性悪陰陽師は今日も平気で嘘を吐く。
　光が部屋を出て行ってから三時間が経過しようとしていた頃、食事を終えてしまった類は手持ち無沙汰にリビングのソファに腰掛けていた。

　（光さん…、遅いな…）

　そろそろ帰ってきてもいい頃合いなのに、一向に帰って来る気配が無い家主に類は何度も時計を確認する。

　（寝てていいって言われたけど…）

　窓の外には大粒の雨が振りしきり、雷もなっている。類は光の身に何かあったのではないかと少し不安になっていた。　

　（どうしよう…、いくら何でも遅いよね…）

　壁にかけられた時計を見て類はため息を吐く。連絡をとりたくとも携帯を持っていないためどうすることも出来ない。

　（探しに行った方がいいかな…）

　もしかしたら、どこかで倒れているかもしれない。

　類はそう考えると、ソファから立ち上がる。どうせ、このまま待っていても心配が募るだけだ。
　
　（ひ、ひとまず周辺だけでも探してみよう…）

　確かここまでの道中に大きな駅があったはずだ。そこまでの距離なら歩いて往復が出来る。

　見つかる確率はほぼゼロかもしれないが、類は朧げな記憶を頼りに、スウェット姿のまま光の自宅を飛び出した。
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