俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
 それから二週間ほど経った頃、類くんからゲームのお誘いのメッセージが来ていて、今は出来ないことを伝えると、次の日にはお見舞いに来てくれた。
 「絆音ちゃん大丈夫?びっくりしたよ、入院していたなんて...。でももっと早く教えてくれたら、もっと早く会いに来られたのに...」
 「ごめんね、類くんも忙しいのに...。来てくれてありがとう」
 「...兄さんは何度もお見舞いに来ていたの?」
 「ああ、仕事の話もあるし」
 「そっか...。そうだ、これ絆音ちゃんに見てもらいたかったんだ。洋服もだいぶ形になってきたからパンフレットも作ったんだよ」
 「わぁ、すごい!どれも本当に素敵だね!前に見せてもらったデザインがこんな風になるなんて...!」
 「ありがとう、良かったらこれも暇つぶしにでも見てみて?」
 数冊の雑誌を受け取りペラペラとページをめくると、彼のブランドのメンズ服を自身がモデルとなり華麗に着こなしている姿があった。
 「類くんかっこいいね。なんだか別の世界の人みたい...」
 「え?そんな事ないよ。俺は何も変わってないし、今ここにいるでしょ?」
 「ふふっ、そうだね。でも類くんはこれから世界で活躍する人だよ。日本だけじゃなく、色んな所でこの素敵な服もたくさんの人に知ってもらって、類くんは夢を叶えてね」
 「...絆音ちゃん?」
 「類くんには、その夢を支えてくれる素敵な人と一緒にいるべきだと思う。私は...ここから精一杯応援してるね?」
 「...もしかして、それが答え?」
 「...やっぱり類くんとは、これからも今までの関係でいたいなって...。だめ、かな?」
 「...残念だけどやっぱり俺じゃダメみたいだね。悩ませてごめんね?考えてくれてありがとう。また一緒にゲームしてくれる?これからもずっと」
 「もちろん。ありがとう、類くん」
 「...怪我が治ったら、また兄さんの秘書として働くの?」
 「そのつもりだよ。まだ秘書の仕事をしていたいし、これからも微力だけどそばで副社長の事を支えていきたいなって...」
 「ふっ、そっか。やっぱり兄さんには敵わないって事か...」
 「え?」
 「ううん、何でもない。絆音ちゃんの顔が見られて安心したよ、くれぐれもお大事にね」
 そう言って私の頭をぽんと撫でて、少し寂しそうな顔で微笑んでから病室を出て行った。

 気を遣って部屋を出ていた副社長が戻ってくると「類にちゃんと伝えたんだな」と言いながらさっきもらった雑誌を見ている。
 「え?どうして...」
 「類もお前も落ち込んだ顔してるから。類はともかく、なんで絆音まで暗い顔してるんだよ?」
 「...また今までみたいに一緒にゲームしてくれるって言ってくれました。でも...なんだか、類くんが遠くへ行ってしまう感じがして...」
 「確かにすごいよな。きっとあいつはこれからもっと有名になるだろうし。でも、どこにいたってどれだけ有名になったって類は類だよ。俺の弟でお前の事が好きな幼馴染だってことに変わりない」
 「...そうですね。でも私、わざわざお見舞いに来てくれた類くんにそんな話をしてしまって...」
 「お前の気持ちが決まっていたなら、それがいつでも結果は同じだ。大丈夫、そのうち元に戻るよ。ほら、そろそろ寝る時間だろ?」
 そう言ってくしゃっと頭を撫でて布団をかけ直してくれる。
 「もう少しの辛抱だな、来週には退院できそうなんだろ?」
 「はい。あの...退院したら、しばらくは実家でお世話になるつもりです。なので、お手数ですが副社長の家に置いたままの荷物も持ってきて頂けますか?」
 「...前のマンションはもう引き払ったのか?」
 「先日、伯父さんと伯母さんが手続きをしてくれて荷物も送ってもらいました」
 「...そうか、わかった。とりあえず今日はもう寝ろ」
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