俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
翔side
週が明けた月曜日、Dメディックスの海外進出はメディアでも報道され業界内は騒ついた。
社内でもその話題で若干浮かれた空気を感じたが、まだスタートラインに立っただけでこれからだ。
秘書室では同業者や取引先からかかってくる電話の対応に追われているよう。
午後になってやっと絆音が副社長室に来たかと思えば「取材の依頼が何件かきています。どうされますか?」と当たり前ながら完全に仕事モードでメモ帳に視線を落とし笑顔もない。
「とりあえず座れよ。疲れただろう?」
「いえ、すぐに戻りますので。お答えだけお願いします」
淡々と発せられる言葉に寂しさを感じながらも、二人きりとはいえ公私混同は良くないな...と思い直し俺も仕事モードに切り替える。
「基本は受けるよ、選別はお前に任せる」
「承知しました」そう言うとすぐに部屋を出て行ってしまった。
浮かれているのは俺の方だな...。やっと好きだと言ってもらえて舞い上がっているのは俺だけだ...。
さっそくこれからはまた一緒に暮らせるのだと思っていたが、絆音は冷静だった。
前の同居とは訳が違う、結婚を意識しているならきちんと挨拶をして承諾を得てからでないと出来ない、と。
じゃあ週末だけでも泊まりに来てくれと説得すれば、躊躇いながらも頷いてくれた。
俺も冷静にならないとな...絆音に幻滅される前に。
そして、想像以上にうちの話題は広がっていき取材もかなりの依頼があったそうだが、絆音がスケジュールも加味した上で厳選してくれた。
基本は社長と二人で受けていたが、途中から「後はお前に任せる」と言われ後半はほぼ俺一人で対応した。
彼女のスケジューリングはさすがで全く問題はなかったのだが、普段の業務に加えこの取材もありなかなかハードな日々をこなした。
そして梅雨が明け日差しや暑さが本格的になってくる七月中旬。
約束していた通り絆音を車で迎えに行き、お墓参りのため長野を目指した。
朝早く出たので渋滞もしておらず、車の窓を開ければ真っ青な空に澄んだ空気が心地良い。
朝が早かったにも関わらず、俺の分もおにぎりを作ってくれて朝から幸せな気持ちになる。
そんな彼女は先程までは起きていたが、心地よい風をうけて今はうとうとと夢の中だ。
この日は絆音にとって、事故に遭い両親を亡くした日。もっとナーバスになっているかと思ったが、意外とリラックス出来ているようで俺は内心ホッとしていた。
最寄り駅近くにあるパーキングで、入れ違いに出て行った車が珍しい車種でつい目で追っていると、絆音が起きていた。
「運転ありがとうございました。...何かありましたか?」
「いや、行こうか」
あれほどの高級外車は都内でも滅多に見かけないのに、こんな山奥の田舎で珍しいな...そんな事を考えながらも、絆音に道案内をしてもらい山道を三十分ほど歩いた。
「なぁ、ここに住んでいた時の事はあまり覚えていないんだよな?」
「家の中とか両親の事を少し覚えている程度です」
「小さい子どもがいてこの山道があって、近くにはスーパーもない。確かに眺めや環境は良いと思うが、生活面では不便だっただろうな...」
「そうですね。元々は知り合いから譲り受けた別荘だったそうなので、仕方ないかもしれません」
「へぇ、別荘か。家はこの近くだって言ってたよな?帰りに少し見に寄ってもいいか?」
「良いですけど中には入れませんよ?今は元の持ち主の方が管理をされていて、私はその方を知らないので」
「ああ、絆音がどんな所で育ったのか見てみたいだけだから」
そんな話をしていると墓地に到着したようで、見晴らしの良い所に出た。
そして迷わず両親のもとへ歩いていく彼女に着いて行くと、一つの墓石の前で足を止める。
