彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません

午後になり、病棟の空気も午前に比べ穏やかになった。

担当患者さんが、ナースコールで痛みを訴えてきたため、疼痛時の薬剤を持って患者さんの部屋を訪れた。

「15分くらいしたら少しずつ効いてくると思います。また何かあったら呼んでくださいね」

患者さんの対応が一通り終わったあと、そう伝えて病室を出た。

ナースステーションに戻ろうと歩き始めると、こっちに向かって歩いて来ている人に気づいた。

すぐに瀬名先生だと理解したときには、胸が変な音をたてて暴れ出していた。

「おつかれ」

「お疲れ様です」

なるべく平然を装い返した。

昨日のラフな服装から、見慣れたスクラブと白衣姿に戻っただけなのに、今までなかった胸のドキドキに戸惑う。

私たちの会話が聞こえる範囲には誰もおらず、少し遠くで患者さんや家族、スタッフが時々行き交う姿が見えていた。


「……さっきさ」

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