俺様副社長の溺愛注意報 〜秘書ときどき幼馴染のち妻〜
そんな日々が続いたある日。
今日は久しぶりに二人とも休日で、彼は昨夜も遅くまで仕事をしていたのでゆっくり寝かせてあげたいと思っていた。
先に起きて朝ごはんを用意していたけれど、焼きたてのパンが食べたくなり近所のパン屋さんまで買いに行こうと外に出た。
久しぶりに朝から太陽が顔を出し気持ちの良い天気で、お気に入りのパンも買えたし気分良く帰宅したのだけど...
玄関を開けると、そこには白いハイヒールが揃えられている。
もちろん私のではなく、なぜこんなものが...?とドアを開けたまましばし考えた。
それに翔さんはまだ眠っていたはず。セキュリティ万全なこの部屋に勝手には入れないだろうし、誰かが訪ねてくるという話も聞いていない。
全く見当がつかずしばらく玄関で佇んでいたけれど、意を決してゆっくりとリビングを覗いた。
でも、そこには誰の姿もない。
とにかく彼に確認しようと寝室に向かうと、ドアが少し開いていてそこから声が聞こえ思わずごくりと息を飲んだ。
「翔?ねぇ、翔?起きてよ」と女性の声が聞こえてくる。
どういう事...? 全く理解の出来ない状況に頭が混乱して上手く呼吸も出来なくなってきた。
すると、目が覚めたのか「ん...絆音?」と彼の少し掠れた低い声が聞こえ少し我にかえる。
とにかく、どういう状況なのか確かめないと...。覚悟を決め震える身体を動かし寝室の中をそっと覗くと...
ベッドサイドに腰かける黒いワンピースに白いカーディガンを羽織った女性の後ろ姿が見えた。
彼女は長い足を組み、肩甲骨あたりまである綺麗なダークブラウンの髪をかきあげて翔さんに顔を近づける。
その時僅かに見えた横顔は、くっきりとした二重にスッと通った鼻筋、薄い唇には赤い口紅が塗られていてとても綺麗だった...。
「翔?寝ぼけてないでちゃんと見てよ、私のこと」
ガバッと勢いよく起き上がった彼は「はぁ⁈」と大きな声で叫ぶ。
「もうー、いきなり大声出さないでよ」
「...は?なんでお前がここに...?」
「ふふっ、せっかく帰国して久しぶりに会うから驚かせようと思って!おばさんに鍵借りたの!どう?びっくりした?」
「...はぁー、驚くに決まってるだろ...」
「あははっ、やった!ドッキリ大成功」
そんなやり取りをする二人を、未だ理解が出来ず混乱したまま覗いていた。
すると、「...絆音は?リビングにいたか?」との彼の声にビクッとする。
「え?誰もいなかったけど?」
その言葉に弾かれたようにベッドから飛び降りた彼を見て、慌てて逃げようとしたけれどもちろんすぐに見つかってしまった。
「絆音...よかった」そう言って強く抱きしめられたけれど、よく分からない状況にまたモヤモヤが心に広がる。
すると後ろから「あら、彼女いたの?ごめんなさい、勝手にお邪魔しちゃって」と先ほどの女性が出てきた。
横顔も綺麗だったけれど正面から見ると思わず見惚れてしまうほどの美人...。
そのうえ、翔さんとさほど変わらない身長に細く長い手脚は白く肌まで綺麗。そして、長い髪をかきあげる仕草は色気を感じる...
