あの放課後、先生と初恋。




「あのさ……、母さん」


「なーに?なんでも聞くよ?お母さんも一応は女子高生してたもんね~」


「……………何十年前だよ」



よかった、聞こえてなくてセーフ。

俺からの言葉を食いぎみに待っている母さんに言おうか迷ったが、父さんに言うよりはマシかという気持ちひとつで聞いてみる。



「しつこくしといて…、でもやっぱまたしつこくするのって、嫌われる?」


「…は?」


「もう今日はやめといたほうがいいよなって自分でも思うんだけど…、逆に今日はどうしてもしたくて」


「………なら、すればいいんじゃない?」



電話したい。声が聞きたい。
だって俺、手を振り払われたんだ。

行ってほしくなくて思わず掴んだ手を、にいな先輩は振り払ってまでも彼のほうへ行った。


俺が所属するサッカー部顧問でもある───一浦 遥人のほうへ。



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