性悪陰陽師は今日も平気で嘘を吐く。
「今時の小学生は結構過激なんだな。大丈夫?」
所変わって、体育館横の男子トイレへと足を踏み入れた光は不自然に閉められた一番奥の個室を開いて盛大に溜息を吐いた。
「別に、少し用を足していただけです…」
声をかけられた誠はいい訳するように小さな声で呟くと、濡れた制服を丁寧に絞る。
「帰ったら風呂に入れ、礼二に頼んでおく」
光は全身びしょ濡れ姿の誠に一枚のタオルを手渡す。
「ありがとうございます…」
誠はそれを受け取ると、濡れた髪を乾かす様に頭を拭く。
「誰にやられた?」
光はそんな誠を見つめながら、加害者生徒の名前を尋ねる。
「呪ったりしませんか?」
「さぁ…?そいつらの反省具合によりけり」
どこか、いたずらっ子の様に笑って見せる光に誠の背筋が再び冷たくなる。
「恐らく、同じクラスの相馬《そうま》君達でしょう。昨日からやけに機嫌が悪かったので、今日あたり何かされるとは薄々勘付いてはいましたが…」
誠は一通り髪を拭き終えるとタオルを首へとかけた。
「なるほどな。通りで校門過ぎたあたりから気が重たいと思ってた…」
光は伸び過ぎた前髪を弄りながら答える。
「重たい…ですか?」
「あぁ、激重。校内に入った瞬間、なんていうか、ズドーンと重りが乗っかるのと同時に、お前の泣き声が聞こえた」
光の言葉に誠は顔を背ける。
「…」
「無理すんな。今の時代は男だって泣いていいんだ。ま、俺の時代は弱虫扱いされたけど…」
光の意味深な発言に誠は思わず口を開く。
「それって、光兄さんもされたことあるんですか?」
誠は少し遠慮気味に尋ねてみる。
「もちろん。クソほど虐められたな。ま、俺の場合お前みたいにいい子ちゃんじゃなかったから、俺にも非はあったんだけどさ、でも流石にクラス全員から非難された時は泣きそうになったよ…」
光は自嘲気味に笑うと、誠の小さな頭に手を置いた。
「じっとして。応急処置だけど服乾かしてやるから…」
そう言うと、光はもう片方の手で素早く印を結ぶ。すると、見る見るうちに誠の身体が暖かな熱に包まれ、あっという間に制服は元通りに乾いた。
「…一体、どんな術を?」
驚きの表情で自身の制服をまじまじと見つめる誠に光は苦笑する。
「お前は知らなくていいんだよ…でも、ちゃんと帰ったら風呂入って一応クリーニングも出しとけよ」
「は、はい…。ありがとうございます」
光の命令に誠は素直に頷くと、少し気分が晴れたのか小さな声で礼を言った。
「そういえば、類さんはどうされたんですか?」
誠の質問に光は「あぁ」と興味なさげに答える。
「多分、今頃…裏世界か、あの世かってところかな」
「光兄さんが言うと冗談に聞こえませんが…」
誠は分かりやすく顔を顰める。しかし、光は何故か嬉しそうに微笑んでいる。
「心配いらないよ誠、あの女はあぁ見えてツイテルから」
「ツイテル…、怨霊のことでしょうか?」
誠はよくわからないと言った様子で首を傾げる。
「それもあるけど、彼女にはもっと他の何かが憑いてるのかもしれないね…」
そう。
もっと、
違うナニかがー。
所変わって、体育館横の男子トイレへと足を踏み入れた光は不自然に閉められた一番奥の個室を開いて盛大に溜息を吐いた。
「別に、少し用を足していただけです…」
声をかけられた誠はいい訳するように小さな声で呟くと、濡れた制服を丁寧に絞る。
「帰ったら風呂に入れ、礼二に頼んでおく」
光は全身びしょ濡れ姿の誠に一枚のタオルを手渡す。
「ありがとうございます…」
誠はそれを受け取ると、濡れた髪を乾かす様に頭を拭く。
「誰にやられた?」
光はそんな誠を見つめながら、加害者生徒の名前を尋ねる。
「呪ったりしませんか?」
「さぁ…?そいつらの反省具合によりけり」
どこか、いたずらっ子の様に笑って見せる光に誠の背筋が再び冷たくなる。
「恐らく、同じクラスの相馬《そうま》君達でしょう。昨日からやけに機嫌が悪かったので、今日あたり何かされるとは薄々勘付いてはいましたが…」
誠は一通り髪を拭き終えるとタオルを首へとかけた。
「なるほどな。通りで校門過ぎたあたりから気が重たいと思ってた…」
光は伸び過ぎた前髪を弄りながら答える。
「重たい…ですか?」
「あぁ、激重。校内に入った瞬間、なんていうか、ズドーンと重りが乗っかるのと同時に、お前の泣き声が聞こえた」
光の言葉に誠は顔を背ける。
「…」
「無理すんな。今の時代は男だって泣いていいんだ。ま、俺の時代は弱虫扱いされたけど…」
光の意味深な発言に誠は思わず口を開く。
「それって、光兄さんもされたことあるんですか?」
誠は少し遠慮気味に尋ねてみる。
「もちろん。クソほど虐められたな。ま、俺の場合お前みたいにいい子ちゃんじゃなかったから、俺にも非はあったんだけどさ、でも流石にクラス全員から非難された時は泣きそうになったよ…」
光は自嘲気味に笑うと、誠の小さな頭に手を置いた。
「じっとして。応急処置だけど服乾かしてやるから…」
そう言うと、光はもう片方の手で素早く印を結ぶ。すると、見る見るうちに誠の身体が暖かな熱に包まれ、あっという間に制服は元通りに乾いた。
「…一体、どんな術を?」
驚きの表情で自身の制服をまじまじと見つめる誠に光は苦笑する。
「お前は知らなくていいんだよ…でも、ちゃんと帰ったら風呂入って一応クリーニングも出しとけよ」
「は、はい…。ありがとうございます」
光の命令に誠は素直に頷くと、少し気分が晴れたのか小さな声で礼を言った。
「そういえば、類さんはどうされたんですか?」
誠の質問に光は「あぁ」と興味なさげに答える。
「多分、今頃…裏世界か、あの世かってところかな」
「光兄さんが言うと冗談に聞こえませんが…」
誠は分かりやすく顔を顰める。しかし、光は何故か嬉しそうに微笑んでいる。
「心配いらないよ誠、あの女はあぁ見えてツイテルから」
「ツイテル…、怨霊のことでしょうか?」
誠はよくわからないと言った様子で首を傾げる。
「それもあるけど、彼女にはもっと他の何かが憑いてるのかもしれないね…」
そう。
もっと、
違うナニかがー。