ああ、私のイメージにぴったりの人だ...。彼に似合うのは、やっぱりこういう女性だ。
そう思うと胸が痛んでいたたまれなくなり、彼の手を解いて逃げ出し玄関に向かって走ったけれど、靴を履く前に追いかけてきた二人にあっけなく捕まってしまった。
「絆音!待て、誤解だ!」
「待って待って!違うの!ちゃんと説明させて!」
「...聞かないと、ダメですか?」
現実を突きつけられるのが怖くて、顔も上げられない。今にも溢れそうな涙を我慢していると、ふっと身体が浮き上がった。
「ダメに決まってるだろ」と私を横抱きにしてリビングへと戻される。
「お、降ろしてください!」
「逃げるからだめ」
そのままソファに座り、横抱きに膝に乗せられたまま腕を回され動けなくなる。
そして、その向かえ側に女性が座ると、じっと私を見つめて「え...?もしかして、あの絆音ちゃん⁉︎晴くんとこの⁈」と目を丸くしている。
「そうだよ、俺の婚約者だ」
「え⁈そうだったの⁈」と驚いている声は、さっきまでと違い少し低い...。
「久しぶりだね!僕のこと覚えてない?」とまるで男性のような口調で言われ、何が何だかわからず彼を見上げた。
「絆音はまだ小さかったから覚えてなくても無理ない。こいつは俺の従兄弟の玲(れい)だよ」
「...へ?従兄弟...?」
「この格好だから混乱させちゃったよね、ごめんね?今は海外でモデルやってるんだけど、こういうのもやってるの。だから、ちょっと翔を驚かせようと思ってこの格好で寝込みを襲ってみたって訳。ちなみに普段は男の格好してるし、恋愛対象も女の子だよ?」
「...そ、そうだったんですね...」
「全く...余計な事して」
「ごめんごめん!だって同棲してるなんて知らなかったし、靴もなかったから」
「そういえば、どこか行ってたのか?」
「あ、はい。パンを買いに...」
「なるほど。悪かったな、驚かせて」
そう言いながら頭を撫でるので、勘違いしていた事も含めて途端に恥ずかしくなる。
「あの、そろそろ降ろしてもらえませんか?もう、逃げませんから...」
「ははっ、翔って独占欲強そうだよね。にしても、まさか絆音ちゃんと結婚なんて驚いたよ。しかも小さい頃は天使みたいに可愛いかったのに、こんなに綺麗になっちゃって」
「い、いえ。玲さんの方がずっと綺麗です、大人の女性という感じで...」
「あははっ、絆音ちゃん面白いね。まぁでも、この身体も顔も商売道具だから。それなりに気は使ってるけどね?」
「それより、日本で仕事でもあったのか?」
「そうそう、類に頼まれてね。日本でオープンするお店の手伝いにきたんだよ」
「へぇ、じゃあしばらくこっちに居るのか?」
「うーん、どうかな?向こうで仕事もあるし、そんなに長くはいないけど」
「おじさんたちも元気にしてるか?」
「あの二人は相変わらずだよ。今は海外に飽きて日本に帰ってるみたいだけど、仲良く自由気ままに暮らしてるよ」
今日は久しぶりに二人とも休日で、彼は昨夜も遅くまで仕事をしていたのでゆっくり寝かせてあげたいと思っていた。
先に起きて朝ごはんを用意していたけれど、焼きたてのパンが食べたくなり近所のパン屋さんまで買いに行こうと外に出た。
久しぶりに朝から太陽が顔を出し気持ちの良い天気で、お気に入りのパンも買えたし気分良く帰宅したのだけど...
玄関を開けると、そこには白いハイヒールが揃えられている。
もちろん私のではなく、なぜこんなものが...?とドアを開けたまましばし考えた。
それに翔さんはまだ眠っていたはず。セキュリティ万全なこの部屋に勝手には入れないだろうし、誰かが訪ねてくるという話も聞いていない。
全く見当がつかずしばらく玄関で佇んでいたけれど、意を決してゆっくりとリビングを覗いた。
でも、そこには誰の姿もない。
とにかく彼に確認しようと寝室に向かうと、ドアが少し開いていてそこから声が聞こえ思わずごくりと息を飲んだ。
「翔?ねぇ、翔?起きてよ」と女性の声が聞こえてくる。
どういう事...? 全く理解の出来ない状況に頭が混乱して上手く呼吸も出来なくなってきた。
すると、目が覚めたのか「ん...絆音?」と彼の少し掠れた低い声が聞こえ少し我にかえる。
とにかく、どういう状況なのか確かめないと...。覚悟を決め震える身体を動かし寝室の中をそっと覗くと...
