性悪陰陽師は今日も平気で嘘を吐く。
「あれぇ?!るいちぃーじゃん!」
礼二に荷物を運んで貰ったお礼に、朝食作りの準備を手伝っていると、二階からパタパタと足音が響いた。
「おはよ。エリカちゃん」
類は降りてきたエリカに挨拶をすると、借りた服を駄目にしてしまった事を謝罪する。
「それで…、今クリーニングに出してて…、後、お詫びと言ってはなんなんだけど…」
かくかくしかじか、一生懸命説明しながら何度も頭を下げるとエリカは「別にいーって!落ち着きなよ」と可笑しそうに類の肩を叩いた。
「一体、何事ですか…。騒がしい…」
「あれ?、まこちゃんもう起きてたの?」
台所から朝食を載せたトレーを運ぶ誠にエリカは意外そうに驚く。
「ええ、朝目覚めたら丁度類さんの声がしたので…」
誠はそう言うと、ツンとそっぽを向いた。どうやら、類の帰りをいち早く待っていたのは誠の様である。
「まこちゃんかーわいー」
エリカが誠のほっぺをツンツンつつくと、誠は分かりやすく不機嫌な表情をしてみせた。
「それより、エリカさん。今日鴉天狗出勤日ですよね…?いいんですか?こんな悠長に起きてきて」
誠は溜め息混じりにエリカへと尋ねる。
「あーしってば、支度の神だから!」
「誰が支度の神だって?」
「あ!馬鹿礼二!」
「だから、俺は馬鹿じゃねぇっての!」
相変わらず、仲がいいのか悪いのか礼二は盆に乗せた味噌汁を持ったままエリカを睨みつける。
「これ!やめんか!朝から騒々しい!」
二人の言い合いがはじまりそうになると、台所からオタマを持った獏が姿を現した。
「あー!ユメクイジィさん!おひさー!!」
(ゆ、ユメクイじいさん?!)
よくわらないネーミングセンスに類はエリカの顔をキョトンと見つめる。
「あり?知らない感じ?ユメクイ、悪い夢を食べてくれる神話の生き物だよ?」
エリカは指を立てながら端的にユメクイについて説明する。
「…確か中国で言い伝えられている想像上の動物でしたね」
誠の説明に類は「なるほど」と手を叩く。
「獏だからユメクイってことね」
「そーそー!ピッタリっしょ?」
エリカは嬉しそうに獏の顔を指差す。
「これ、人の顔を指差すんでない!それからもっと他の呼び方にしろとあれだけ口酸っぱく言っておろうが、このギャル娘!」
(ギャル娘?!)
オタマをエリカに向けながら叫ぶ獏の姿に類は少々驚く。先に出会ったイメージとだいぶ違うのは気のせいだろうか。
「えー、じゃあ…パチンカス爺さん?」
「ユメクイ爺さんでよかろう…」
獏はコホンと咳払いをすると、まるでバツが悪いといった様子で再び台所へと姿を消した。
「おら、さっさと朝飯食ってお勤め行ってこい、お前と爺さんが居ると煩くて仕方ねぇ…」
礼二はテキパキと炊飯器からお米をよそうと、エリカの座るテーブルに配膳する。
「礼二だっていつもうっさい癖に…」
「は?俺はいつも静かだろーが」
「あれが静かなら世の中の子供はみーんな静かよ!」
「子犬でもあんな吠えませんからね…」
「あぁん?何だと誠…!」
「まぁまぁ、礼二さん。あ、そういえば!今日社の掃除当番誠君だったよね?」
類は礼二を宥めると、誠に今日の予定を確認する。
「えぇ、境内の掃除と、厠掃除です。確か予定では類さんもでしたね」
誠は少し嬉しそうな表情を見せる。
「そうなの。それで…一つお願いなんだけど、私掃除当番今日が初めてだから色々と教えてくれないかな?」
類はそう言うと、誠に向けてお祈りポーズでお願いをしてみる。
「はい。もちろんです。といっても難しいことは一つもありません。ただ、掃除用具を仕舞っている場所が少し離れているので、朝食を食べ終わったら一緒に行きましょう」
