堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
「茅田さん、来てくれてありがとう。緊張して楽しめないかもだけど、料理も飲み物もふんだんに用意してあるからね。亜蘭がサポートするし大丈夫かな」
「気にかけていただいて、こちらこそありがとうございます」

 静かに頭を下げると、副社長はうなずいてほかの来賓客のもとへあいさつをしに行った。

「すまない。勇気はすぐにふざけるんだ。気を悪くした?」
「いいえ。副社長って陽気で楽しい方だったんですね」

 ふたりは同い年だが、まるで兄弟のようだ。クールな羽瀬川先生が兄で、いたずらっ子のような副社長が弟。
 幼少期のふたりはさぞかしかわいかったのだろうなと妄想が膨らむ。

「飲み物はなにがいい?」
「えっと……ノンアルで」
「わかった」

 先生がスマートに、そばを通りかかったスタッフのトレイから飲み物をふたつ取る。
 グラスの形は同じだがそれぞれ色が違っていた。ひとつはシャンパンで、もうひとつはウーロン茶のようだ。

「もう少ししたら乾杯のあいさつかな」

 そう言いつつ、彼が私にウーロン茶の入ったグラスを手渡す。
 しばらくすると進行役からマイクでアナウンスがあり、国枝副社長が正面の壇上に上がって軽妙なスピーチをした。
 そのあとはそれぞれがひたすら名刺交換やビジネスの話をあちこちで繰り広げている。
 中には明らかなお世辞を言ったり、相手の機嫌を終始取りながら話している人もいて、ビジネス系のパーティーは気が抜けない。
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