俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
途中で倒れられてはいけないので医務室まで付き添い、診察が終わるのを廊下で待っていた。
「雪原さん、副社長の発熱はおそらく過労からくるものだと思います。今点滴をしていますので、しばらくはここで様子を見ますがよろしいですか?」
「はい、よろしくお願いします。お昼頃に迎えにきますので」
医務室の先生にそう伝え、秘書室に戻る前に社長の元へ報告に行くと山内さんもいらっしゃった。
「副社長ですが、今は医務室で点滴をして休んでいます。ひとまず午前中は休むと約束してくれました」
「そうかい、ありがとう絆音ちゃん。全く翔も困ったものだな、もう少し上手く周りにも仕事を振っていかないと自滅してしまう。とにかく、これからも頼むよ絆音ちゃん。公私共に翔の事を上手く操ってくれると助かるよ」
「は、はい...」
とは言ったものの、おかしな交換条件を出されそれをのんだだけで、私には彼を上手く操るなんて...到底出来そうにないけれど...。
それからお昼前に彼を迎えに行くと、ちょうど起きたようで少しスッキリした様子に安心した。
「少しは楽になりましたか?」
「ああ、点滴ってすごいな。身体が軽くなった気がする」
「それだけお疲れだった証拠です」
「にしても、お前よく気付いたな?」
「少し手が熱かったですし、いつもよりなんて言うか...熱っぽい瞳を、されていたので...」
「へぇ、俺の事よく見てるんだな?微熱に気がつくなんて」
「ふ、副社長が鈍感なんですよ...」
「それより俺は約束を守ったんだから、お前も忘れるなよ?」
「わ、分かっています」
そう言うと満足そうに笑って頭を撫でてから自室へと戻って行った。
すると、バタバタと後ろから足音が聞こえ振り返ると高峰さんが走ってくる。
「な、何かありました?」と慌てて尋ねると彼は息を切らせながら目を丸くしている。
「い、今副社長が!雪原さんを!ポンって!」
「...え?」
「今副社長が雪原さんの頭をポンポンって撫でてましたよね⁉︎」
「あ...えっと、あれは時々子ども扱いというか、からかわれる事があってそれで...」
「なるほど...よくある事なんですね。すみません、副社長のあんな顔を見たことがなかったのでつい興奮してしまって...」
「...興奮?」
「あ、すみません。実は...僕も副社長のファンの一人で、入社してから社内で見かけるたびにかっこいいなぁって憧れていたんです」
「...副社長の、ファン?高峰さんが...?」
「はい、でも山内さんや他の方には言わないで下さいね?実は秘書課に異動の希望を出した理由も、副社長の近くで働きたいという不純な動機なんで...」
想像もしていなかった告白に面くらいすぐに言葉が出てこなかったけれど、なんだか恥ずかしそうにしている彼はとても可愛らしかった。
「ふふっ、はい。秘密にしておきますね?」
「お願いします!」
そして終業時間を迎えた後も、彼が終わるまで作業をしようとパソコンに向き合っていると、十五分ほどして声をかけられ振り向けばすっかり帰り支度が整っている様子の副社長が立っている。
「...え?もう帰るんですか?」
「今日は休めと言ったのはお前だろ?ほら、早く片付けろ」
「あ、はい!」
「夕食はどうする?どこかで食べて帰るか?」
「副社長にお任せします。何か食べたいものがあれば、私で良ければ作りますが」
駐車場へと向かうエレベーターの中でそんな会話をしていると、彼は少し考えた後で「...絆音のカレーが食いたい」と呟く。
その瞬間、フワッと頭の中に風が流れるようにいつかの記憶が掠めた。
記憶を辿るため私が黙っていると「いや、今日はお前も疲れてるだろうし今度ゆっくりできる時に頼むよ」と優しい顔で言う。
「...あの、もしかしてパーティーの日にも、ここでそんな話をしていませんでしたか...?」
「...思い出したのか?あの日の記憶を?」
「いえ、全部は思い出せませんが、今少しだけ頭を掠めて...」
そう言うと、両肩を掴まれ真剣な眼差しで顔を覗き込まれ「絆音、それ以上考えるな。あの日の記憶なんて忘れたままでいい」と切なそうな顔をする彼。
「...はい。でも...作りたいです、カレー。あの日に約束していたみたいですし」
「...いいのか?」
「はい、カレーのスパイスは疲労回復にも良いですし。でも辛さは控えめにしますね、きっとコーヒーで胃が荒れていると思うので」