誠の心遣いに類は「ありがとう」と丁寧に頭を下げた。
礼二に荷物を運んで貰ったお礼に、朝食作りの準備を手伝っていると、二階からパタパタと足音が響いた。
「おはよ。エリカちゃん」
類は降りてきたエリカに挨拶をすると、借りた服を駄目にしてしまった事を謝罪する。
「それで…、今クリーニングに出してて…、後、お詫びと言ってはなんなんだけど…」
かくかくしかじか、一生懸命説明しながら何度も頭を下げるとエリカは「別にいーって!落ち着きなよ」と可笑しそうに類の肩を叩いた。
「一体、何事ですか…。騒がしい…」
「あれ?、まこちゃんもう起きてたの?」
台所から朝食を載せたトレーを運ぶ誠にエリカは意外そうに驚く。
「ええ、朝目覚めたら丁度類さんの声がしたので…」
誠はそう言うと、ツンとそっぽを向いた。どうやら、類の帰りをいち早く待っていたのは誠の様である。
「まこちゃんかーわいー」
エリカが誠のほっぺをツンツンつつくと、誠は分かりやすく不機嫌な表情をしてみせた。
「それより、エリカさん。今日鴉天狗出勤日ですよね…?いいんですか?こんな悠長に起きてきて」
誠は溜め息混じりにエリカへと尋ねる。
「あーしってば、支度の神だから!」
「誰が支度の神だって?」
「あ!馬鹿礼二!」
「だから、俺は馬鹿じゃねぇっての!」
相変わらず、仲がいいのか悪いのか礼二は盆に乗せた味噌汁を持ったままエリカを睨みつける。
「これ!やめんか!朝から騒々しい!」
二人の言い合いがはじまりそうになると、台所からオタマを持った獏が姿を現した。
「あー!ユメクイジィさん!おひさー!!」
(ゆ、ユメクイじいさん?!)
よくわらないネーミングセンスに類はエリカの顔をキョトンと見つめる。
「あり?知らない感じ?ユメクイ、悪い夢を食べてくれる神話の生き物だよ?」
エリカは指を立てながら端的にユメクイについて説明する。
「…確か中国で言い伝えられている想像上の動物でしたね」
誠の説明に類は「なるほど」と手を叩く。
「獏だからユメクイってことね」
「そーそー!ピッタリっしょ?」
エリカは嬉しそうに獏の顔を指差す。
「これ、人の顔を指差すんでない!それからもっと他の呼び方にしろとあれだけ口酸っぱく言っておろうが、このギャル娘!」
(ギャル娘?!)
オタマをエリカに向けながら叫ぶ獏の姿に類は少々驚く。先に出会ったイメージとだいぶ違うのは気のせいだろうか。
「えー、じゃあ…パチンカス爺さん?」
「ユメクイ爺さんでよかろう…」
獏はコホンと咳払いをすると、まるでバツが悪いといった様子で再び台所へと姿を消した。
「おら、さっさと朝飯食ってお勤め行ってこい、お前と爺さんが居ると煩くて仕方ねぇ…」
礼二はテキパキと炊飯器からお米をよそうと、エリカの座るテーブルに配膳する。
「礼二だっていつもうっさい癖に…」
「は?俺はいつも静かだろーが」
「あれが静かなら世の中の子供はみーんな静かよ!」
「子犬でもあんな吠えませんからね…」
「あぁん?何だと誠…!」
「まぁまぁ、礼二さん。あ、そういえば!今日社の掃除当番誠君だったよね?」
類は礼二を宥めると、誠に今日の予定を確認する。
「えぇ、境内の掃除と、厠掃除です。確か予定では類さんもでしたね」
誠は少し嬉しそうな表情を見せる。
「そうなの。それで…一つお願いなんだけど、私掃除当番今日が初めてだから色々と教えてくれないかな?」
類はそう言うと、誠に向けてお祈りポーズでお願いをしてみる。
「はい。もちろんです。といっても難しいことは一つもありません。ただ、掃除用具を仕舞っている場所が少し離れているので、朝食を食べ終わったら一緒に行きましょう」
誠の心遣いに類は「ありがとう」と丁寧に頭を下げた。