堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
「このあと時間ある? 話がしたいんだけど」

 肩に置かれていた手がそっと離れていったあと、彼がポツリとそう言った。
 いつもの落ち着いた声音からは感情が読み取れない。彼がしたい話は、あの夜のことについてだろうか。
 魔が差しただけとか、忘れてくれと言われたらさすがにつらいな。

「私も……話したいと思っていました」
「それなら、うちに来ないか?」
「え?」
「ちょっと込み入った話だし」

 どうやら彼もあのことが気にかかっているらしい。
 私だって、どんな結末を迎えようとも気持ちだけは伝えたいと決心したところなのだから、逃げるわけにはいかない。
 しかし羽瀬川先生から家に誘われるとは思ってもみなかった。
 たしかに誰が見ているかわからない場所で話す内容ではないけれど。

 ビルの地下にある駐車場に彼は車を停めているらしく、ふたりでそちらに移動した。
 操作したリモコンキーに反応して車のランプがチカチカと点滅する。
 近づいていくと、それは海外のエンブレムがついた高級車だった。

「どうした?」

 一瞬歩みを止めた私に気づいた彼が、上半身だけ振り返って問いかけた。
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