堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
「羽瀬川先生、お疲れ様です」

 今度は女性が近寄って来て、彼にそっと声をかけた。
 特にかしこまった感じのあいさつではない。親しい仲なのだろうか。

「お疲れ様。アイツは?」
「あちらです」

 この女性にはどこか見覚えがあるなと思っていたら、笑顔で会釈をされた。
 ……思い出した。たしか副社長の専属秘書だ。
 ひとりで納得して小さくうなずいていると、会場の奥から颯爽と副社長が歩いてくるのが見えた。

「亜蘭、早かったな」
「ああ。ていうか、勇気が主催者だとは聞いてないぞ?」
「あれ、そうだっけ?」

 眉をひそめる羽瀬川先生とは対照的に、副社長がとぼけながらアハハと笑った。
 今まで副社長と直接話したことはなかったけれど、こんなに明朗快活な性格だとは思っていなかった。
 社内で見かけるときはもっと凛としているから、今日はいつもと雰囲気が違う。
 それよりも、どうやら副社長がこのパーティーを主催したらしい。羽瀬川先生も知らなかったようだ。

「亜蘭がどんなパートナーと同伴で来るのか楽しみにしてたけど。こんなにかわいらしい女性を連れてくるとはな」
「じろじろ見るな」
「え、紹介しろよ」

 副社長がやわらかい笑みをたたえつつ、先生の後ろに控えていた私に視線を注いでくる。
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