月とスッポン 一生に一度と言わず
では行きましょうと手を差し出されているが、見なかった事にする。
「仮橋が建てられたら、宇治橋を真横から見れるって事ですよね。次はそれを狙って来ようかな」
宇治橋を触りながら、橋を渡る。
次はもう変わっているかもしれないから、愛でておこう。
私は宇治橋を愛でる事で両手が塞がっているんだ。
宇治橋を渡りきり、もう一度鳥居をくぐれ、広がる神苑に息を呑む。
シャリの白と空の青、それを彩る木々の緑にため息が出る。人が少ないうちにとカメラに収めていく。
砂利道の真ん中に立っていれば、急に大河に手を掴まれた。
まだ収めきれていないのに、と大河を睨めば、
「左右に石で線が引かれているのがわかりますか?」
と私の手を使い、砂利に埋もれた石の線を指す。
言われた石の方へと移動する。その際に、手を振り解こうとしたが、抜けなかった。
「これは“見切り石”で左右に連なっています。
《現在は幅の広い参道となっていますが、実は明治時代中期までは見切り石の内側だけが参道で、外側には神職を始め御師などの屋敷が軒を連ねていたそうです。
見切り石は結界石の類だそうです》」
「仮橋が建てられたら、宇治橋を真横から見れるって事ですよね。次はそれを狙って来ようかな」
宇治橋を触りながら、橋を渡る。
次はもう変わっているかもしれないから、愛でておこう。
私は宇治橋を愛でる事で両手が塞がっているんだ。
宇治橋を渡りきり、もう一度鳥居をくぐれ、広がる神苑に息を呑む。
シャリの白と空の青、それを彩る木々の緑にため息が出る。人が少ないうちにとカメラに収めていく。
砂利道の真ん中に立っていれば、急に大河に手を掴まれた。
まだ収めきれていないのに、と大河を睨めば、
「左右に石で線が引かれているのがわかりますか?」
と私の手を使い、砂利に埋もれた石の線を指す。
言われた石の方へと移動する。その際に、手を振り解こうとしたが、抜けなかった。
「これは“見切り石”で左右に連なっています。
《現在は幅の広い参道となっていますが、実は明治時代中期までは見切り石の内側だけが参道で、外側には神職を始め御師などの屋敷が軒を連ねていたそうです。
見切り石は結界石の類だそうです》」