俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
翔side
 「なぁ、今年のご両親の命日は俺も一緒に行っていいか?」
 「...一緒に、行ってくれるんですか?」
 「お前が良ければ。ご両親に挨拶もしたいから」
 「...私は嬉しいです」
 「ありがとう、じゃあ車で長野まで行こうか」
 汗をかいているだろう絆音を風呂場まで見送り、俺はキッチンで片付けを済ますと久しぶりにワインクーラーを開けた。
 絆音が好きそうなものを一本選び先に飲んでいると、先ほど一旦帰った時に持ってきたらしい自分のルームウェアに着替えた彼女が戻ってきた。
 この光景、久しぶりだな...。
 絆音のすっぴんパジャマ姿など何度も見ていたはずなのに、今はまたこの姿が見られた事が嬉しくて堪らない気持ちになる。
 少し恥ずかしそうに入り口あたりでもじもじしているので、ソファに座らせグラスを渡す。両手でそれを持ち甘めの赤ワインをコクコク飲んでいる姿も可愛くて、ついニヤけそうになる。
 やっと、絆音が俺のものに...
 今まで抑えていたものが一気に溢れ出しそうになるのを我慢しながらも、触れたくて愛でたくて堪らない。
 さっき渡したばかりのグラスを手から抜いてテーブルに置き、きょとんとする彼女を再び膝に乗せる。
 綺麗な髪を撫でると、同じシャンプーのはずなのにふわっと甘い香りがする。こんなに間近ですっぴんを見ることはなかったが、少しピンクに染めた頬はツヤツヤで思わず唇を付けた。
 落ちてくる髪の毛をかければ、赤く染めた耳が見え、少しふっくらとした耳朶をなぞれば俺の肩を掴む指先がピクっと揺れる。
 くっきりとした二重瞼に、少し潤んだ瞳は微かに充血している。そして綺麗なピンク色をした唇は少し力が入っていて、親指で下唇を何度も撫でれば次第に緩んでくる。
 少し開いた唇に吸い寄せられるように噛みつけば、さっきよりも柔らかく甘い。
 堪らず舌でなぞったり吸ったり、やっと手に入れた喜びに浸りながら夢中でキスをしていると、肩を掴んでいた手がグッと押していることに気づく。
 唇を離せば、真っ赤な顔ではぁはぁと肩を揺らす絆音。
 「く、苦しいです...」
 「キスする時は鼻で息するんだよ」
 「...え?」
 「大丈夫、俺が一から全部教えてやる」
 「っ...」
 そうは言ったが、やっと好きと言ってくれたウブな彼女を早速襲うのも違う気がしてソファへ降ろした。
 「いきなり襲ったりしないから安心しろ」
 「は、はい...」

 その後もゆっくりとワインを飲みながら、絆音を愛でながら色んな話をした。
 「温泉もいいけど、海外でも行くか?」
 「ふふっ、有給なんて取れるんですか?あんなに忙しいのに」
 「二.三日くらい良いだろ。連休と合わせればどこか行けるんじゃないか?」
 「副社長はどこか行きたい所があるんですか?」
 「...その前にもう家で"副社長"はやめろよ」
 「あ...すみません。でも、何て呼んだら...?」
 「何でもいいよ。昔みたいに"翔くん"でもいいけど?」
 「む、無理です!」
 「ふっ、何でだよ?ほら、言ってみ?」
 赤い顔で慌てる絆音が可愛くて、つい意地悪したくなる。顔を近づけ耳元でそう言うと、ふるふると首を振っている。
 「...か、翔、さん...?」
 「昔は翔くん翔くんってよく構って欲しそうに後ついてきてたのにな?絆音ももう大人になったんだもんな」
 よく俺や晴臣の後をちょこちょこついてきていた頃を思い出して懐かしくなり、頭を撫でていると少し赤い顔で唇を尖らせる。
 「もう、子どもじゃありません...」
 「そうだな。子どもにはあんなキス出来ないもんな?」
 「もう...」
 「ははっ。でも会わなくなったのは俺らが大学に入った頃だろ?その時絆音はまだ小学生だったから、会社で会うまで俺の中では子どものままで止まってたんだよ」
 「その十年間くらいは、ほとんど会うことはありませんでしたね」
 「大学から実家を離れたし卒業してから地方に行ってたからな」
 それから昔話をしていたが、次第に絆音の目がとろんとしてきてふわぁっとあくびをする。
 「そろそろ寝るか」
 そう言うと、子どものように目を擦りながらこくんと頷く絆音の手をひいてベッドに入った。
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