かりました」
「退院したらまた翔の家に住むの?」
「え?いえ、しばらくは実家でお世話になろうと思っています。これ以上副社長にご迷惑をおかけする訳にはいかないので...」
「ふっ、そうかな?あいつの落ち込んだ姿も初めてだったけど、あんなに優しい顔をしているのも俺は初めて見たよ」
そう言った所で香月先生のスマホが鳴り「ごめん、呼び出しだ。とにかくお大事にね、リハビリも無理せず頑張って」と病室を出て行かれた。
確かに、私もあんなに優しい笑顔はあまり見た事がなかった。でも、あの副社長がそこまで落ち込んでいる姿は...やっぱり想像出来ない。
夕方には朝香伯母さんが来てくれ、荷物の整理をしてくれた。
「あまり来られなくてごめんね?風戸病院に移ったら毎日会いに行くからね!」
「ううん、ごめんね。忙しいのに迷惑かけて...」
「迷惑なんかじゃないわよ!絆音ちゃんは被害者なんだから、気にすることないのよ」
「...被害者?」
「絆音ちゃんは何も悪くないってこと!そういえば、翔くんは?」
「急遽名古屋に出張になったみたいで、泊まりになるかもって」
「そう、残念ね。だからちょっと落ち込んだ顔してたの?」
「そ、そんな事ないよ。副社長は忙しいから、毎日来てもらうのも申し訳なかったし...」
「あら、翔くん毎日来てたの?ふふっ、じゃあ寂しいのも当然ね」
「だ、だから寂しいとかじゃなくて...」
「翔くんにもちゃんと伝えておくのよ?明日転院すること」