俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
 伯母さんが帰ると明るい声がなくなり、またシーンと部屋は静まり返る。
 今日は寝付けそうにないな...そう思いスマホをひらくと副社長からメッセージがきていた。大雨や落雷の影響で新幹線が止まってしまい、案の定今夜は帰れないという内容。
 それに返信するとまたすぐにスマホが震え、彼からの着信だった。
 「今日中に帰りたかったけど、やっぱり無理だった。体調はどうだ?変わりないか?」
 「はい、明日転院する事が決まりました」
 「そうか、良かったな」
 「あの、副社長はちゃんと休めていますか...?毎日病室まで来て下さって、きっといつもよりお仕事も忙しいのに、身体が心配です...」
 「ふっ、俺は大丈夫だよ。それに、ただ帰って寝るより絆音の顔見た方が回復するから」
 「そ、そんな事はないかと...」
 「...やっぱり迷惑か?」
 「いえ!迷惑だなんて...ただ、副社長が倒れてしまっては大変なので...」
 「お前も知ってるだろ?俺は忙しいほどやる気になるタイプだって。それに...一日顔見ないだけでも気になって仕方ないんだよ。今だって、いつもより声が元気ないように聞こえる」
 「...今日は、なんだか気持ちが晴れなくて...。雨も酷かったですし、副社長が来られないって知って...その...」
 「ふっ、俺がいないと寂しいか?」
 「...そうかも、しれません...」
 「...はぁー、今そんな事言うなよ。今すぐ帰りたくて仕方なくなるだろ?」
 「すみません...。なんか矛盾してますね、私の言っていること...」
 「いや、俺には伝わったよ。それに、こんな雨の日に一人で病院なんて辛かったよな。よく頑張ったよ」
 その言葉に、何故かじわじわと視界が歪んできてポロッと涙がこぼれ落ちた。
 なんで泣いているんだろう...私。慌ててそれを拭ったけれど、言葉は出てこない。
 「...絆音?...今日は、何の話がいい?お前が眠るまで電話切らないからな」
 「...じゃあ、学生の頃の話を...」
 私がそう言うと、彼は大学生の頃の話をしてくれた。
 きっと私が泣いている事も眠れない事も気づいていたんだと思う。また彼の優しさに甘えてしまったけれど、なぜか声を聞いていると安心して、あっという間に眠りに落ちていた。

 そして私は予定通り転院する事ができ、伯父さん伯母さんも頻繁に顔を出しにきてくれる。
 副社長も毎日会いにきてくれているし、その間彼は実家に泊まっているらしく睡眠や食事もとれているようで安心した。
 そして、まだまだ復帰は遠いけれど、資料作成などの仕事を少しずつやらせてもらっている。
 毎日ベッドの上で何もする事がないと気分が沈んでしまう為、仕事に集中できるのはとてもありがたかった。
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