性悪陰陽師は今日も平気で嘘を吐く。
てっきり、よくある普通の家屋を想像していた類は廊下を出てすぐに驚かされる。
(ず、随分と立派なお屋敷…)
廊下を出た先に見えたのは、何処かの旅館にある様な綺麗な中庭であった。
類は男の背中を追うようにして、中庭の長い廊下を横切ると一つの大部屋へと通される。
「入れ」
言われた通り、大部屋へと足を踏み入れると既に数名の先客が長机を囲むようにして座っていた。
「あー!ひかるん、また女の子連れてきた!」
突然、一人の派手目な女がこちらを指差しながら声を張り上げる。
「エリカ、その呼び方はやめろ…」
「えー、別にいいじゃん!」
エリカと呼ばれた女は顎に手をつきながら口元を尖らせる。
「それより、ひかるん、その人だーれ?」
エリカは楽しそうに類の方を指差しながら尋ねる。
「憑かれ人《つかれびと》だ」
男は一言そう返答すると、類を一つの席へと案内する。
「へー、また払ってあげるんだねー、やさしー」
まるでそんなこと一ミリも思っていないのか、エリカは少し含みを持たせた言い方をする。
「おい、エリカ、醤油が袖についてんぞー」
類が席へと座ると、柄の悪そうな金髪の男が口を開いた。
「うわ!まじ?!最悪…、もっと早く教えてよ!」
「知るかよ、今気づいたんだよ」
「じゃあ、もっと早く気づけし!」
「無理言うな!今教えてやっただけ親切だろーが!」
柄の悪そうな男が怒りを露わにすると、今度は角に座っていた小学生くらいの少年が鬱陶しそうに口を開いた。
「うるさいですよ!いい年して喧嘩しないでもらえます?」
少年はそう言うと読みかけていた本に視線を戻す。
「あ?、俺はまだ三十代だぞ!」
「三十代って、ティーンのあーしからしたおじさんだし!」
「てめぇもいつかはおばさんになるだろーが!」
「は?あーしがおばさんになったらあんたはじじぃだし!」
二人はそう言って睨み合うと、お互いフンと顔を背けた。
「礼二、エリカ、やめろ。誠も一々口を挟むな…」
すると、今度は少し離れた場所に座る白髪の老人が威厳のある口調で三人の行動を制した。
年齢は七十代くらいだろうか?混じり気のない綺麗な白髪で、品の良い着物を身に纏っている。
「それより、光《ひかる》また拾い物か…」
老人は類を一瞥すると、自分をこの場まで案内してきた男にその鋭い視線を投げかける。どうやら、彼の名前は光と言う様だ。
「はい」
光ると呼ばれた男は、否定することもなく答えると、自身も席へと着席する。そして、一つ咳払いをすると、ハッキリとした口調でこう言った。
「彼女は今日から俺達の【家族】です…」
(ず、随分と立派なお屋敷…)
廊下を出た先に見えたのは、何処かの旅館にある様な綺麗な中庭であった。
類は男の背中を追うようにして、中庭の長い廊下を横切ると一つの大部屋へと通される。
「入れ」
言われた通り、大部屋へと足を踏み入れると既に数名の先客が長机を囲むようにして座っていた。
「あー!ひかるん、また女の子連れてきた!」
突然、一人の派手目な女がこちらを指差しながら声を張り上げる。
「エリカ、その呼び方はやめろ…」
「えー、別にいいじゃん!」
エリカと呼ばれた女は顎に手をつきながら口元を尖らせる。
「それより、ひかるん、その人だーれ?」
エリカは楽しそうに類の方を指差しながら尋ねる。
「憑かれ人《つかれびと》だ」
男は一言そう返答すると、類を一つの席へと案内する。
「へー、また払ってあげるんだねー、やさしー」
まるでそんなこと一ミリも思っていないのか、エリカは少し含みを持たせた言い方をする。
「おい、エリカ、醤油が袖についてんぞー」
類が席へと座ると、柄の悪そうな金髪の男が口を開いた。
「うわ!まじ?!最悪…、もっと早く教えてよ!」
「知るかよ、今気づいたんだよ」
「じゃあ、もっと早く気づけし!」
「無理言うな!今教えてやっただけ親切だろーが!」
柄の悪そうな男が怒りを露わにすると、今度は角に座っていた小学生くらいの少年が鬱陶しそうに口を開いた。
「うるさいですよ!いい年して喧嘩しないでもらえます?」
少年はそう言うと読みかけていた本に視線を戻す。
「あ?、俺はまだ三十代だぞ!」
「三十代って、ティーンのあーしからしたおじさんだし!」
「てめぇもいつかはおばさんになるだろーが!」
「は?あーしがおばさんになったらあんたはじじぃだし!」
二人はそう言って睨み合うと、お互いフンと顔を背けた。
「礼二、エリカ、やめろ。誠も一々口を挟むな…」
すると、今度は少し離れた場所に座る白髪の老人が威厳のある口調で三人の行動を制した。
年齢は七十代くらいだろうか?混じり気のない綺麗な白髪で、品の良い着物を身に纏っている。
「それより、光《ひかる》また拾い物か…」
老人は類を一瞥すると、自分をこの場まで案内してきた男にその鋭い視線を投げかける。どうやら、彼の名前は光と言う様だ。
「はい」
光ると呼ばれた男は、否定することもなく答えると、自身も席へと着席する。そして、一つ咳払いをすると、ハッキリとした口調でこう言った。
「彼女は今日から俺達の【家族】です…」