「ふっ、サンキュー。じゃあ早く買い物して帰ろう」
「雪原さん、副社長の発熱はおそらく過労からくるものだと思います。今点滴をしていますので、しばらくはここで様子を見ますがよろしいですか?」
「はい、よろしくお願いします。お昼頃に迎えにきますので」
医務室の先生にそう伝え、秘書室に戻る前に社長の元へ報告に行くと山内さんもいらっしゃった。
「副社長ですが、今は医務室で点滴をして休んでいます。ひとまず午前中は休むと約束してくれました」
「そうかい、ありがとう絆音ちゃん。全く翔も困ったものだな、もう少し上手く周りにも仕事を振っていかないと自滅してしまう。とにかく、これからも頼むよ絆音ちゃん。公私共に翔の事を上手く操ってくれると助かるよ」
「は、はい...」
とは言ったものの、おかしな交換条件を出されそれをのんだだけで、私には彼を上手く操るなんて...到底出来そうにないけれど...。
それからお昼前に彼を迎えに行くと、ちょうど起きたようで少しスッキリした様子に安心した。
「少しは楽になりましたか?」
「ああ、点滴ってすごいな。身体が軽くなった気がする」
「それだけお疲れだった証拠です」
「にしても、お前よく気付いたな?」
「少し手が熱かったですし、いつもよりなんて言うか...熱っぽい瞳を、されていたので...」
「へぇ、俺の事よく見てるんだな?微熱に気がつくなんて」
「ふ、副社長が鈍感なんですよ...」
「それより俺は約束を守ったんだから、お前も忘れるなよ?」
「わ、分かっています」
そう言うと満足そうに笑って頭を撫でてから自室へと戻って行った。
すると、バタバタと後ろから足音が聞こえ振り返ると高峰さんが走ってくる。
「な、何かありました?」と慌てて尋ねると彼は息を切らせながら目を丸くしている。
「い、今副社長が!雪原さんを!ポンって!」
「...え?」
「今副社長が雪原さんの頭をポンポンって撫でてましたよね⁉︎」
「あ...えっと、あれは時々子ども扱いというか、からかわれる事があってそれで...」
「なるほど...よくある事なんですね。すみません、副社長のあんな顔を見たことがなかったのでつい興奮してしまって...」
「...興奮?」
「あ、すみません。実は...僕も副社長のファンの一人で、入社してから社内で見かけるたびにかっこいいなぁって憧れていたんです」
「...副社長の、ファン?高峰さんが...?」
「はい、でも山内さんや他の方には言わないで下さいね?実は秘書課に異動の希望を出した理由も、副社長の近くで働きたいという不純な動機なんで...」
想像もしていなかった告白に面くらいすぐに言葉が出てこなかったけれど、なんだか恥ずかしそうにしている彼はとても可愛らしかった。
「ふふっ、はい。秘密にしておきますね?」
「お願いします!」
そして終業時間を迎えた後も、彼が終わるまで作業をしようとパソコンに向き合っていると、十五分ほどして声をかけられ振り向けばすっかり帰り支度が整っている様子の副社長が立っている。
「...え?もう帰るんですか?」
「今日は休めと言ったのはお前だろ?ほら、早く片付けろ」
「あ、はい!」
「夕食はどうする?どこかで食べて帰るか?」
「副社長にお任せします。何か食べたいものがあれば、私で良ければ作りますが」
駐車場へと向かうエレベーターの中でそんな会話をしていると、彼は少し考えた後で「...絆音のカレーが食いたい」と呟く。
その瞬間、フワッと頭の中に風が流れるようにいつかの記憶が掠めた。
記憶を辿るため私が黙っていると「いや、今日はお前も疲れてるだろうし今度ゆっくりできる時に頼むよ」と優しい顔で言う。
「...あの、もしかしてパーティーの日にも、ここでそんな話をしていませんでしたか...?」
「...思い出したのか?あの日の記憶を?」
「いえ、全部は思い出せませんが、今少しだけ頭を掠めて...」
そう言うと、両肩を掴まれ真剣な眼差しで顔を覗き込まれ「絆音、それ以上考えるな。あの日の記憶なんて忘れたままでいい」と切なそうな顔をする彼。
「...はい。でも...作りたいです、カレー。あの日に約束していたみたいですし」
「...いいのか?」
「はい、カレーのスパイスは疲労回復にも良いですし。でも辛さは控えめにしますね、きっとコーヒーで胃が荒れていると思うので」
「ふっ、サンキュー。じゃあ早く買い物して帰ろう」