彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません

なのに、私は



 数日後、仕事を終えた私は駅前のカフェにいた。

 窓際の二人席に座っていても、落ち着かない。

 目の前のグラスにはカフェオレ。氷はとっくに溶けかけているのに、私はほとんど口をつけられないまま、何度もスマホの画面を見てしまっていた。

 数日前の夜。

 震える手で送ったメッセージには、数分もしないうちに返信が来た。

 ――久しぶり!
 ――仕事終わりなら会えるよ。どうしたの?

 その短い文章を見ただけで、胸の奥がざわついた。

 あの日からずっと、頭の中で同じ言葉が何度も何度も繰り返されていた。

 しげぴーが瀬名先生に向かって言った言葉。

 ――アンタのせいで吉岡は事故に遭って……

 ――アンタは吉岡の前から逃げたんだ。

 あの会話の意味を知りたい。

 でも、全てを知るのは、やっぱり怖い。

 もし本当に、私の知らない過去があるのだとしたら――。

 入り口のドアが開く気配に、私は顔を上げた。

 見慣れた姿を見つけた瞬間、少しだけ肩の力が抜けた。
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