堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
 パーティー当日、彼女にドレスを見せると目を輝かせながら驚いていた。

「着てみました。……どうでしょうか?」

 想像以上に似合っていて、思わず「綺麗だ」と正直な言葉が口から洩れた。
 次はネックレスの出番だ。おろおろする彼女の背後に回り、俺自身の手で彼女の華奢な首につけてみる。
 真正面から確認するとその姿はあまりにも美しくて、力強く抱きしめそうになる衝動を堪えるのに必死だった。

 本心を言えば、誰にも見せたくないくらいだ。
 こんなに美しい彼女を連れて行って、もしも勇気が気に入ったらどうする。
 そんな子どもじみた考えが浮かんだなんて、口が裂けても言えないけれど。

 慣れない場所に来たせいで緊張していた彼女は、飲み物や食べ物に自ら手をつけない。
 息を潜めて気配を消そうとしている。遠慮しているのだ。
 ひととおり来賓客にあいさつを済ませた俺は、先に帰ると勇気に断り、彼女と共にパーティー会場をあとにした。

「ルームサービスを頼んで部屋でゆっくりしよう」

 俺にとってもそれが一番気楽だ。
 部屋に戻ると真っ先に、適当につまめるようにオードブルとチキンを電話で頼んだ。

「お気遣い、ありがとうございます」

 届いた料理を眺めつつ、頬を染めて礼を言う彼女がかわいくてたまらない。

「さっき、勇気となにを話してたの?」

 俺が来賓客にあいさつをしているとき、勇気が彼女に付きそっているのが見えた。
 アイツなりのフォローのつもりだったのだろう。
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