性悪陰陽師は今日も平気で嘘を吐く。
夕食後ー。
類はソファに腰掛け、テレビで流れる恋愛ドラマをぼんやりと眺めていた。
別に大して好きな作品でもないが、他に見るものも無く、何となくテレビをつけて流れていたドラマをただただ眺めている。
内容はよくある学園もので、ひょんな事から主人公がヒロインと出会う前の時間帯にタイムスリップしてしまうという話であった。
(タイムスリップか…)
自分がもし過去に戻れるのなら、きっと父と母がいた頃に戻るに違いない。
類は誰もいない部屋で小さく溜め息を吐く。光は夕食後、風呂に入ったかと思うと用事があるといって再びどこかへと姿を消してしまった。
誰もいない室内には先程からテレビの音と、キャットタワーの上で爆睡しているだいふくのイビキだけが響いている。
(また、女の人のところに行ってるのかな…?)
類は以前、光の部屋で待ちぼうけを食らった事を思い出す。確かあの時も帰ってきたのは夜が明けてからのことだった。
(きっと、あの時も女の人の所にいたのね…)
何となく今日の光との会話でそう察した類は、大人しくソファに沈み込む。
社に居た時は常に騒がしく、いつも誰かしらが居たため、この静かさに居た堪れなくなる。
「皆んな、元気かな…」
光の鶴の一声で、社を出る事になってしまった類は寂しそうに皆んなの事を思い出す。
できる事なら、もう少しだけ居たかった。
エリカちゃんとも、誠君とも、礼二さんとも、もう少しだけ仲良くなりたかった。
結局、鴉天狗での仕事までも白紙に戻されてしまった類は寂しそうに天井を見つめる。
(まだ一回しか出勤してないのにな…)
光は願えば何でもしてくれると言った。
それなら、社へ戻りたいと言えば聞いてくれるだろうか?
類はその考えに、頭を横に振る。
駄目だ。
きっと、それは光にとって拒絶を意味する。
(きっと、また拗ねるんだろうな…)
類はさっきまでの光の事を思い返す。距離を詰めてくるのかと思えば突然離れたり、沢山話してくれる割には他人の話ばかり、これでは彼の全てを知ったとはいい難い。
(それに、全部くれてやるって割には置いてけぼりだし)
類は再び溜め息を吐く。これでは社にいる時とそこまで変わりがないではないか。
「信頼させたいなら、もっと側に居なさいよ…馬鹿」
類は誰も居ない部屋で一人毒付く。少し前であればここらで覚が姿を現したであろうが、これまた光の影響によって今はその気配すら感じない。
「あーあ、誰か王子様が私を攫いにきてくれないかな…」
類はどこか投げやりに呟くと、ソファに横になる。
時刻はすでに23時を示している。どことなく頭がぼんやりとし始める。
類を目を瞑る。そして、空想の中で素敵な王子様の姿を想像する。
どうか、攫いにきてくれないかな。
白い馬に乗ってなくてもいいから、
もう大丈夫ですって手を取って、
どこにも行けない私を、
この檻の中からー。
類はソファに腰掛け、テレビで流れる恋愛ドラマをぼんやりと眺めていた。
別に大して好きな作品でもないが、他に見るものも無く、何となくテレビをつけて流れていたドラマをただただ眺めている。
内容はよくある学園もので、ひょんな事から主人公がヒロインと出会う前の時間帯にタイムスリップしてしまうという話であった。
(タイムスリップか…)
自分がもし過去に戻れるのなら、きっと父と母がいた頃に戻るに違いない。
類は誰もいない部屋で小さく溜め息を吐く。光は夕食後、風呂に入ったかと思うと用事があるといって再びどこかへと姿を消してしまった。
誰もいない室内には先程からテレビの音と、キャットタワーの上で爆睡しているだいふくのイビキだけが響いている。
(また、女の人のところに行ってるのかな…?)
類は以前、光の部屋で待ちぼうけを食らった事を思い出す。確かあの時も帰ってきたのは夜が明けてからのことだった。
(きっと、あの時も女の人の所にいたのね…)
何となく今日の光との会話でそう察した類は、大人しくソファに沈み込む。
社に居た時は常に騒がしく、いつも誰かしらが居たため、この静かさに居た堪れなくなる。
「皆んな、元気かな…」
光の鶴の一声で、社を出る事になってしまった類は寂しそうに皆んなの事を思い出す。
できる事なら、もう少しだけ居たかった。
エリカちゃんとも、誠君とも、礼二さんとも、もう少しだけ仲良くなりたかった。
結局、鴉天狗での仕事までも白紙に戻されてしまった類は寂しそうに天井を見つめる。
(まだ一回しか出勤してないのにな…)
光は願えば何でもしてくれると言った。
それなら、社へ戻りたいと言えば聞いてくれるだろうか?
類はその考えに、頭を横に振る。
駄目だ。
きっと、それは光にとって拒絶を意味する。
(きっと、また拗ねるんだろうな…)
類はさっきまでの光の事を思い返す。距離を詰めてくるのかと思えば突然離れたり、沢山話してくれる割には他人の話ばかり、これでは彼の全てを知ったとはいい難い。
(それに、全部くれてやるって割には置いてけぼりだし)
類は再び溜め息を吐く。これでは社にいる時とそこまで変わりがないではないか。
「信頼させたいなら、もっと側に居なさいよ…馬鹿」
類は誰も居ない部屋で一人毒付く。少し前であればここらで覚が姿を現したであろうが、これまた光の影響によって今はその気配すら感じない。
「あーあ、誰か王子様が私を攫いにきてくれないかな…」
類はどこか投げやりに呟くと、ソファに横になる。
時刻はすでに23時を示している。どことなく頭がぼんやりとし始める。
類を目を瞑る。そして、空想の中で素敵な王子様の姿を想像する。
どうか、攫いにきてくれないかな。
白い馬に乗ってなくてもいいから、
もう大丈夫ですって手を取って、
どこにも行けない私を、
この檻の中からー。