彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません
 「今すぐ返事はいらない。ただ、俺を友達じゃなくて、男として見てほしい」

 私は何も言えないまま、グラスの中の泡を見つめる。

 しげぴーにそんなふうに言われる日が来るなんて、思ってもみなかった。

 ずっと仲のいい友達だと思っていたから。

 一緒にいて楽で、気を遣わなくて、何でも話せる相手。

 そういう存在だと思っていたのに。

 急に“男”として見ろと言われても、そんな簡単に切り替えられるはずがない。

 なのに、しげぴーの言葉は軽く流せない。

 その真剣さが、胸に刺さる。

 「……ごめん」

 ようやく顔を上げると、しげぴーが少しだけ眉を上げた。

 「なんで謝んの」

 「いや……なんか、今まで……」

 自分でも情けないと思う。

 なんでこんなに、周りの人の気持ちに気づけないんだろう。

 知らないうちに私はみんなのことを傷つけている気がする。

 しげぴーは小さく息を吐いてから、少しだけ表情を緩めた。

 「吉岡、すぐ自分責めるだろ」
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