堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
 ホッとしたのと同時にあきれ返ってしまい、副社長の前だというのに無意識に大きな溜め息が出た。
 要するに私は試されたのだ。イケメンの副社長に口説かれて、気持ちが揺らぐかどうか。と言っても、絶対にそれはありえないけれど。

「茅田さんは浮ついた子じゃないって信じてたけどね。亜蘭のために、君が打算的じゃないか一応たしかめさせてもらった」
「そういうことでしたか」

 怒りと悲しみで悶々としていた感情から解き放たれたのはよかったけれど、愕然とした今は逆に放心状態で、一気に疲れが押しよせてきた。
 副社長は陰でこそこそと裏切っていたわけではなかった。
 親友を心から大事に思っているだけだとわかった今は、とても微笑ましく感じる。

「俺が亜蘭の恋人を口説くわけないじゃん。幼馴染で親友で、会社では俺の右腕なのに」
「私は、恋人……では……」
「あれ? パーティーの日、あの部屋に泊まったんじゃないの? 亜蘭とふたりで」

 サラリと聞き流しておけばよかったのに、変に反応したせいで直球で聞かれてしまった。
 自然と動悸が激しくなってきて、変な汗が出そうだ。
 羽瀬川先生と朝まで過ごし、そういう仲になったのは事実なのだが……あの夜は特別で、一夜限りだった可能性もある。
 だから関係性を問われると、今の段階ではなんとも答えようがない。
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