性悪陰陽師は今日も平気で嘘を吐く。
 「よ、@&”;:、、うやく&77見つけたぞ!小僧!!」

 恐ろしい姿をした異形は、既に人の言葉を忘れたのかほぼ意味不明な言葉を並びたてる。

 「類!走れ!」

 「いや!走れって言われても!!」

 見たこともない化け物の姿に類は腰を抜かす。こんな状況で走れる人間などいれるのだろうか?

 「こ@#」むすm&:め!!き&4*様からだ!!」

 化け物はそんな類の姿を見とめると、口と思われる箇所を思い切り開き類の身体へと飛び掛かる。

 まるでスローモーションの映像を見る様に化け物がゆっくりと口を広げて迫ってくる。

 (光さん、ごめんなさい。やっぱり私何の役にも立てませんでした…)

 類は心の中で光へ謝罪をすると、諦めた様に瞳を閉じた。



 チリン…



 「お主はこちらへ来てはならぬ」



 ふと、誰かに背中を押された気がしたー。


 (お嬢ちゃん?)

 類は聞き覚えのある鈴の音に、少女の気配を感じる。


 ここには何もありゃせんよー。

 あるのは妾とおっかあの思いだけー。

 ここには何もありゃせんよー。

 どこか、頭に直接響いた言葉に類は目を見開く。そして、母にこれ以上人を喰い殺して欲しくないと願っていた少女の姿を思い出す。これ以上母の片棒を担ぎたくないと願う少女の思いがどこからともなく類の心に流れ込んでくる。


 「…ええ、わかったわ。何も無いのよね」


 そう。ここには何もない。

 あるのは父に捨てられた少女と
 哀れな母の負のエネルギだけー。

 類は何かを決心した様に目を見開く。そしてー、

 「いつまで引きずってんのよ!!そんなんだから旦那にも捨てられるのよ!!このわからずや!!!」

 と大声を張り上げた。
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