彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません

 言葉にした途端、苦しさが一気に込み上げてきた。

 大学時代のことも。

 事故のあと、先生がどんな顔でそばにいたのかも。

 一度言葉を飲み込んでから、ゆっくり続ける。

 「……それなのに」

 視線を落としたまま、絞り出す。

 「好きになってるの」

 喉が震える。

 「瀬名先生のこと」

 しげぴーの顔が見られなくて、テーブルに並ぶ料理を見つめた。

 「だけど、どうしたらいいのかわかんない」

 小さく息を吐く。

 「……最低だよね、私」

 ぽつりとこぼしてから、言葉を探す。

 「何も覚えてないくせに、また好きになるとか……」

 自分で言って、胸が苦しくなる。

 「……でも、このまま曖昧にするのも違う気がしてる」

 しげぴーは、しばらく何も言わなかった。

 ただ静かに、私を見ている。

 居酒屋の賑やかな音だけが、遠くで響いていた。

 「……それ、関係なくね?」
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