俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
 腕時計に目を落としながらカップなどを片付けていると、副社長にグッと顔を近づけられ思わず仰反る。
 「な、何ですか...?」
 「さっきの部長さんにずいぶん気に入られてるみたいだな」
 「...な、何もされていませんよ?」
 「ふっ、俺は別に何かされたかなんて聞いてないけど。何されたんだよ?」
 「うっ...。べ、別に何も...」そう言いながらも無意識に先ほど名刺をしまった左ポケットを触っていたようで...
 「ほら、そこに何か入ってるんだろ?白状しろ」
 「...ただ、名刺を渡されただけです」
 これは出すまで解放してもらえないと思い、素直に名刺を差し出した。もちろん表面を見せたけれど、パッとそれを取られすぐに裏面を確認される。
 「お前、ああゆうダンディ風な年上の男がタイプだったのか?」
 「ち、違います!一方的に名刺を握らされただけで...」
 「じゃあただのセクハラおやじだな。個人的に訴えるなら友人の弁護士紹介してやるぞ?」
 「い、いえ!本当にそれだけですから」
 「...その様子だとこれが初めてじゃないんだな?何で俺に言わないんだよ?」
 「べ、別に報告する必要はないと思ったからです。それに、仕事上大切な方達ですし、変な先入観を持ってもらいたくなかったので...」
 「はぁ、お前な...。とにかく、次から同じ様な事があれば必ず報告しろ」
 「わ、分かりました」

 秘書室に戻ると十二時半をすぎていたけれど、瀬那ちゃんは待っていてくれたようで一緒にランチを買いに行った。
 晴れていればテラス席で食べるのが好きだけど、今日は生憎の雨なので室内の休憩スペースへと向かう。
 「あれ?瀬那ちゃん、ネックレスは?」
 「ああ、もう別れたの。だから次の出会い探し中なんだー」
 「え?そ、そうなんだ」
 つい先週まではプレゼントしてもらったネックレスを大事そうに触りながら、幸せって話していたのに...。
 でも瀬那ちゃんは私とは違いスラッと背が高くぱっちりした二重にはしっかりとメイクが施されいつもきまっている。笑うとえくぼが出てとても可愛らしい彼女は、すごくモテるんだと思う。
 「そうだ!今度MRと合コンするんだけど、絆音も行こうよ!」
 「私はいいよ、上手く話せないし」
 「もーいつもそう言って来てくれないじゃん!今回はイケメン揃えてくれてるらしいし、一回くらい行こうよ!それにMRだから話も上手いだろうし!実は一人足りなくて困ってるの!」
 「で、でも...」
 「お願い!これも秘書の勉強だと思ってさ!」
 確かにコミニュケーション力を上げる為には勉強になるかもしれないけれど...私は彼氏が欲しいわけでもないし...
 「迷ってるなら決まりね!来週の金曜だから覚えておいて!お先にー」そう言いながら席を立って行ってしまった。
 「あ、待って!瀬那ちゃん...」
 どうしよう、本当に行くことになっちゃった...。そもそも合コンって、何をするんだろう...?
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