ベッドサイドに腰かける黒いワンピースに白いカーディガンを羽織った女性の後ろ姿が見えた。
彼女は長い足を組み、肩甲骨あたりまである綺麗なダークブラウンの髪をかきあげて翔さんに顔を近づける。
その時僅かに見えた横顔は、くっきりとした二重にスッと通った鼻筋、薄い唇には赤い口紅が塗られていてとても綺麗だった...。
「翔?寝ぼけてないでちゃんと見てよ、私のこと」
ガバッと勢いよく起き上がった彼は「はぁ⁈」と大きな声で叫ぶ。
「もうー、いきなり大声出さないでよ」
「...は?なんでお前がここに...?」
「ふふっ、せっかく帰国して久しぶりに会うから驚かせようと思って!おばさんに鍵借りたの!どう?びっくりした?」
「...はぁー、驚くに決まってるだろ...」
「あははっ、やった!ドッキリ大成功」
そんなやり取りをする二人を、未だ理解が出来ず混乱したまま覗いていた。
すると、「...絆音は?リビングにいたか?」との彼の声にビクッとする。
「え?誰もいなかったけど?」
その言葉に弾かれたようにベッドから飛び降りた彼を見て、慌てて逃げようとしたけれどもちろんすぐに見つかってしまった。
「絆音...よかった」そう言って強く抱きしめられたけれど、よく分からない状況にまたモヤモヤが心に広がる。
すると後ろから「あら、彼女いたの?ごめんなさい、勝手にお邪魔しちゃって」と先ほどの女性が出てきた。
横顔も綺麗だったけれど正面から見ると思わず見惚れてしまうほどの美人...。
そのうえ、翔さんとさほど変わらない身長に細く長い手脚は白く肌まで綺麗。そして、長い髪をかきあげる仕草は色気を感じる...
ああ、私のイメージにぴったりの人だ...。彼に似合うのは、やっぱりこういう女性だ。
そう思うと胸が痛んでいたたまれなくなり、彼の手を解いて逃げ出し玄関に向かって走ったけれど、靴を履く前に追いかけてきた二人にあっけなく捕まってしまった。
「絆音!待て、誤解だ!」
「待って待って!違うの!ちゃんと説明させて!」
「...聞かないと、ダメですか?」
現実を突きつけられるのが怖くて、顔も上げられない。今にも溢れそうな涙を我慢していると、ふっと身体が浮き上がった。
「ダメに決まってるだろ」と私を横抱きにしてリビングへと戻される。
「お、降ろしてください!」
「逃げるからだめ」
そのままソファに座り、横抱きに膝に乗せられたまま腕を回され動けなくなる。
そして、その向かえ側に女性が座ると、じっと私を見つめて「え...?もしかして、あの絆音ちゃん⁉︎晴くんとこの⁈」と目を丸くしている。
「そうだよ、俺の婚約者だ」
「え⁈そうだったの⁈」と驚いている声は、さっきまでと違い少し低い...。
「久しぶりだね!僕のこと覚えてない?」とまるで男性のような口調で言われ、何が何だかわからず彼を見上げた。
「絆音はまだ小さかったから覚えてなくても無理ない。こいつは俺の従兄弟の玲(れい)だよ」
「...へ?従兄弟...?」
「この格好だから混乱させちゃったよね、ごめんね?今は海外でモデルやってるんだけど、こういうのもやってるの。だから、ちょっと翔を驚かせようと思ってこの格好で寝込みを襲ってみたって訳。ちなみに普段は男の格好してるし、恋愛対象も女の子だよ?」
「...そ、そうだったんですね...」
「全く...余計な事して」
「ごめんごめん!だって同棲してるなんて知らなかったし、靴もなかったから」
「そういえば、どこか行ってたのか?」
「あ、はい。パンを買いに...」
「なるほど。悪かったな、驚かせて」
そう言いながら頭を撫でるので、勘違いしていた事も含めて途端に恥ずかしくなる。
「あの、そろそろ降ろしてもらえませんか?もう、逃げませんから...」
「ははっ、翔って独占欲強そうだよね。にしても、まさか絆音ちゃんと結婚なんて驚いたよ。しかも小さい頃は天使みたいに可愛いかったのに、こんなに綺麗になっちゃって」
「い、いえ。玲さんの方がずっと綺麗です、大人の女性という感じで...」
「あははっ、絆音ちゃん面白いね。まぁでも、この身体も顔も商売道具だから。それなりに気は使ってるけどね?」
「それより、日本で仕事でもあったのか?」
「そうそう、類に頼まれてね。日本でオープンするお店の手伝いにきたんだよ」
「へぇ、じゃあしばらくこっちに居るのか?」
「うーん、どうかな?向こうで仕事もあるし、そんなに長くはいないけど」
「おじさんたちも元気にしてるか?」
「あの二人は相変わらずだよ。今は海外に飽きて日本に帰ってるみたいだけど、仲良く自由気ままに暮らしてるよ」