そこには、まだ瑞々しい綺麗な花束が供えられていて、香炉に立てられた御線香からは僅かに煙が登っていた。
週が明けた月曜日、Dメディックスの海外進出はメディアでも報道され業界内は騒ついた。
社内でもその話題で若干浮かれた空気を感じたが、まだスタートラインに立っただけでこれからだ。
秘書室では同業者や取引先からかかってくる電話の対応に追われているよう。
午後になってやっと絆音が副社長室に来たかと思えば「取材の依頼が何件かきています。どうされますか?」と当たり前ながら完全に仕事モードでメモ帳に視線を落とし笑顔もない。
「とりあえず座れよ。疲れただろう?」
「いえ、すぐに戻りますので。お答えだけお願いします」
淡々と発せられる言葉に寂しさを感じながらも、二人きりとはいえ公私混同は良くないな...と思い直し俺も仕事モードに切り替える。
「基本は受けるよ、選別はお前に任せる」
「承知しました」そう言うとすぐに部屋を出て行ってしまった。
浮かれているのは俺の方だな...。やっと好きだと言ってもらえて舞い上がっているのは俺だけだ...。
さっそくこれからはまた一緒に暮らせるのだと思っていたが、絆音は冷静だった。
前の同居とは訳が違う、結婚を意識しているならきちんと挨拶をして承諾を得てからでないと出来ない、と。
じゃあ週末だけでも泊まりに来てくれと説得すれば、躊躇いながらも頷いてくれた。
俺も冷静にならないとな...絆音に幻滅される前に。
そして、想像以上にうちの話題は広がっていき取材もかなりの依頼があったそうだが、絆音がスケジュールも加味した上で厳選してくれた。
基本は社長と二人で受けていたが、途中から「後はお前に任せる」と言われ後半はほぼ俺一人で対応した。
彼女のスケジューリングはさすがで全く問題はなかったのだが、普段の業務に加えこの取材もありなかなかハードな日々をこなした。
そして梅雨が明け日差しや暑さが本格的になってくる七月中旬。
約束していた通り絆音を車で迎えに行き、お墓参りのため長野を目指した。
朝早く出たので渋滞もしておらず、車の窓を開ければ真っ青な空に澄んだ空気が心地良い。
朝が早かったにも関わらず、俺の分もおにぎりを作ってくれて朝から幸せな気持ちになる。
そんな彼女は先程までは起きていたが、心地よい風をうけて今はうとうとと夢の中だ。
この日は絆音にとって、事故に遭い両親を亡くした日。もっとナーバスになっているかと思ったが、意外とリラックス出来ているようで俺は内心ホッとしていた。
最寄り駅近くにあるパーキングで、入れ違いに出て行った車が珍しい車種でつい目で追っていると、絆音が起きていた。
「運転ありがとうございました。...何かありましたか?」
「いや、行こうか」
あれほどの高級外車は都内でも滅多に見かけないのに、こんな山奥の田舎で珍しいな...そんな事を考えながらも、絆音に道案内をしてもらい山道を三十分ほど歩いた。
「なぁ、ここに住んでいた時の事はあまり覚えていないんだよな?」
「家の中とか両親の事を少し覚えている程度です」
「小さい子どもがいてこの山道があって、近くにはスーパーもない。確かに眺めや環境は良いと思うが、生活面では不便だっただろうな...」
「そうですね。元々は知り合いから譲り受けた別荘だったそうなので、仕方ないかもしれません」
「へぇ、別荘か。家はこの近くだって言ってたよな?帰りに少し見に寄ってもいいか?」
「良いですけど中には入れませんよ?今は元の持ち主の方が管理をされていて、私はその方を知らないので」
「ああ、絆音がどんな所で育ったのか見てみたいだけだから」
そんな話をしていると墓地に到着したようで、見晴らしの良い所に出た。
そして迷わず両親のもとへ歩いていく彼女に着いて行くと、一つの墓石の前で足を止める。
そこには、まだ瑞々しい綺麗な花束が供えられていて、香炉に立てられた御線香からは僅かに煙が登っていた。