俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
 気がつけば窓の外はうっすらと明るくなっていて、お腹には彼の腕が巻き付いていた。
 腕を少し持ち上げて寝返りを打つと、ぎゅっと引き寄せられ彼の胸にぶつかる。
 そして頭を撫でられるとその手は頬をつたい、顎をくっと上げられ唇を塞がれた。
 「んっ...」
 朝から容赦のないキスに息を切らせていると、何となく思い出してくる。
 「あれ...?昨日...」
 「キスの途中で寝るなんて、よっぽど疲れていたんだな?」
 少し棘のある言い方は、怒っているというよりは拗ねているよう。
 「す、すみません...」
 「悪いと思ってる?」
 「は、はい」
 「じゃあ絆音からキスして」
 「え...?」
 「ほら、早く」そう言って私を見つめたまま少し意地悪な顔で微笑む。
 「...あの、今何時ですか...?」
 「六時すぎ」
 「じゃあ、朝ごはんに翔さんが好きな卵のサンドイッチ作りますね。それで許してもらえませんか...?」
 「ふっ、ずるいな絆音は」
 そう言うと昨夜と同じように覆いかぶさり、額や頬にキスを落としたあと首筋や鎖骨にも唇をつける。
 くすぐったくて「んっ」と思わず声が出てしまったけど「可愛いから許してやる」と彼は満足そうにしていた。

 それから数週間後、先月取材を受けた雑誌が出来上がったらしく、出社すると山内さんに数冊手渡された。
 「これは副社長に渡して下さい。数冊余るので、もし雪原さんが欲しければどうぞ」
 「え?」
 すると山内さんは、ペラペラと雑誌をめくり記事が載っているページを開くと私に見せる。
 そこには、一ページを使い大きく副社長の写真と共に"Dメディックスの将来を担うイケメン副社長"との文字が。
 ガラス張りの壁を背に自然光を浴びて少し微笑む彼は...とってもカッコいい...
 思わず見惚れていると「どうぞ、家でゆっくり見て下さい」と私の分も頂いてしまった。
 その日は会食の予定が入っていたので、私は先に帰り食事などを済ませてソファで雑誌を開く。
 全ての文字に目を通すと、彼の仕事に対する思いや熱さ、誠実さや優しいさまで感じられた。
 言葉の全てが素敵でカッコいいうえにこの容姿...
 改めて客観的に見ると、すらっと長い手脚でオーダーメイドのスリーピースを着こなし、涼しげな視線を送る彼はまさに眉目秀麗。
 カッコいい...と思わず写真に見惚れていると、スッと手から雑誌が抜かれた。
 「あっ...」
 「なにを真剣に見てるのかと思えば。これ、今朝持ってきた雑誌か?」
 夢中になり気づかないうちに帰ってきたらしい彼は、スーツ姿でカバンも持ったままペラペラとページをめくっている。
 「お帰りなさい。すみません、気がつかなくて...」
 「何か気になる所でもあるのか?別に変な事を言った覚えはないけど」
 「い、いえ。問題はないと、思います...」
 歯切れの悪い返事に不思議そうにしながらも、雑誌を私に返すとシャワーを浴びに行ったよう。
 記事の内容にはもちろん問題はない。でも...別の事が気になり始めてきた。
 これが売り出されたくさんの人に見られたら、彼の魅力が日本中に知れ渡る事になるんじゃ...
 ただでさえ社内にも彼のファンは多いのに、これを見たらもっともっと増えてしまうのでは...?
 今まで気にしていなかったけれど、こんなに魅力的で完璧な彼が女性にモテないはずがない。
 そういえば前に"人に言えるような恋愛はしていない"と言っていた。
 人に言えない恋愛って...?
 彼が不誠実な事をするとは思えないけれど...過去の女性達は、どんな人だったんだろう...?
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