性悪陰陽師は今日も平気で嘘を吐く。
「…ひ、光さん?」
気づけば助手席のシートが後ろへと倒され、真上には光が覆い被さる様にして類の事を見下ろしていた。
「俺、言ったよな」
どこか底冷えする様な声色に類の全身が石の様に硬直する。
「返事は【はい】だけだって」
光は類の耳元に口を寄せると、今後一切の命令を拒否出来ない様に術を唱える。
類はその一言に、「…は、い」と言葉を返す。当然、この返答は類が自発的に答えたものではない。何かの力によって強制的に答えさせられたものである。
一切の反論が出来ない類はその恐ろしさと悔しさから、目尻に涙を溜める。
「…悔しい?」
「…ッ…」
類はその言葉に何粒かの涙を流す。
「何で泣くの?」
光は、そう言うと何を思ったのか、類が流した涙を舌で丁寧に掬い取る。
ヌルリと湿った感覚に類は肩をすくめるが、光は類の顎を掴んで動くことを許さない。
「俺の為に生きてくれるんでしょ?」
「ッ……!」
「じゃあ、素直に俺の願いは聞いてよ…」
「……」
「頼む…」
光は涙の後に沿って舌を類の首筋へと滑らせる。
「ッ?!」
光の舌がダイレクトに首筋を這いずり回る。愛撫とも取れるその行為に類の呼吸が次第に上がっていく。
「ッ、ひ、かる…さッ」
何とか名前を呼んで静止しようと試みるが、どうにも上手く言葉が出てこない。
「上手く喋れない?」
「…」
何故だか、光を制止しようとする言葉達は音にする事が出来ず、身体も思う様に動かす事が出来ない。
「…そうだよな、喋れないよな。これじゃあ前みたいに俺を殴る事も出来ない…」
光は類の首元から顔を離すと「俺のせいだね…」と呟いて嬉しそうに笑ってみせる。その冷たい微笑に類の全身から血の気が引いて行く。それと同時に、この男がとても危険な存在である事をまざまざと思い知らされる。
「さいっ低、、、」
類は今発せられる限りの罵声を浴びせると軽蔑の眼差しで光を睨みつけた。
「あぁ、そうだね。俺って最低だ」
「ろく、でなし…」
「ハハ…、そうかも」
「ク、ソ野郎」
「その通り」
「へ、変態…」
類は涙を流しながら、何度も何度も言葉のナイフを光へと突き刺す。
「変態は嫌い?」
しかし、光には効果がないのか、相も変わらず嬉しそうに微笑んでいる。
「…嫌いよ、馬鹿」
「ハハ…、それは残念」
「そんなんだから…」
「…?」
「そんなんだから…、誰からも愛されないのよ」
類の口から放たれた予想外の言葉に、光の顔から笑みが消えていく。
とても酷いことを言っている自覚はあったが、状況が状況の上、よくわからない感情に支配された類の口は止まることが無かった。
「そうか…」
光は怒るわけでもなく、どこか残念そうに最後の言葉を受け止めると、何を思ったのか類の唇をそっと撫でた。
そしてー。
「じゃあ俺に人の愛し方を教えてくれよ」
と、頼りなさげに呟いた。
気づけば助手席のシートが後ろへと倒され、真上には光が覆い被さる様にして類の事を見下ろしていた。
「俺、言ったよな」
どこか底冷えする様な声色に類の全身が石の様に硬直する。
「返事は【はい】だけだって」
光は類の耳元に口を寄せると、今後一切の命令を拒否出来ない様に術を唱える。
類はその一言に、「…は、い」と言葉を返す。当然、この返答は類が自発的に答えたものではない。何かの力によって強制的に答えさせられたものである。
一切の反論が出来ない類はその恐ろしさと悔しさから、目尻に涙を溜める。
「…悔しい?」
「…ッ…」
類はその言葉に何粒かの涙を流す。
「何で泣くの?」
光は、そう言うと何を思ったのか、類が流した涙を舌で丁寧に掬い取る。
ヌルリと湿った感覚に類は肩をすくめるが、光は類の顎を掴んで動くことを許さない。
「俺の為に生きてくれるんでしょ?」
「ッ……!」
「じゃあ、素直に俺の願いは聞いてよ…」
「……」
「頼む…」
光は涙の後に沿って舌を類の首筋へと滑らせる。
「ッ?!」
光の舌がダイレクトに首筋を這いずり回る。愛撫とも取れるその行為に類の呼吸が次第に上がっていく。
「ッ、ひ、かる…さッ」
何とか名前を呼んで静止しようと試みるが、どうにも上手く言葉が出てこない。
「上手く喋れない?」
「…」
何故だか、光を制止しようとする言葉達は音にする事が出来ず、身体も思う様に動かす事が出来ない。
「…そうだよな、喋れないよな。これじゃあ前みたいに俺を殴る事も出来ない…」
光は類の首元から顔を離すと「俺のせいだね…」と呟いて嬉しそうに笑ってみせる。その冷たい微笑に類の全身から血の気が引いて行く。それと同時に、この男がとても危険な存在である事をまざまざと思い知らされる。
「さいっ低、、、」
類は今発せられる限りの罵声を浴びせると軽蔑の眼差しで光を睨みつけた。
「あぁ、そうだね。俺って最低だ」
「ろく、でなし…」
「ハハ…、そうかも」
「ク、ソ野郎」
「その通り」
「へ、変態…」
類は涙を流しながら、何度も何度も言葉のナイフを光へと突き刺す。
「変態は嫌い?」
しかし、光には効果がないのか、相も変わらず嬉しそうに微笑んでいる。
「…嫌いよ、馬鹿」
「ハハ…、それは残念」
「そんなんだから…」
「…?」
「そんなんだから…、誰からも愛されないのよ」
類の口から放たれた予想外の言葉に、光の顔から笑みが消えていく。
とても酷いことを言っている自覚はあったが、状況が状況の上、よくわからない感情に支配された類の口は止まることが無かった。
「そうか…」
光は怒るわけでもなく、どこか残念そうに最後の言葉を受け止めると、何を思ったのか類の唇をそっと撫でた。
そしてー。
「じゃあ俺に人の愛し方を教えてくれよ」
と、頼りなさげに呟いた。